米国雇用統計、強い雇用者数データの後に思ったこと

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米国
2015年3月9日
米国雇用統計、強い雇用者数データの後に思ったこと
米雇用統計で非農業部門雇用者数が大幅に改善し、米連邦準備制度理事会が3月開催の米連邦公開市場委員会
で政策金利の道筋を示すフォワードガイダンスから「忍耐強く」を削除するとの見方が強まったと見られます。
米雇用統計:2月の非農業部門雇用者数は
29万5千人増と市場予想を大幅に上回る
米国労働省が発表した2015年2月の雇用統計によると、非
農業部門雇用者数は前月比29万5千人増と前月(同23万9
千人増)、市場予想(同23万5千人増)を上回りました。雇用
者数の伸びが20万人超を記録したのは2月で12ヵ月連続と
なります。また、家計調査に基づく失業率は5.5%と前月の
5.7%から低下しました(図表1参照)。2月の労働参加率は
62.8%と前月の62.9%から低下しました。
一方、2月の時間当たり賃金は前月比0.1%増にとどまり、前
月の同0.5%増から伸びが鈍化し、市場予想(同0.2%増)を下
回りました。時間当たり賃金は前年比では2%増でした。
予想を上回る2月の米雇用統計を受けて、米国国債利回り
は上昇、為替市場では円安・ドル高に振れる動きも見られま
したが、期待インフレ率に大きな変動は見られませんでした。
どこに注目すべきか
失業率、時間当たり賃金、利上げ時期
非農業部門雇用者数の改善は大幅で、米連邦準備制度理
事会(FRB)が3月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
政策金利の道筋を示すフォワードガイダンスから「忍耐強く
(patient)」の文言を削除するとの見方は強まったと見られま
す。ただし、他の雇用データの中には一部、市場の見方が分
かれるものも見られます。
例えば、失業率の低下に対する見方です。2月の失業率は
5.5%へと低下しましたが、就業者数の増加が小幅(9.6万人)
にとどまる一方、失業者数は27.4万人に減少した結果、労働
参加率が低下したことが失業率を押し下げの要因と見られま
す。そのため、手放しで喜べる内容ではないとの見方もあり
ます。それでも、失業率5.5%という水準はFOMCの推計する
中央傾向値(5.2%~5.5%、長期的失業率見通し)であり、イン
フレ率上昇の兆候が現れてもおかしくない状況です。
そこで、次に時間当たり賃金の伸びを見ると、(労働コストを
背景とした)インフレ懸念は小さいように見られます(図表2参
ピクテ投信投資顧問株式会社
照)。しかし、FRBイエレン議長が参照していると思われるECI
雇用コスト指数には上昇傾向も見られます。また米国企業の
中にはウォルマートのように最低賃金を引き上げる動きもあ
り、今後時間当たり賃金が上昇する可能性もあります。
このように、データの解釈には、まだ判断に時間が必要なとこ
ろもあるため、米国金融当局は利上げ前に、確実性を高める
作業を行っている段階であると思われます。
であるならば、利上げ時期が6月であれ9月であれ、長期投資
にとっては大きな問題でなく、むしろ今後の注目は、米国だけ
利上げを続けられるのか、続けるとしたら利上げ後の引き上
げペースはどうなるのかへとシフトする展開が想定されます。
記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企
業の売買を推奨するものではありません。
図表1:米国失業率(失業率とU6)
(月次、期間:1995年3月~2015年2月)
10.5
%
9.5
8.5
7.5
6.5
5.5
4.5
3.5
1995年
%
失業率(左軸)
U6失業率(右軸)
16
11
失業率、幅広い指標
であるU6共に低下
2000年
2005年
2010年
6
2015年
※U6失業率:全失業者に加え、経済的理由による全パートタイム雇用者や
求職をあきらめた人を失業者とみなした失業率
図表2: 時間当たり賃金と雇用コスト(ECI)指数の推移
(月次、期間:2007年7月~2015年2月、雇用コスト(ECI)指数は四半期)
4.0
3.5 %
3.0
2.5
2.0
1.5
07年7月
%
時間当たり賃金(前年同月比、左軸)
雇用コスト(ECI)指数(前年同期比、右軸)
09年7月
11年7月
3.8
3.3
2.8
2.3
1.8
1.3
13年7月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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