中国の預金準備率引き下げについて

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
中国の預金準備率引き下げについて
2015年2月5日
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
チーフストラテジスト
石金 淳
 PBOC(中国人民銀行)は、4日夕刻、大手銀行向けのRRR(預金準備率)を0.50%引き下げ
19.50%とすることを決定しました(実施は5日)。PBOCがRRR引き下げに踏み切るのは、
2012年5月以来、約2年9ヵ月ぶりとなります。
 今回のRRR引き下げの背景には、昨年の実質GDP(国内総生産)成長率や固定資産投資
の伸びなどが目標を下回り、かつ低インフレがつづくなか、製造業PMI(購買担当者指数)の
2年4ヵ月ぶりである50ポイント(好不況の分岐点)割れにみられるように、未だ景気減速が
続いていることがあると考えられます。この状況を受け、中国当局は融資増加を通じた景気
支援の強化を決定したとみています。
 中国では、昨年9月に不動産政策の緩和への転換、11月には利下げが決定されましたが、
今回当局がRRR引き下げに踏み切ったことにより、景気支援の姿勢が一層明確化されたと
考えます。今後は、今回のRRR引き下げを含む景気対策の効果が浸透するにつれて、中国
の景気は徐々に底堅くなる見込みです。そして、このことは、中国との貿易等を通じて経済
関係が深い豪州、ニュージーランド、ブラジル等にも好影響を与えるとみています。
PBOCは2012年5月以来となるRRR引き下げに踏み切る
PBOCは、4日夕刻、大手銀行向けのRRRを0.50%引き下げ19.50%とすることを決定しま
した(実施は5日)。PBOCがRRR引き下げに踏み切るのは、2012年5月以来、約2年9ヵ月ぶ
りとなります。また、構造調整の推進と中小企業、農業、重要な水利事業支援のため、一定
比率以上の中小企業向け融資を行う都市商業銀行、および非県域農村商業銀行に対して
はさらに0.5%、農業発展銀行に対してはさらに4.0%、それぞれRRRの引き下げを認めること
も示しました。
(%)
中国 預金準備率(大手銀行)
22
21
20
19
18
17
16
15
09/2/4
10/2/4
11/2/4
12/2/4
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、2015年2月4日は発表ベース
13/2/4
14/2/4
15/2/4
(年/月/日)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
中国当局は景気支援の姿勢を一層明確化
今回のRRR引き下げの背景には、中国の景気減速が想定以上に進展しかねないとの見方
から、PBOCを含む中国当局が景気支援強化を図る判断を下したことがあるとみています。
中国では、昨年の実質GDP(国内総生産)成長率が7.4%、固定資産投資の伸びが前年
比15.7%になるなど、主要経済指標が目標(それぞれ、同7.5%、同17.5%)を下回りまし
た。また、インフレ率(消費者物価指数の前年比)は足下1%台の低水準で推移しており、さら
に、製造業PMI(購買担当者指数)が2年4ヵ月ぶりに50ポイント(好不況の分岐点)を割り込
んだことにみられるように、未だ景気減速が続いていると考えられます。
中国当局は、景気後退を未然に防ぐため、既に中小企業向けの減税や利下げ等の金融緩
和といった景気対策を打ち出していましたが、こうした状況を受け、中国当局は融資増加等を
通じ、景気支援の姿勢を強めるに至ったと考えます。
政策効果の浸透に伴い、景気は徐々に底堅くなる見込み(海外に好影響も)
中国では、量的拡大から質的向上を図ることなどを盛り込んだ経済構造改革が推進される
なか、今年の経済成長目標が引き下げられることが想定されます。しかしながら、中国当局
はその一方で、昨年9月末に国務院が住宅のローン規制や購入制限を緩め、2010年4月か
ら引き締めを本格化した不動産規制を事実上の緩和に転換するなど景気支援の姿勢を次
第に鮮明化してきており、一定水準の経済成長は必要との見解を持っていると考えられま
す。その文脈から今回のRRR引き下げはその延長線上にあり、当局の景気支援姿勢は一層
明確化されたとみています。
今後は、今回のRRR引き下げを含む景気対策の効果が期待されますが、金融面からの景
気支援が不十分と判断した場合、PBOCは追加の利下げやさらなるRRRの引き下げを打ち出
す可能性が十分あると考えています。そして、こうした中国金融当局の政策効果が浸透する
につれて、中国の景気は徐々に底堅くなる見込みです。そして、このことは、中国との貿易等
を通じて経済関係が深い豪州、ニュージーランド、ブラジル等にも、いずれ好影響を与えると
みています。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。