光学活性 Cp*Ru(PN)錯体触媒による対称環状イミド 類の不斉水素化分解 (東工大院理工・フロンティア創研)伊藤正人・○坂口綾香・碇屋隆雄 Asymmetric Hydrogenolysis of Symmetrical Cyclic Imide Catalyzed by Optically Active Cp*Ru(PN) Complexes (Graduate School of Sci. and Eng. and Frontier Collaborative Res. Center, Tokyo Inst. of Tech.) ITO, Masato; SAKAGUCHI, Ayaka; IKARIYA, Takao 1. われわれはこれまで,PN 配位子を有する Cp*Ru 錯体(Cp*: η5-C5(CH3)5, PN: アミン −ホスフィンキレート配位子)[1] の水素分子の活性化能および極性官能基の還元能を 活用したイミドおよび N-アシルカーバメート類の水素化分解について報告してきた [2]. 今回新たに,光学活性 PN 配位子を有する Cp*Ru 錯体が対称環状イミド類の非対称化 を伴う不斉水素化分解触媒として有効であることを見いだしたので報告する.2.3. 光 学活性 PN 配位子を有する Cp*Ru 錯体と塩基の存在下、グルタルイミド(1)は水素化分 解され、対応する光学活性ヒドロキシアミド(2)を与えることがわかった.生成物のエ ナンチオ選択性は配位子の構造や基質の置換基の影響を受け、プロリン由来の PN 配 位子を用いた場合、最高 72%ee の還元生成物が得られた. R' H2 + N O 10-30 atm R 1 S/C = 100 R, R' = CH3, CH3 = CH2C6H5, C6H5 = CH2C6H5, 4-FC6H4 O R' ∗ Cp*RuCl(PN*) KOt-C4H9 2-propanol 80 °C HO HN R 2 PN*) O Ph2P NH2 R Ph2P HN 本反応で得られた光学活性ヒドロキシアミド(2)は、パロキセチンやフェモキセチンな どの抗鬱剤の合成中間体として重要な光学活性ピロリドン(3)に容易に変換できる。反 応選択性に及ぼす諸因子について議論するとともに反応機構について考察する。 F Ar 2 1) PPh3 CBr4 2) NaH O N R 3 O O O N H2Cl (-)-Paroxetine HCl [1]Organometallics. 2003, 22, 4190. [2] 第 79 春季年会予稿集, 4G4-05
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