第 2 回 入試で使える数学小技 ○外積(数学 B) ・外積とは? ※この分野は,完全に大学での数学(線形代数学)範囲であるため,原理の説明は省略する. n 二つの異なる空間ベクトル a = ( x1 , y1 , z1 ) , b = ( x2 , y2 , z2 ) の両方に垂直 a なベクトルのひとつとして n = ( y1z2 − y2 z1 , z1 x2 − z2 x1 , x1 y2 − x2 y1 ) が考えられる. b 覚え方 a x1 y1 ① b x2 この y2 - z1 x1 ② z2 y1 x 成分, y 成分, z 成分の順 に書き,さらに x 成分, y 成 ③ x2 両ベクトルの成分を, y2 分をもう 1 度書く. の矢印の積の差を順に n = ( ① , ② , ③ ) 確かめ n = ( y1z2 − y2 z1 , z1 x2 − z2 x1 , x1 y2 − x2 y1 ) が a = ( x1 , y1 , z1 ) , b = ( x2 , y2 , z2 ) 両方に垂直 であることを確かめておく. n ⋅ a = ( y1 z 2 − y 2 z1 )x1 + (z1 x2 − z2 x1 ) y1 + ( x1 y 2 − x2 y1 )z1 = x1 y1 z 2 − x1 y 2 z1 + x2 y1 z1 − x1 y1 z 2 + x1 y 2 z1 − x2 y1 z1 =0 n ⋅ b = ( y1 z 2 − y 2 z1 )x2 + (z1 x2 − z 2 x1 ) y 2 + ( x1 y 2 − x2 y1 )z 2 = x2 y1 z 2 − x 2 y 2 z1 + x2 y 2 z1 − x1 y 2 z 2 + x1 y 2 z 2 − x2 y1 z2 =0 よって, n ⊥ a , n ⊥ b であることが確認できる. ※記述試験で外積を使う際( 2 つのベクトルに垂直なベクトルを求めるような場合)は, 偶然見つけたようにさらりと書いてしまえばよい.(入試例題の解答参照) 入試例題 座標空間において, 2 点 A ( ) ( ) 6 , 2 , − 6 , B − 2 , 2 3 , 2 がある.原点を O とする とき, 以下の問いに答えよ. (1) 2 つのベクトル OA , OB の両方に垂直である単位ベクトル p をすべて求めよ. (2012 成蹊大学 抜粋) [解答] OA = ( ( ) 6 , 2 , − 6 , OB = − 2 , 2 3 , 2 6 − 6 2 ① − 2 6 ② ( 2 ③ − 2 2 2 3 ) 2 3 ) ① 2⋅ 2 − − 6 ⋅2 3 = 2 2 + 6 2 = 8 2 ② (− 6 )⋅ (− 2 ) − ( 6⋅ 2 = 2 3−2 3 =0 ) 6 ⋅2 3 − 2⋅ − 2 = 6 2 + 2 2 = 8 2 ③ ( , 0 , 8 2 より, 8 2 ) が OA , OB 両方に垂直なベクトル. )も 定数倍しても垂直であることには変わらないので, (1, 0 , 1 OA , OB 両方に垂直なベクトル. ) が考えられる. OA , OB の両方に垂直であるベクトルの 1 つとして n = (1, 0 , 1 n = 12 + 0 2 + 12 = 2 であるから, p=± 1 n ⋅n = ± 1 (1 , 0 , 1 ) 2 比較のため, 一般的な解法を次ページに載せる. 正攻法 OA = ( ) ( 6 , 2 , − 6 , OB = − 2 , 2 3 , 2 p = ( x , y , z ) とおく. このとき OA ⋅ p = 0 OB ⋅ p = 0 であるから p =1 6x + 2 y − 6z = 0 … ① − 2 x + 2 3 y + 2z = 0 … ② x2 + y2 + z2 = 1 … ③ ①+②× 3 より y=0 … ④ ①× 3 -② より 4 2x − 4 2z = 0 z=x … ⑤ ③に④,⑤を代入して x2 + x2 = 1 2x2 = 1 両辺を 2 乗して 2x2 = 1 1 1 x2 = であるから x = ± 2 2 ④,⑤より 1 1 1 ± , 0 , p = ± (1 , 0 , 1 ) =± 2 2 2 )
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