オーストラリア拠点の運用チームが語る同国経済

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「投資のヒント」
2015年2月13日
※以下、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント提供のレポートをご紹介します。
オーストラリア拠点の運用チームが語る同国経済
2015年2月上旬、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける
「マーティン・カリー・オーストラリア」から、株式運用責任者のリース・バートルズと、
マルチ戦略担当ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが来日しました。
そこで、豪ドルや金融政策、また同国経済についてインタビューした内容をスペ
シャル・レポートの形式でお伝えします。
Q:豪州政策金利が予想外の引き下げ。その目的は?
A:豪ドル高の抑制と、国内景気の下支えと考えます。
(%)
(注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)の
トリム平均値と加重中央値の平均により算出。
豪州準備銀行(RBA)は2月3日の金融政策理事会におい
最低水準の2.25%としました。RBA総裁は声明文の中で、豪
7
6
政策金利
(キャッシュ・レート)
州の内需の回復の遅れを指摘し景気下支えのための利下げ
判断であったことを明らかにしました。
加えて、RBAにとって気掛かりな点は、世界的に利回り低下
が起こる中で、オーストラリアの利回り水準が相対的に高いこ
とから、豪ドルへの資金流入が起きており、この傾向は今後も
継続することが予想されるということです。
資金流入に伴う豪ドルの過度な上昇や、回復途上にある内
需への悪影響をRBAが懸念したことが、今回の利下げの背景
にあるのではないかと考えられます。
Q:最近の豪ドル安の注目点を教えて下さい。
5
4
州中銀(ECB)による量的緩和策導入等を背景に、RBAによ
る利下げ観測が台頭しました。これを受けて1豪ドル=0.80米
ドルを下回る水準まで豪ドルは下落していますが、国内景気
への影響はプラスであると考えています。
豪ドル安は企業の収益改善要因となることが期待されるほ
か、ガソリン価格の下落に伴う個人消費の回復という景気下
支え効果が期待されます。
足元の原油価格下落により、豪州のガソリン小売価格は
2014年平均の1リットル=1.49豪ドル(約134円*)から、最近
は1.1豪ドル(約99円*)近辺へと約3割下落しています。ガソ
リン小売価格が1.1豪ドルで推移した場合、豪州の家計は年
間で約70億豪ドル(約6,300億円*、GDP比0.4%)相当の恩
恵を享受すると推計されます。
基調インフレ率
(前年比)
3
2.25%
2
2.3%
2 014年4Q
インフレ目標レンジ(2~3%)
1
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年)
(出所)豪州準備銀行、豪州政府統計局(ABS)
(期間)政策金利:2005年1月1日~2015年2月10日
基調インフレ率:2005年1-3月期~2014年10-12月期
A:豪国内景気へのプラス効果に注目しています。
足元では、カナダ中銀による1月の予想外の利下げや、欧
ポートフォリオ・マネジャー
ウィル・ベイリス氏
図1:豪州の政策金利とインフレ率の推移
8
て、予想外となる0.25%の利下げを決定し、政策金利を史上
株式運用責任者(CIO)
リース・バートルズ氏
図2:豪ドルの対米ドル、対円相場の推移
(米ドル)
(円)
120
1.2
対米ドルレート(右軸)
110
1.1
100
1.0
90
0.9
80
0.8
70
豪ドル高
対円レート(左軸)
60
0.7
0.6
豪ドル安
50
06
07
08
09
10
11
12
13
14
0.5
15 (年)
(出所)ブルームバーグ
(期間)2006年1月1日~2015年2月10日
(*)換算レート:1豪ドル=90円
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終
ページをご覧ください。
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Q:最近のオーストラリアの景気動向はどうですか?
A:経済成長の源泉が鉱業部門主導から非鉱業部門
へ移行している過程にあると考えています。
オーストラリア経済は鉄鉱石や石炭などの天然資源が
豊富で、アジア新興国からの資源需要の高まり等を背景
に100年に一度ともいわれる資源ブームを経験し、2011
年以降は鉱業部門における積極的な設備投資が景気拡
大を牽引しました。しかし、足元では、こうした経済成長の
構造に変化の兆しをみることができます。
2014年以降、資源開発ブームが一段落する中で、非
鉱業部門セクターに景気回復の動きがみられており、経
済成長の源泉は非鉱業部門に移行しつつあります(図3)。
金利低下の恩恵を受けて、足元のオーストラリアの住宅
市場は堅調さを維持しており、住宅建設許可件数は記録
的な高水準で推移しています(図4)。今後はRBAの利下げ
図3:鉱業・非鉱業の実質GDP成長率
(%)
30
25
20
鉱業部門
15
10
5
0
非鉱業部門
‐5
1987
1991
100%
50%
GDPに占める非鉱業部門の割合は約8割と高水準にあり、
前述の豪ドル安の恩恵も考えられることから、個人部門に
牽引された内需の回復は安定したオーストラリア景気拡
大に寄与することが期待されます。
Q:今後の雇用情勢の見通しはどうでしょうか?
A:非鉱業部門の回復が雇用改善につながると
考えています。
オーストラリアの景況感指数と失業率の関係を見ると、
移行する過程にあるためと考えています。
ただし、足元の雇用環境は改善方向に向かっています。
2011 (年)
2007
2014年9月
83%
1991
1995
1999
2003
2007
2011 (年)
(出所)マーティン・カリー・オーストラリア
(期間)1987年6月~2014年9月
図4:住宅建設許可件数
20,000
(件)
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
2006/1
2008/1
2010/1
2012/1
2014/1
(年/月)
(出所)オーストラリア統計局
(期間)2006年1月~2014年12月
図5:景況感指数と失業率
られます(図5)。最近の景況感指数のプラス推移は良い
のは、豪州経済の牽引役が鉱業部門から非鉱業部門へ
2003
GDPに占める鉱業部門の割合
0%
1987
景況感指数がプラスのとき、失業率は低下する傾向が見
兆候だと考えていますが、失業率が低下傾向に転じない
1999
GDPに占める非鉱業部門の割合
による家計心理の改善から、個人消費の拡大への波及効
果が期待されます。
1995
景況感指数がプラスのとき、失業率は低下傾向
30
(%)
3
20
4
10
5
0
6
実際に、景気の先行指標とされる求人広告数は1月に前
月比+1.3%と、8カ月連続で増加しており、中でも経済規
模の大きいニューサウスウェールズ州などで改善が顕著
となっています。
今後は個人部門主導の内需の回復が景気拡大を牽引
するにつれて、失業率は安定し、徐々に低下傾向をたど
ると考えています。
‐10
失業率(逆目盛、右軸)
景況感指数(左軸)
7
‐20
8
'00/12 '02/12 '04/12 '06/12 '08/12 '10/12 '12/12 '14/12
(年/月)
(出所)ブルームバーグ (期間)2000年12月~2015年1月
※景況感指数:NAB企業景況感指数(季調値)
※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。
当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、
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