第10回 (2014/06/19)

工業熱力学演習問題
平成 26 年 6 月 19 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
◦
空気を温度 250 C,圧力 2.10MPa の状態から急激にポリトロープ変化で膨張
◦
させて 180 C,圧力 0.918MPa となったときのポリトロープ指数を求めよ.
【問題 2】
◦
空気を急速に温度 147 C、体積 0.0450m3 、圧力 140kPa から体積 0.130m3 ま
で変化させた。このとき、変化を可逆断熱として変化での仕事を求めよ。た
だし、空気の定圧比熱とガス定数は、1.01kJ/kgK, 287J/kgK とする。
【問題 3】
1つの管に 300K の窒素 (N2 ) が 10.0 kg/min、もう1つの管に 900K の炭酸
ガス (CO2 ) が 15.0 kg/min 流れており、一つの管に合流して混合する。混合
は等圧で行われるものとして混合後の温度を求めよ。ただし、窒素と炭酸ガ
スの比熱はそれぞれ 1040, 1235J/kgK と一般ガス定数を 8.31kJ/kmolK とし、
元素の質量数を C=12, O=16; N=14 として計算せよ。また、次の表を活用し
て計算せよ。
ガ ス
窒 素
N2
炭酸ガス CO2
混合後
分子量
kg/kmol
28
44
—
比熱 cp
J/kgK
1040
1235
温度 T
K
300
900
流量 m
kg/s
0.250
mcp T
kW
工業熱力学演習問題解説
平成 26 年 6 月 19 日 (木)
【解説 1】
教科書にある問題。
問題には、はじめの P1 , T1 と膨張後の P2 , T2 が与えられている。計算で用い
る温度は絶対温度 K である。まだ間違える学生がいる。予習復習をしていな
いのが原因。
n−1
ポリトロープ指数を n とすると,T /P n = 一定であるので,
T1
n−1
P1 n
=
T2
n−1
(
であるので、
P2 n
両辺の対数をとって,
T1
P1
=
T2
P2
) n−1
n
n−1
log(T1 /T2 )
=
n
log(P1 /P2 )
であるので,これから n を求める.
n = 1.21
【解説 2】
断熱変化の仕事は、dQ = dU + dW で dQ = 0 であるので、dU = −dW つ
まり、
W12 = U1 − U2 = mcv (T1 − T2 )
この式を計算すればいいが、題に与えられていないのは、T2 , m, cv 与えられ
ているのは、T1 , V1 , P1 , V2 , cp , R である。ここで使う式は、覚えていなければ
ならない式のみ
• 断熱変化であるので、T V R/cv = 一定
• 気体の状態式から P V = mRT
( )R/cv
V1
これから、T2 = T1
である。すると、
V2
W12 = mcv (T1 − T2 ) =
P 1 V1
(cp − R)(T1 − T2 )
RT1
ですべての変数の値が求まるので、これを計算すればよい。
より簡単には、更に式を変形する。
(
W12
P 1 V1
P1 V1
T2
P1 V1
cv (T1 − T2 ) =
(T1 − T2 ) =
1−
=
RT1
(κ − 1)T1
κ−1
T1
)
として W12 を求める。工業熱力学の中では覚えなければならない式を組み合
わせた問題になっている。式さえ覚えていれば易しい問題
仕事 5.45kJ 。
【解説 3】
授業で表を用いたほうが簡単であるとして、授業中に例題を実際に計算した。
問題に出すと解けないのは授業中に集中力を欠くからである。実際に表を使っ
た人には部分点を与えている。
等圧混合であるので、
(混合前エンタルピ)
∑
mi cpi Ti = (混合後エンタルピ)
i
∑
mi
i
∑
cp T
(1)
i
という式で求められる。
ガ ス
窒素
N2
炭酸ガス CO2
混合後
分子量
kg/kmol
28
44
—
比熱 cp
J/kgK
1040
1235
1157
温度 T
K
300
900
684
流量 m
kg/s
0.167
0.250
0.417
mcp T
kW
52.0
278
330
(a) 表中の 0.250 は、min(分) を用いることができないので、秒単位にしている
だけのこと。15.0g/min=0.250g/s であるので、同じように窒素の流量も計
算できるはず。
(b) m が計算できたら、mcp T も単純に計算すればよい。
∑
(c) m の合計
mi を計算する。0.417 kg/s である。
∑
(d) mcp T の合計は
mi cp i Ti を計算する。330 kW になる。
(e) cp は、J/kgK という単位を持つので、
cp =
mN 2 cp N 2 + mCO2 cp CO2
mN 2 + mCO2
(2)
である。
(f) 次には
∑
(mcp T ) =
∑
m · cp Tm
から
Tm =
∑
(mcp T )/
∑
m · cp
として温度 Tm を計算する。
温度は 684 K
表のどの部分をどんな順番で埋めていったか、研究すればマスターできる。