国内外株式市況下落の背景と今後の見通し

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2015年1月7日
国内外株式市況下落の背景と今後の見通し
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
シニアストラテジスト
岸 義明
アシスタントストラテジスト 深澤 俊雄
Japan
 今年に入り、国内外の株式市況は調整しています。これは、2014年12月のFOMC(米連邦
公開市場委員会)において、堅調な米国経済を反映し、慎重ながらも金融政策の正常化に
一歩を踏み出したことなどを好感して、主要国の株価が上昇した反動によるものが大きく、
一時的なものであるとみています。
 なお、現状、国内外の株式市況が調整した背景には、①WTI原油価格が一時、50ドル割れ
の水準まで下落したこと、②ギリシャのユーロ圏離脱の可能性が報道されたことで、ユーロ
圏の先行き不透明感が高まったこと、③主要国の株価指数に高値警戒感があったこと、
などがあると考えられます。
 低迷する原油価格、ユーロ圏の先行き不透明感、そして、米国の利上げ実施などの問題が
残存していることから、株式などのリスク資産は一時的に不安定な状況が続くことが想定さ
れます。しかし、今後は世界経済の緩やかな回復を反映して、国内外の株式市況は堅調に
推移していくとみています。
今年に入り、主要国の株式は調整
今年に入り、国内外の株式市況は調整しています。2014年12月のFOMCにおいて、堅調
な米国経済を反映し、慎重ながらも金融政策の正常化に一歩を踏み出したことなどを好感し、
日本、米国、ドイツ、新興国など主要国の株価が上昇しました。それとともに、堅調な米国経
済を受けて米ドルが主要通貨に対して上昇しました。このように、国内外の株式市況の調整
は、12月のFOMC後に上昇した反動によるものが大きく、一時的なものであると考えています。
図表1:主要国・地域の株価指数騰落率
(%)
6
図表2:主要国の為替騰落率(対米ドル)
(%)
4
4
2014/12/31~2015/1/6
2014/12/16~12/31
2
2
0
0
-2
-2
-4
2014/12/16~12/31
2014/12/31~2015/1/6
-6
ドイツDAX30種
TOPIX
(東証株価指数)
S&P500種
(米国)
MSCI
エマージング
-4
-6
日本円
ブラジル
レアル
オーストラリア
ドル
メキシコ
ペソ
ユーロ
(出所)Bloombergのデータより三菱UFJ投信作成。
(出所)Bloombergのデータより三菱UFJ投信作成。
(注)土日祝日は前営業日の数値を利用。 2014年12月16日:12月のFOMC声明の前日
(注)土日祝日は前営業日の数値を利用。 2014年12月16日:12月のFOMC声明の前日
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
現状、原油価格の下落やギリシャの政局不安などにより、リスク回避の動きへ
現状、国内外株式市況が調整した背景には、以下3点の要因があると考えられます。
① WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油価格の下落に歯止めがかからず、
2015年1月6日に一時50ドル割れの水準まで下落し、約5年8か月ぶりの安値を付け
たこと。
② ドイツ国内において「政局不安のくすぶるギリシャがユーロ圏を離脱するという不測の
事態を想定した対応が考えられている」と報道され、ユーロ圏の先行き不透明感が
高まったこと。
③ 米国、日本、ドイツなどの主要国の株式が、2014年12月に年初来高値を更新し、
株価の高値警戒感がくすぶっていたこと。
特に日本では、上記の理由に加えて、リスク回避の動きから安全資産として円が買われ、
為替が主要通貨に対して円高になったことなどから、日本株は大きく調整したものと考えてい
ます。
今後は原油安などの恩恵を受け、国内外の株式市況は堅調に推移する見込み
今後は、資源安の悪影響を大きく受けるロシア、高金利・高コスト構造で低成長継続のブラ
ジル以外では、内需中心の自律的な成長過程に入った米国、豪州、中国、インド、ASEAN
(東南アジア諸国連合)や消費増税の景気下押し圧力の一巡、賃上げ・円安・景気対策の
効果等が期待される日本などが緩やかな世界景気の拡大に貢献すると考えています。
なお、昨今の資源安の世界景気に対する影響については、世界の中で資源輸出国は限ら
れており、むしろ米国を中心に恩恵を受ける国(日米欧先進国や中国、インドなど)が多く、世
界景気を押し上げる要因になると思われます。
足下、低迷する原油価格、ユーロ圏の先行き不透明感、そして、米国の利上げ実施など
問題が残存していることから、株式などリスク資産は一時的に不安定な状況が続くことが想定
されます。しかし、上記の通り、今後は世界経済の緩やかな回復を反映して、国内外の株式
市況は堅調に推移していくとみています。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。