第04回 (2014/05/08)

工業熱力学演習問題
平成 26 年 5 月 8 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
◦
◦
コップの中に 10.0 C の水は 200g である。このコップの水を 2.00 C にするた
◦
◦
めに -3.00 C の氷を入れた。氷は 0 C で融解し、氷の比熱は 2.09kJ/kgK, 水の
比熱は 4.18kJ/kg K, 氷の融解熱は 334kJ/kgK である。周囲からの熱の出入
りはないものととし、入れた氷の量は何 kg か
【問題 2】
あるエンジンのシリンダ内のガスは次の過程で 1 サイクルを行っている。第
一の過程では熱の出入りはなく、850J の仕事で圧縮され、第二の過程では、
外部から 4.50kJ の熱を受け、第三の過程では熱の出入りはなしに膨張仕事を
する。さらに、第四の過程は 3.55kJ の熱を外部に放出する。このとき第三の
過程でなした仕事量を求めよ。
【問題 3】
ピストンを備えたシリンダの中に 0.250kg の気体がはいっている。これを圧
縮するために,132kN の力でピストンを 0.200m 押し込む圧縮仕事をし,その
時に 12.0kJ の熱を周囲に放出したとすると,この気体 1kg あたりの内部エネ
ルギの増加はいくらか。
工業熱力学演習問題解説
平成 26 年 5 月 8 日 (木)
【解説 1】
熱バランスの式を用いる。しかし、氷は解けて水になることに注意する。氷
の量を mi 、解ける前の水の量を mw とする。氷の比熱を Ci 、水の比熱を Cw 、
氷の最初の温度 Ti 、融解熱を Hm 、コップの水の温度を Tw とし、最終温度
を T として、解ける前と解けたあとのエネルギは等しい (変化なし) として、
式を立てる。
mi Ci (T0 − Ti ) + mi Hm + mi Cw (T − T0 ) + mw Cw (T − Tw ) = 0
この式から、氷の量 mi を求める。
氷の量は 19.2g
【解説 2】
サイクルを行なっているので、収支はゼロになる。第1の過程の仕事を
W1 (W1 > 0)、第2の過程の熱を Q2 (Q2 > 0)、第3の過程の仕事を W3 (W3 <
0)、第4の過程の熱を Q4 (Q4 < 0) とする。収支は簡単にずべて + でつないで
U2 − U1 = 0 = W1 + Q2 + W3 + Q4 = 850 + 4500 + W3 − 3550
であるので、未知数 W3 を求める。正ならば受けた仕事、負ならば外にした仕
事になる。計算すると W3 = −1800J であるので、外にした仕事となる。「外
に」を解答にも書くこと
外に仕事 1.80kJ をした。
【解説 3】
熱のバランス式の基礎的な問題。はじめの内部エネルギーを U1 、終わりを U2
とし、この間に仕事 W と熱 Q を受けた。ただし、Q は放出した問題なので
マイナスである。仕事は力を F 、距離を l として、W = F l である。つまり、
W = F l = 132 × 0.200kNm = 26.4kJ、Q = −12.0kJ である。単位を揃えて、
U1 + W + Q = U2
であるので、内部ネルギーの変化 ∆U = U2 − U1 = W + Q を計算すれば良
い。そして、1kg あたりの内部エネルギー u は、∆U = m∆u であるので、∆u
を求めて答えになる。
内部エネルギーの変化 ∆u は 57.6kJ/kg 増加