J-REIT市況の動向と今後の見通し

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2014年11月6日
J-REIT市況の動向と今後の見通し
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
シニアストラテジスト
丸山 俊一
アシスタントストラテジスト 深澤 俊雄
Japan
 東証REIT指数は、日銀による追加金融緩和の発表を受けて、11月4日に年初来高値
1,734.88ポイントを付けました。(直近11月6日前場終値では1,694.91ポイントと、足下では急
激な上昇の反動からやや調整しています。)
 本日公表された東京都心の10月の平均オフィス空室率は5.6%と、昨年7月から16ヵ月連続
で低下し、東京都心の平均賃料も年初から10ヵ月連続の上昇となるなど、不動産市況は改
善が続いています。
 J-REIT市況は、短期的には過熱感からボラティリティ(価格の変動性)の高い状況も想定さ
れますが、不動産市況の改善や日銀の追加金融緩和が実施されたことにより、今後も堅調
に推移すると思われます。
J-REIT市況は追加金融緩和後、11月4日に年初来高値更新
J-REIT市況の代表的な指数である東証REIT指数は、10月31日に発表された日銀による追
加金融緩和を受けて、11月4日に年初来高値1,734.88ポイントを付けました。(直近11月6
日前場終値では1,694.91ポイントと、足下では急激な上昇の反動からやや調整していま
す。)
さらに、東証REIT指数の配当利回りは足下3%台前半で推移しており、低水準の日本の長
期金利(10年国債利回り)との利回り格差は2.75%前後となっています(図表2)。J-REIT市況
は、安定的に高い配当利回りが期待できることや、為替変動などに対する影響が相対的に少
ないことなどが、下支え要因となっていると考えられます。
図表1:東証REIT指数
図表2:東証REIT予想配当利回りと長期金利
(ポイント)
(%)
6.0
1800
5.0
1700
利回り格差(①-②)
東証REIT配当利回り①
10年国債利回り②
4.0
3.0
1600
2.0
1500
1400
2013/11/6
1.0
2014/3/6
2014/7/6
(出所) Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
(注)2014年11月6日は前場終値の値で記載
2014/11/6
(日次、年月日)
0.0
2012年10月 2013年4月 2013年10月 2014年4月 2014年10月
(出所) Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
(月次)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
上昇の背景と今後の動向
J-REIT市況が堅調に推移すると予想される背景には以下の要因が考えられます。
(1)J-REIT市況を巡る良好な需給環境
日銀は10月31日、金融政策決定会合を開催し、保有残高について長期国債を年間約80
兆円(約30兆円追加)、ETF、J-REITはそれぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3
倍増)に相当するペースで増加するように買い入れを行うことなどを決定しました。これにより
東証REIT指数も大幅に上昇しました。今後も継続的な買い入れが実施されることから、JREIT市況は底堅く推移すると考えられます。
(2)不動産市況の改善の継続
本日、オフィス賃貸仲介業の三鬼商事が公表した東京都心の10月の平均オフィス空室率は
5.6%と、昨年7月から16ヵ月連続の低下となりました。また、東京都心の同月平均賃料も+
0.64%と、年初から10ヵ月連続の上昇となっています(図表3)。さらに、8月29日に国土交通
省が発表した「地価LOOKレポート」によると、4-6月期には調査対象地区の約8割(150地
点の内120地点が上昇、28地点が横ばい、下落は2地点にとどまる)が上昇しました(図表4)。
加えて9月18日に発表された「平成26年都道府県地価調査(平成26年7月1日時点)」によ
ると、三大都市圏では、住宅地の1/2弱の地点が上昇、商業地の2/3強の地点が上昇しまし
た。このように地価の上昇傾向は鮮明となっており、不動産市況の改善が窺えます。
このような要因を鑑みると、不動産市況、J-REIT市場の需給環境は極めて良好であると考え
られます。短期的には、過熱感からボラティリティ(価格の変動性)の高い状況も想定されま
すが、中期的には良好な需給環境、不動産市況の改善を背景に、一段の上昇が見込まれ
ます。
図表3 : 東京都心(※)平均オフィスビル賃料
図表4 : 地価上昇地区割合の推移
平均オフィス空室率
(%)
10.0
(円/坪)
18,000
9.0
17,500
8.0
17,000
7.0
16,500
6.0
16,000
平均オフィスビル賃料(右軸)
平均オフィス空室率(左軸)
5.0
11/10
12/10
13/10
(出所)Bloomberg、三鬼商事のデータを基に三菱UFJ投信作成、
※千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区が対象
15,500
14/10
(年/月)
(%)
90
80
70
60
全地区
東京圏
50
40
30
20
10
0
2010年Q2
2011年Q2
2012年Q2
(出所) 国土交通省のデータを基に三菱UFJ投信作成
縦軸は調査対象地域における地価上昇地域の割合を示す
2013年Q2
2014年Q2
(年/四半期)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
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ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
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