「足元の米国景気動向と米国株式の投資環境」を掲載しました。(PDF

米国経済・株式市場情報
2015年4月27日
足元の米国景気動向と米国株式の投資環境

米国景気は2015年1-3月期に港湾ストや悪天候によって減速した後、4-6月期以降、回復基調を取り戻す見通し。

米景気が弱含む中、米国株は緩やかな上昇を維持。米利上げ観測後退や、欧州・中国の金融緩和が株価を下支え。

米企業の第1四半期決算は好調な滑り出し。米国株の業績相場移行には、景気回復の売上高への波及が必要に。

2015年後半には米企業の収益回復基調が強まる見通し。今後はM&Aなどキャッシュの有効活用も注目テーマに。
図1:米国の実質GDP成長率の実績と予想
米国景気は4-6月期以降、安定成長に回帰へ
米国景気は2015年1-3月期に特殊要因などから一時
的に減速した後、4-6月期以降、回復基調を取り戻す公
算が高まりつつあると思われます。
米国の1-3月期の実質GDPは、西海岸での港湾ストライ
キや悪天候などの影響から前期比年率+1.4%へ減速が
(%、前期比年率)
6
5
4
2
広い業種に影響が及んだ港湾ストは2月20日に労使間で
1
暫定合意が結ばれており、停滞した物流網は徐々に正常
0
化に向かい始めています。一時的な景気抑制要因の剥
落によって、4-6月期以降、米景気は年率3%前後の安
定成長路線に回帰する見通しです。
また、米エネルギー情報局(EIA)の予測によれば、
77.7円*)と前年を31.8%下回るとみられており、ガソリン
(*)1米ドル=120円換算。1ガロン=3.785リットル。
国内外の緩和的な金融環境が米国株を下支え
2.2
2.7 2.8 2.8
1.4
-1
-2
-2.1
-3
予想コンセンサス
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q
2013
2014
2015
2016
(年)
(期間)2013年1Q~2016年3Q
(出所)米商務省、ブルームバーグ (注)予想は4月21日時点。
価格下落による個人消費への恩恵は今後本格的に顕在
化することが期待されます。
西海岸港湾ストライキや
悪天候などの影響
3.1 3.0 3.0
1.8
2015年夏場のドライブ・シーズン(4月~9月)のレギュ
ラー・ガソリン平均価格は1ガロン=2.45米ドル(1リットル=
5.0
3.5
2.7
3
予想されています(図1)。しかし、製造業や小売業など幅
4.6
4.5
図2:S&P500指数と米長短金利の推移
(ポイント)
2,250
(%)
9
2,000
8
S&P500指数(左軸)
1,750
7
の史上最高値圏にあり、緩やかな上昇基調を維持してい
1,500
6
ます(図2)。足元では、国内外の緩和的な金融環境が米
1,250
5
米景気が弱含む中、S&P500指数は2,100ポイント前後
国株の下支えに寄与している面もあると考えられます。
米国では、米景気停滞の可能性を受けて、連邦準備制
度理事会(FRB)による早期の利上げ観測が後退しつつあ
1,000
750
り、米10年国債利回りは2%を下回る低水準にあります。
500
一方、海外では、欧州中銀や日本銀行が量的金融緩
250
和策を継続している上、中国では、4月19日に中国人民
銀行(中央銀行)が預金準備率の大幅引き下げを決定す
るなど、金融緩和姿勢を強めています。
米10年国債利回り
(右軸)
4
3
2
1
米政策金利(右軸)
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
0
15 (年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2005年1月1日~2015年4月21日
当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが
作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し
ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益
を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
<審査確認番号H27-TB11>
<マーケット・レター>
米国経済・株式市場情報
2015年4月27日
図3:S&P500指数採用企業の四半期決算発表
におけるポジティブ・サプライズ比率
米企業の第1四半期決算は好調な滑り出し
足元で米国企業の2015年第1四半期決算は、事前予想
との比較では、概ね好調な滑り出しとなっています。4月21
日時点でS&P500指数採用企業のうち103社が決算公表
90
(%)
一株当たり利益の
ポジティブ・サプライズ比率
80
を行っており、うち78.6%の企業(81社)は一株当たり利益
70
が市場予想を上回る結果となりました(図3)。
60
78.6%
一方、米景気低迷の影響などから、第1四半期の売上高 50
が市場予想に届かない米企業が大半を占めるなど、業績
内容については十分とは言えない面もあるとみています。
米国株式市場が業績相場へ移行するには、米景気回復
が売上高へ波及し始めることが必要になると考えています。
年後半には米企業の増益基調が強まる見通し
4月17日時点のコンセンサスによれば、S&P500指数採
用企業の2015年第1四半期の一株当たり利益は前年比
-2.7%の減益に転じるとの予想になっています(図4)。こ
れは原油価格急落を受けたエネルギー・セクターの大幅
減益(前年比-63.6%)が全体の利益を大きく押し下げて
いることが要因と考えられます。
エネルギー・セクターを除けば、2015年第1四半期の
S&P500指数採用企業の一株当たり利益は前年比
+5.5%の増益が維持されると見込まれています。2015年
40
30
2009
する株主からの注目が高まる可能性があります。
特に最近の米ドル高の中で、米国企業は海外企業に対
する買収余力を増しつつあるとみています。今後は配当や
自社株買いなど株主還元策に加え、合併・買収(M&A)や
れます。
(*)1米ドル=120円換算。1ガロン=3.785リットル。
2015 (年)
2014
S&P500指数
14
S&P500指数(除くエネルギー)
12
10
9.2 10.0
7.8
8
6.3
5.5 5.6
4.6
6
4
1.7
2
0
-2
-2.7 -1.9
-4
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2014年
2Q
3Q
4Q
1Q
2015年
2Q
3Q
4Q
2016年
(出所)ファクトセット (期間)2014年1Q~2016年4Q
(注)2015年1Q以降は予想コンセンサス(4月17日時点)。
図5:S&P500指数採用企業の手元資金と株主還元策
(10億米ドル)
(10億米ドル)
300
250
200
手元資金残高
(現金・短期証券、右軸)
1,600
1,200
1,000
800
100
600
400
50
0
1,800
1,400
自社株買い(左軸)
150
設備投資などによる成長戦略を打ち出せるかが、米国企
業に対する株式市場からの評価のポイントとなると見込ま
2013
(前年比、%)
高額を更新しました(図5)。同時に、これら米国企業が抱
兆円*)へ拡大しており、保有キャッシュの有効活用に対
2012
16
キャッシュの有効活用への注目が高まる可能性
える手元資金残高は2014年末には1.6兆米ドル(約190
2011
図4:S&P500指数採用企業の一株当たり利益予想
増益基調が強まることが予想されます。
数採用企業の配当総額は2014年第4四半期に過去最
2010
(出所)ファクトセット (期間)2009年1Q~2015年1Q
(注)2015年1Qは4月21日時点で決算公表を行った103社ベース。
ポジティブ・サプライズ比率は決算で市場予想を上回った企業の割合。
後半には、米景気の安定成長などを背景に、米国企業の
また、米国企業による株主還元策の面では、S&P500指
44.7%
売上高の
ポジティブ・サプライズ比率
配当(左軸)
200
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年)
(出所)ファクトセット (期間)2000年1Q~2014年4Q
当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが
作成したご参考資料であり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成し
ておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益
を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。