ブラジル特集vol.8:BCBが0.50%の利上げを発表

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2015年3月5日
ブラジル特集vol.8:BCBが0.50%の利上げを発表
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
アシスタントストラテジスト 深澤 俊雄
Federative Republic of Brazil
 3月3-4日(現地時間)、BCB(ブラジル中央銀行)はCOPOM(金融政策委員会)を開催し、
政策金利を0.50%引き上げ、12.75%とすることを決定しました(実施は5日)。2014年10月に
利上げを再開してから、4会合連続での利上げとなり、市場予想通りの結果となりました。なお、
利上げ幅は前回と同じ水準で、全会一致での決定となりました。
 声明文では、「マクロ経済の先行きやインフレの見通しを検討し、政策金利の引き上げを全会
一致で決定した」と、前回とほぼ同様の文言にとどまり、追加利上げの可能性は残存していると
みています。また、1月のIPCAインフレ率は7.14%と、食料品や住宅などが要因となって大幅に
上昇しており、このことも追加利上げの可能性を高めていると考えています。
 ブラジルレアル(以下、レアル)は、国営石油公社ペトロブラスの格下げ、干ばつ被害、国内
景気の低迷などから、当面は上値の重い展開が想定されます。しかし、インフレ抑制の姿勢や
財政健全化を進める路線に加えて、金利面での優位性、直接投資を中心にした海外からの
資本流入、国際商品市況の持ち直しなどが、今後のレアルの下支え要因になるとみています。
BCBは政策金利を0.50%引き上げ、12.75%にすることを決定
3月3-4日(現地時間)に開催されたCOPOMで、BCBは政策金利を0.50%引き上げ、
12.75%とすることを決定しました(実施は5日)。BCBは注視する1月のIPCAインフレ率が
目標ゾーン(2.5-6.5%、目標値4.5%)を超える水準であったことなどをうけて、今回の利上
げを決定しました。
BCBは2014年10月に利上げを再開してから、4会合連続で利上げを実施しており、また、
0.50%の利上げは3会合連続となっています。なお、前回に引き続き今回の利上げも全会
一致で決まっており、金融当局はインフレ抑制の姿勢を堅持しているとみています。
14
(%)
政策金利と2年国債利回りの推移
インフレ率(消費者物価指数・前年比)の推移
(%)
8.0
13
7.5
12
7.0
11
6.5
10
6.0
9
5.5
8
5.0
4.5
7
政策金利
6
2011/3/4
インフレターゲットの
上限値
2012/3/4
2年国債利回り
2013/3/4
2014/3/4
2015/3/4
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、3/4は発表ベース
(年/月/日・日次)
4.0
2011/1
2012/1
2013/1
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
2014/1
2015/1
(年/月・月次)
(注)土日祝日は前営業日のデータ使用
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
追加利上げの可能性は引き続き残存する見込み
声明文では、「マクロ経済の先行きやインフレの見通しを検討し、政策金利を0.50%引き
上げ、12.75%とすることを全会一致で決定した。バイアスはない」と、前回とほぼ同様の文言
にとどまり、追加利上げの可能性は残存しているとみています。
また、BCBが注視しているIPCAインフレ率は10月から3ヵ月連続で低下し、目標ゾーンに
一時収まっていました。しかし、1月のインフレ率は7.14%と、食料品や住宅などが要因となっ
て大幅に上昇しており、このことも追加利上げの可能性を高めていると考えています。
金利面の優位性や商品市況の持ち直しがレアルのサポート要因に
現状、ブラジル経済は、①汚職問題を発端にした国営石油公社ペトロブラスの格下げ、
②干ばつ被害による電力不安や給水制限への懸念、③国内景気の低迷(12月の小売売上
高が前年比0.3%の微増、1月の鉱工業生産指数が前年比5.2%の減少)などが引き続き
重石となり、景気回復にはしばらく時間を要すると思われます。また、ルセフ大統領が提出し
た税制優遇措置の縮小計画案がブラジルの上院議会で拒否されたことなどをうけて、4日の
レアルは一時約10年ぶりとなる1米ドル3レアル近辺まで急落しました。上記のことなどを考慮
すると、レアルの上値は当面重いと考えています。
しかし、金融政策ではインフレ抑制の姿勢を堅持し、財政政策では短期的に経済への痛み
を伴うものの、財政を健全化するための路線を進めています。このような状況下、①世界的に
低金利環境が続くなか、金利面で優位性があること、②海外からの資本流入が直接投資を
中心に堅調であること、③鉄鉱石をはじめとする商品市況に持ち直しの兆しがみられること
などが、今後のレアルの下支え要因になるとみています。
商品市況の推移
320
ブラジルレアルの推移(対円・対ドル)
(ポイント)
57
(円)
(米ドル)
1.40
305
54
1.60
290
51
1.80
275
48
2.00
260
45
2.20
245
42
2.40
230
39
215
36
2.60
ブラジルレアル安
対円(左軸)
2.80
対米ドル(右軸)
200
13/3/4
13/9/4
14/3/4
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
(注)商品価格指数(CRB指数)のデータを使用
14/9/4
15/3/4
(年/月/日・日次)
33
2011/3/4
2012/3/4
2013/3/4
2014/3/4
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
(注)NY市場、対米ドルは縦軸反転、土日祝日は前営業日のデータ使用
3.00
2015/3/4
(年/月/日・日次)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
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