抗酸菌染色 (チール・ネルゼン)

抗酸菌染色
(チール・ネルゼン)
Ziehl-Neelsen method for acid fast bacteria
グラム陽性菌
青黒色
グラム陰性菌
赤色
核
濃赤色
線維素
赤色
原形質
桃色
グラム染色
グラム陽性
グラム陰性
球菌
coccus
ブドウ球菌
連鎖球菌
淋菌
桿菌
bacillus
乳酸菌
枯草菌
大腸菌
サルモネラ菌
(腸内細菌)
目的
組織内の抗酸菌および抗酸性物質の証明に用いられる。
原理
抗酸菌はミコール酸と呼ばれる脂質が大量に含まれている。
そのためフクシンなどの塩基性色素の水溶液には染まりにくいが、石炭酸の
存在下では強く染色される。
このように染色したものは水、無機酸溶液、アルコールにより脱色されにくい
(水、酸、アルコール耐性)
抗酸菌染色は無機酸(塩酸、硫酸)による脱色・分別に抵抗する性質を利用
したもの。
結核菌
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、ヒトの結核の原因となる真正細
菌。
1882年、細菌学者ロベルト・コッホにより発見された。
ヒトの病原菌としては、コッホの原則に基づいて病原性が証明された最初の
ものである。
グラム陽性桿菌である抗酸菌の一種であり、細胞構造や培養のための条件
など多くの点で他の一般的な細菌と異なる。特に、ミコール酸と呼ばれる
特有の脂質に富んだ細胞壁を持つため消毒薬や乾燥に対して高い抵抗
性を有する。
保菌者の咳やくしゃみなどの飛沫、あるいはそれが乾燥したものを含むほこ
りなどから空気感染し、肺結核をはじめとする各種の結核の原因となる。
コッホの原則
• ある一定の病気には一定の微生物が見出されること
桿菌
• その微生物を分離できること
• 分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること
• そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること
球菌
試薬
• カルボール・フクシン液
石炭酸結晶(溶解) 2.5ml
100%アルコール 5.0ml
塩基性フクシン 0.5g
蒸留水 50.0ml
• 1%塩酸アルコール
• Lofflerのメチレン青液
原液
メチレン青5gと純エタノール100mlを混ぜ、密閉して37℃孵卵器中に1週間ほど
入れて溶解し、上清を濾過して使用する。
塩基性フクシン
(CH3)
Cl
H
N=
NH2
=C
H
NH2
(CH3)
塩基性フクシンの構造式は上記の通り。
カルボール・フクシン液の作製は処方の順序に試薬ビンに入れ、石炭酸アルコー
ル混合液の中に塩基性フクシンを入れ、十分に溶解させ、最後に蒸留水を加える。
メチレン青 (methylene blue)
N
H3C
N
N+
S
CH3
Cl-
CH3
CH3
メチレンブルーは金魚やメダカなどの魚の細菌トラブルの治療薬としても使われている。
原生動物
真菌
白点病 ・ 白雲病 ・ 黒斑病 ・ 黒ソブ ・ ツリガネムシ病
水カビ病
染色方法
脱
パ
ラ
・
水
洗
カ
ル
ボ
ー
ル
・
フ
ク
シ
ン
液
30分
流
水
水
洗
1
%
塩
酸
ア
ル
コ
ー
ル
30秒
流
水
水
洗
メ
チ
レ
ン
青
液
2秒
流
水
水
洗
脱
水
・
封
入
注意
• 塩酸アルコールによる分別は、切片が薄い桃色くらいになれば十分であ
る。この後流水中で水洗すると、切片の薄桃色はやや濃くなるようにみえ
る。
• メチレン青による染色は組織成分などの後染色を目的とするものであり、
数秒間でよい。あまり濃くない方が感じのよい染め上がりとなる。濃い場
合は60~70%アルコールで分別するとよい。
染色結果
結核菌等の抗酸菌
明赤~濃い赤色
セロイド等の抗酸性物質
明赤~濃い赤色
組織成分
淡い青色