NB - Tsuji Lab

3回生「材料組織学1」 緒言 2014 年度 担当:辻 名前:回答例
問題5
(1) A 原子と B 原子からなる二元固溶体において、配列のエントロピーだけを考
えた場合に、混合のエントロピー変化 ΔSmix が(2.25)式のように表せることを、
スターリングの公式を用いて示せ。
(2) A 原子と B 原子からなる組成 X B の二元固溶体において、 A 原子および B
€
原子の化学ポテンシャルが、組成-自由エネルギー曲線の X B における接線の
X B = 0 および X B = 1 における切片として表すことができることを、(2.31)式を
€
もとに説明せよ。図を使ってもよい。
€
€
€
(1)統計熱力学より、エントロピーS は、乱雑さωを用いて以下のように表される。
(2.23)
S = k ln ω
配列のエントロピーだけを考える場合には、
ω config =
€
(N A + N B )!
(2.24)
NA! NB!
純金属 A(段階1)に金属 B を混ぜる(段階2)場合を考えると、純金属 A の段階
1では、区別できる原子の並び方は1通りだけなので、 S1 = k ln(1) = 0 だから、
€
(N A + N B )!
ΔSmix = S2 − S1 = S2 = k ln
NA! NB!
€
スターリングの公式 ln N!= N ln N − N をもちいると、
{
}
ΔSmix = k ( N A + N B ) ln( N A + N B ) − ( N A + N B ) − ( N A ln N A − N A ) − ( N B ln N B − N B )
€
€
{
= k ( N A + N B ) ln( N A + N B ) − N A ln N A − N B ln N B
}
€
ここで、アボガドロ数 N a と、A, B のモル分率 X A 、 X B を用いると、
€
NA = XA Na
NB = XB Na
€
であるから、
€
€
€
€
{
ΔSmix = k ( X A + X B ) N a ln( X A + X B ) N a − X A N a ln X A N a − X B N a ln X B N a
}
X A + X B = 1 なので、
€
€
€
ΔSmix = −k N a ( X A ln X A + X B ln X B ) = −R( X A ln X A + X B ln X B )
(2.25)
3回生「材料組織学1」 緒言 2014 年度 担当:辻 (2)
(2.31)式より、
G = µA X A + µB X B = µA + ( µB − µA ) X B
よって、
€
dG = ( µB − µA ) dX B
dG
= µB − µA
dX B
€
すなわち、
€
G = µA +
dG
X
dX B B
よって、 µA は組成-自由エネルギー( X B -G)曲線の切片である。
X B = 1 − X A であるから、 µB についても同様のことが言える。
€
€
€
€
図で表すと、Fig.2.11 のようになる。
€