ケミカルヒートポンプグループ 2-プロパノ-ルの脱水素反応の 非定常操作法の研究 工場からの 排熱など (80℃程度) ケミカルヒートポンプ 200℃程度に 昇温し、再利用 (CH3)2CHOH(l) → (CH3)2CO(g)+H2(g) ⊿H=100kJ/mol [ 2-プロパノール → アセトン+水素 ] (CH3)2CO(g)+H2(g) → (CH3)2CHOH(l) ⊿H=ー55kJ/mol [ アセトン+水素 → 2-プロパノール ] 80℃程度の低品位の熱を2-プロパノールの脱水素反応の反応熱に 利用し化学物質の形で蓄え、アセトンの水素化反応で熱を取り出すこ とにより、工業的に有用な200℃程度の熱を得る。 非定常操作法とは? 2-プロパノールの定常場における脱水素反応では、生成物であるアセトンの触 媒表面への吸着が起こり、反応の阻害とそれによる転化率の低下が問題となっ た。そこで考えられたのが非定常操作法である。加熱された触媒表面上に極少 量の原料をスプレー状に噴霧すると、液体の薄膜が形成され、2-プロパノール の脱水素反応と蒸発が瞬時に起こる。このとき、生成物の水素とアセトンは速や かに気相に放出される。平衡を制御することで反応場を非平衡化し、さらに非定 常操作によりアセトンの吸着を抑制し、高転化率、高反応速度を得ることができ る。 右に反応装置図を示した。非定常操作 反応器はスプレーノズル反応器とも呼ば れ、スプレーノズルに電磁弁・タイマーが 接続されていて、電磁弁の開閉時間をタ イマーで制御することによって触媒表面 への原料供給を調節する。また、 反応器 底部にはプレート状触媒を加熱するため のヒータが設置されている。 非定常操作法の特長 ・反応の生成物が速やかに系外に放出されるため、逆反応を 防げるとともに、反応を生成側にシフトでき、平衡を超えた転 化率が得られる。 ・触媒表面を液膜で覆うため、そこには液相反応に比べ高濃 度の2-プロパノールが存在することになり高い反応速度が 得られる。 ・1回のスプレーの後にインターバルが存在することにより、生 成物が反応場から放出され、触媒表面は常にフレッシュな状 態に保たれる。これにより、繰り返し操作を行っても初期の 転化率が高い状態を常に維持できる。
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