利下げ余地が生まれつつあるロシア

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欧州
2016年4月6日
利下げ余地が生まれつつあるロシア
2016年4月5日に発表された3月のロシアの消費者物価指数は市場予想や前月を下回る結果となりました。インフレ
圧力が弱まりつつある中、ロシアでは景気を下支えするための利下げ余地が生まれつつあると考えます。
ロシア消費者物価指数:
上昇率は前月および市場予想を下回る
ロシア連邦統計局が2016年4月5日に発表した3月の消費者
物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が+7.3%と、前月の同
+8.1%から鈍化し、市場予想(同+7.5%)を下回りました(図表1
参照)。インフレ率は引き続き鈍化しており、ロシア中央銀行
(ロシア中銀)にとって景気を下支えするための利下げ余地
が生まれつつあることを示す結果となりました。なお、変動の
激しい項目を除外したコアCPIについても、3月が前年同月比
で+8.0%と、前月(同+8.9%)、市場予想(同+8.1%)を下回りました。
どこに注目すべきか:
3月の中銀声明、ルーブル、原油価格
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:ロシア消費者物価(対前年同月比)の推移
(月次、期間:2013年3月~2016年3月)
18 %
14
10
6
2
13年3月
14年3月
15年3月
16年3月
図表2:ロシアルーブル(対ドル)相場と原油価格の推移
(日次、期間:2013年4月5日~2016年4月5日)
120
ドル/バレル
ルーブル/ドル 0
20
80
40
0
13年4月5日
40
60
原油価格(左軸)
ロシアルーブル(右軸、逆メモリ)
14年10月5日
80
高 ルーブル 安
3月のロシア中銀の金融政策会合の声明は市場の想定よ
りもタカ派(金融引き締めを選好する傾向)寄りのトーンでし
たが、原油価格や主要経済指標の中には、ロシア中銀が
声明の中で想定していたよりも金融緩和を支持する方向に
乖離するものも見られ、金融政策については短期的には据
え置くも、今後は金融緩和方向にバイアスがかかると考え
られます。
まず、ロシア中銀の前回の金融政策会合(3月18日開催)を
振り返ると、タカ派寄りと思わせたのは声明文の冒頭に「イ
ンフレ率目標(4%)に到達するため、ロシア中銀は依然想定
していたよりも長く緩やかな金融引き締め姿勢を維持」と
あったことが大きいように思われます。しかしながら、ロシア
中銀が想定する経済指標の前提と、実績値を比べるとロシ
ア中銀の見通しよりも早く改善したものも見られ、時期はと
もかく、利下げの可能性は高まりつつあるようにも思われま
す。例えば、ロシア中銀のインフレ率見通しは年率で+6%を
下回るのが2017年3月、インフレ率目標でもある+4%を下回
るのは2017年後半と見込まれています。一方、CPIの実績
値は2016年3月で+7.3%と水準は高いものの下落傾向です
(図表1参照)。
次に、ルーブルと原油価格の推移です。ロシア中銀は声明
文ではルーブルの水準に言及していませんが、ルーブル相
場はインフレ率に影響(ルーブル高ならインフレ率は低下する
傾向)すると述べています(図表2参照)。一方、原油価格につ
いて、ロシア中銀の見通しは2016年は平均30ドル/バレル、
2018年にかけ緩やかに上昇して40ドル/バレルと述べられて
おり、ロシア中銀の想定を早期に実現する可能性も考えられ
ます。
最後に、ロシア中銀はGDP(国内総生産)成長率が前期比で
プラスに転じるのは2016年後半から2017年前半と見込んでい
ますが、既に4四半期連続でマイナス成長が続くロシア、景気
てこ入れ策を早めたいのが本音と思われます。
ルーブルや原油価格の回復は様子を見る必要もあること、米
国の金融政策の動向も気になることから、ロシア中銀は当面
据え置く可能性もありますが、金融政策の方向性は引き続き
引下げであると見ています。
100
16年4月5日
※原油価格:WTI先物、ドルベース
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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