解答例

 series
情報誌 第 18号 ( 2014.5)
1
「数学を楽しもう」no.9 解説編
(高等部向け)sin36,, cos36, を求めよ。
A
【方法 1 】
右図のように、頂角4A=36, の二等辺三角形を考える。4B=72, であるから、
この角の二等分線 BD を引くと、△ABD と△BCD は二等辺三角形となる。
36,
E
D
ここで、BC=1, AB=x とおくと、BC=BD=AD=1, AB=AC=x となる。
△ABC Q △BCD より AB:BC=BC:CD すなわち x:1=1: x -1 なので、
x0 x -1 1 -1= 0 x 2 - x -1 =0 x >0 より x =
1 +U 5
2
D から AB に垂線AE を下ろし、△ADE で三角比を求めると、sin36, =
] 8
12 -
さらに、三平方の定理より DE=
【方法 2 】
1 +U 5
4
9
2
C
B
AE
x
1 +U 5
= =
AD
2
4
10 - 2 U 5
=U
=cos 36,
4
h=36, とおく。5h=180, より、3h=180,-2h とする。これを利用して
sin3h =sin 0 180,- 2 h1 = sin 2h
さらに、2 倍角, 3 倍角の公式より
3sin h -4sin 3 h =2sin hcos h
sin h ' 0 よりsin h でわると、3-4sin 2 h = 2cos h であるから cos h = x とおくと 3-4 01 - x 21 =2x 4x 2 -2 x -1=0 x >0 より x =cos36, =
1+U 5
4
sin36, = U 1 2 - cos 2 36, より求められる。
2
(中・高等部向け)一辺の長さが 1 の正五角形の対角線の長さを求めよ。またそれを利用して正五角形を作図せよ。
A
右図のように、正五角形には頂角4A=36, の二等辺三角形 ABC が内接している。 この△ABC の BC=1 として、AB=
BC の中点Mから垂線を
立て、MN=BC となる
点 N を求める。
1+ U5
の長さを作図する。
2
72,
B
5
三平方の定理よりBN= U
2
BP=
であるから、BNを延長し、
中心に円弧を描き、点A を得る。
1
NP= とする。
2
A, B, C から距離 1 の点を求める。
A
1+ U5
であるから、点B を
2
P
N
N
M
P
1
2
N
U5
2
1
B
C
C
B
M
C
B
M
C
3
(中・高等部向け)右図のように、1, a という長さが与えられている。このとき、a 2 , U a の長さを作図せよ。
AB=a, AC=1 となる三角形のひとつ
AB=a, BC=1 となる線分ACを直径とす
△ABCをつくる。
る半円を描く。その中心をO とする。
AC を延長し、AD=a とする。
B から垂線を立て、半円との交点をD と
D を通り、BC に平行な線を引き、
する。△OBD において、三平方の定理
AB の延長線と交わる点をE とする。
を適用する。
△ABC Q △ADE であるから、
OD=
AB:AC=AE:AD すなわち
であるから、
a:1=AE:a +AE=a 2
]8
BD=
D
a C
1
A
a
a +1
a +1
a-1
,OB=
-1=
2
2
2
B
a +1
2
2
9 8
-
a-1
2
D
2
9 = Ua
E
O
A
a
4
B
C
1
(中・高等部向け) m, n を 0 以上の整数、k を k 0 以上の自然数とする。
命題 P : 「k )k 0 を満たすすべての自然数 k に対して、k =4m + 7n が成立する」を考える。
このとき、命題 P が真である k 0 を求め、命題 P を証明せよ。
m, n の小さい値に対して、k =4m + 7n を調べると、右図のように
なる。
k の値は、縦方向に 4 ずつ、横方向に 7 ずつ増える。
k が 4 つ連続する最小の値は、18, 19, 20, 21 であることがわかる。
k の値は縦方向に 4 ずつ増えるので、18+4=22 は必ず存在する。
同様に、19+4=23, 20+4=24, … というように、18 以降は連続した
自然数が形成される。
よって、k 0 =18
n
m
0
0
1
2
3
7
14
21
18
1
4
11
2
8
15
3
12
19
4
16
5
20
4
【解説】
この問題のねらいは、「実験や試行錯誤あるいは帰納的な推論の結果から、一般的な原理や法則を
見い出す手法」を使う能力を養うことである。この問題では具体的に、m, n の値を変化させながら k
の値の変化を追跡し、k がとびとびの値を取る性質から連続的に変化する性質に変わる臨界点を探る
ことになる。したがって、数学の公式を振りかざして適用するような手法では手ごわい問題である。
このような手法は科学的な手法の一つであり、この手法を活用する能力は現代社会で求められるも
のの一つでもある。実際、数学の大学入試問題においては、このような能力を測る問題が頻出されて
いる。