米雇用統計、雇用者数の減少は一時的か

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北米
2015年4月6日
米雇用統計、雇用者数の減少は一時的か
3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の急減に焦点が当たりがちですが、低下の主な要因は一時的と見ら
れ、雇用の質を見る指標には改善傾向も示唆されており、現時点で米国経済に悲観するのは早計と思われます。
3月米雇用統計:非農業部門雇用者数は
12.6万人増と2013年末以来の低い伸び
米労働省が2015年4月3日に発表した3月の雇用統計による
と、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は
前月比12.6万人の増加にとどまり、市場予想(24.5万人増)
を大幅に下回りました。2月は26.4万人増と、速報値の29.5
万人から下方修正されました(図表1参照)。3月の労働参加
率は62.7%に低下し、1978年以来の低水準に並びました。失
業率は前月から変わらずの5.5%でした(図表2参照)。
平均時給は前月比0.3%増の24.86ドルで週平均労働時間は
34.5時間と 前月から短縮しました。労働省によると、天候の
ために就業不能だった 労働者は18.2万人でした。部門別で
は製造業と建設で雇用者がいずれも減少しました。
どこに注目すべきか:
非農業部門雇用者数内訳、U6、長期失業者
米国2015年3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の
急減(12.6万人)に焦点が当たりがちですが、詳細を見ると
港湾スト、原油価格下落、そして恐らく悪天候など一時的要
因が低下の主な背景と見られます。一方で、雇用の質を見
る指標には改善傾向を維持しているデータもあり、現時点で
米国経済に悲観するのは早計と思われます。
まず、悪かった数字として非農業部門雇用者数を項目別に
見ると、足を引っ張ったセクターは原油価格下落の影響で工
事の遅れの可能性が考えられる建設、飲食店を中心に娯楽
・宿泊といったレジャーが減速しています。また、2014年11
月の雇用者の大幅な増加に寄与した流通業も3月は前月比
で減速しています。
米国では、足元米ISM製造業景況指数が悪天候や西海岸
港湾ストなどを背景に軟化、景気の減速を示唆するデータも
見られる中、雇用統計は非農業部門雇用者数が2月までは
前月比20万人超えを記録していましたが、今回の急減で、
足並みがそろった格好です。一時的な悪化なのかを見極め
るため、4月以降の雇用統計に注目しています。
ピクテ投信投資顧問株式会社
一方、今回の雇用統計では改善を維持したデータもあります。
例えば、広義の失業率U6(図表2参照)は経済的理由のパー
トタイマーが減少したことなどを背景に3月は10.9%と前月比0.1
%低下しています。また、長期失業者のデータも改善が続いて
おり、平均失業期間は2月の31.7週から30.7週に縮小、27週以
上の長期失業者が全体に占める割合も2月の31.1%から29.8%
へ低下するなど改善傾向を示すデータも見られます。
最後に、1点気になったのは労働省が発表する悪天候で働け
なかった就業者が3月は18.2万人と、過去平均に比べ4.1万人
しか多くなかったことです。案外悪天候の影響は小さかった可
能性もあり(影響が薄れる)4月以降の数字に注目しています。
図表1:非農業部門雇用者数と主な業種内訳の推移
(月次、期間:2014年9月~2015年3月、前月比)
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
-1
流通業 (左軸)
万人 50
レジャー(左軸)
建設(左軸)
非農業部門雇用者数(右軸) 40
万人
流通業
教育・医療
30
26.4万人
レジャー
建設
20
12.6万人
10
14年9月
14年11月
15年1月
15年3月
図表2:米失業率と広義の失業率(U6)の推移
(月次、期間:2009年4月~2015年3月)
11
%
%
9
7
5
09年4月
失業率(左軸)
失業率(U6、右軸)
11年4月
18
16
14
12
10
13年4月
※失業率(U6):全失業者に加え、経済的理由による全パートタイム雇用者や
求職をあきらめた人を失業者とみなした失業率
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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