中国の利下げについて

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2015年3月2日
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
チーフストラテジスト
石金 淳
中国の利下げについて
 PBOC(中国人民銀行)は、2月28日夕刻、政策金利である貸出基準金利(1年)、預金基準
金利(1年)を0.25%引き下げ、それぞれ5.35%、2.50%にすると決定しました(3月1日実施)。
PBOCが利下げに踏み切るのは、昨年11月以来となります。
 中国では、景気減速の長期化や、昨今のインフレ率(消費者物価指数の前年比)の顕著な
低下などが懸念されています。そうしたなか、PBOCの利下げは実質金利を引き下げること
によって融資コスト低下等を促す景気支援策の一環として、決断されたとみています。
 PBOCをはじめとする中国当局の景気支援策の効果が浸透するに伴い、中国の景気は
徐々に底堅くなるとみています。また、そうした動きを受けて中国株は上昇基調となり、さら
に中国景気の底堅い動きは、中国との貿易等を通じて経済関係が深い豪州、ニュージーラ
ンド、ブラジル等にも好影響を与えるとみています。
PBOCは昨年11月以来の利下げを決定
PBOCは、2月28日夕刻、政策金利である貸出基準金利(1年)、預金基準金利(1年)を
0.25%引き下げ、それぞれ5.35%、2.50%にすると決定しました(3月1日実施)。PBOCが
利下げに踏み切るのは、昨年11月以来となります。PBOCは、同時に預金金利の上限引き
上げ(基準の1.2倍から1.3倍へ)も発表しました。
PBOCが利下げを決定した背景には、①不動産をはじめとする固定資産投資の伸び鈍化
が続いていること、②生産や景況感の動きが鈍く、景気減速が長引く懸念があったこと、など
から景気の足取りの重さが改めて認識されたことが根底にあるとみています。また、1月のイン
フレ率が0.8%の上昇と、前月(1.5%の上昇)から大幅に伸びが低下したこともあると考えてい
ます。
(%)
中国 貸出・預金の基準金利(1年)
7.0
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
預金基準金利
1.0
0.0
2010/03/01
2011/03/01
2012/03/01
2013/03/01
(出所)Datastreamのデータを基に三菱UFJ投信作成。直近の利下げは2月28日発表、3月1日実施
貸出基準金利
2014/03/01
2015/03/01
(日次)
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
景気支援策の一環としての利下げ
利下げ決定後の記者会見で、PBOCは昨年11月の利下げによって金融機関の貸出金利
が下がるなど一定の効果が認められるとしました。しかし一方では、経済構造調整のペースが
加速したことや、大半の国際商品市況が大幅に下落したことによる影響を受けてインフレ率が
低下し、実質金利が上昇してきました。そのため、融資コストの一段の引き下げが必要となり、
利下げに至ったことを示しました。
そして、この記者会見により、PBOCをはじめとする中国当局が景気支援の一環として、利
下げを決断したことが示されたとみています。
政策効果浸透により景気は底堅くなり、株価は上昇基調へ(海外にも好影響)
中国では、3月5日に全人代(第12期全国人民代表大会第3回会議)が開催され、経済成
長目標の引き下げや、量的拡大から質的向上への転換を図りながら経済構造改革を推進す
るという近年の政策スタンスの推進などが、打ち出されると想定されます。
その一方で、昨年9月末に国務院が住宅のローン規制や購入制限を緩めたことが示すよう
に、中国当局は2010年4月から本格化に引き締めてきた不動産規制を事実上転換していま
す。また、先述のようにPBOCは昨年11月の利下げに続き、今年2月にはRRR(預金準備率)
の引き下げを実施するなど景気支援の姿勢を次第に鮮明化しています。そうしたなか、今回
の利下げが全人代の直前に決定されたことなども考慮すると、中国当局は一定水準の経済
成長は必要であるとの見解を持っているとみています。
このため、今後もPBOCの追加利下げやRRR引き下げを含む中国当局の景気支援策が打
ち出される可能性は高く、こうした中国金融当局の政策効果が浸透するにつれて、中国の景
気は次第に底堅くなる見込みです。また、そうした動きを受けて中国株は今後堅調に推移す
ると考えています。さらに、中国の景気が底堅さを増すことは、中国との貿易等を通じて経済
関係が深い豪州、ニュージーランド、ブラジル等にも好影響を与えるとみています。
(ポイント)
中国 上海総合指数の推移
3,600
3,400
3,200
3,000
2,800
2,600
2,400
2,200
2,000
1,800
2013/2/27
2013/8/27
2014/2/27
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成、土日祝日は前営業日の値を記載
2014/8/27
2015/2/27
(日次)
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