豪州特集 vol.10:RBAが政策金利の据え置きを発表

Strategy Report
Mitsubishi UFJ Asset Management
2015年3月3日
豪州特集 vol.10:RBAが政策金利の据え置きを発表
Commonwealth of Australia
グローバル・マーケット・ストラテジー・チーム
アシスタントストラテジスト
清水 翔
 3日、RBA(豪州連邦準備銀行)は金融政策決定会合を行い、市場予想(0.25%の利下げ)に
反し政策金利を維持することを決定しました。
 政策金利据え置きの背景には、経済成長のペースがトレンドを下回っているものの、労働コ
ストの伸びが緩慢なことや通貨安が下支えとなり、今後の成長見通しに概ね変更がなかっ
たことがあるとみています。これを受け、豪ドル(対米ドル・対円)は小幅に上昇しています。
 今後の豪ドルは、日銀が基調としてはRBAより強力な金融緩和(=円安)を実施しており、資
源価格の回復が緩やかに推移することなどを踏まえると、対米ドル、対円で底堅い展開が
続くと思われます。一方、豪州債券は、主要先進国の中では高金利・高格付であることから、
今後も資金流入が見込まれ、豪州債券市況は底堅くするとみています。
政策金利の据え置きを発表
3日、RBAは金融政策決定会合にて市場予想(0.25%の利下げ)に反し政策金利を維持す
ることを決定しました。声明文では前回に引き続いて景気の基調判断は弱いとしています。
もっとも、RBAのスティーブンス総裁は声明文にて追加緩和を示唆したこともあり、豪ドルの動
きは小幅なものとなっています(14:00時点)。
図表1 RBA金融政策決定会合―声明文要旨―
項目
図表2 豪州政策金利の推移
内容(前回からの主な変更点は下線)
景気の基調判 成長ペースは足下国内需要の弱さを背景にトレンドを下回っており、
断は?
今後も幾分下回る期間が長くなる見込み。
信用の伸び
は?
住宅市場における投資目的のローンが増加しているが、関連当局とと
もに住宅市場に起因するリスクを抑えるべく行動している。また、長期
金利の低下を背景に株式や商業用不動産は上昇した。
インフレは?
CPIの低い伸びは原油価格の急落等を反映しているが、基調インフレ
への影響は軽微である。インフレ率は、労働コストの控えめな伸びを
反映し、為替レートが下落しても今後2年間の目標と一致するものと見
込んでいる。
豪ドルは?
豪ドルはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から想定される水準
を上回っている。更なる豪ドル安は豪州経済がバランス良く成長する
ために必要である。
政策金利は変更せず2.25%とすることを決定。今後、持続的な成長
金融政策方針
と目標に沿ったインフレ率を達成するために、追加緩和が適切になる
は?
可能性がある。
(出所)RBA声明文を基に三菱UFJ投信作成
(年/月/日、日次)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
土日祝日は前営業日の値を記載。
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
内需主導の自律的な成長を維持、債券投資の魅力続く
RBAは資源価格などの下落による低インフレ懸念が燻るなか、さらなる景気浮揚を目的とし
て2月に利下げ実施に踏み切りました。しかし、失業率が高水準で推移するとともに、国内設
備投資に持ち直しの兆しが見られないなど冴えない経済指標の発表が続くなか、今回の政策
金利据え置きは市場にとって予想外の結果となりました。ただし、声明文では今後も追加的な
金融緩和の実施を示唆しており、豪ドルの上昇をけん制する意味合いもあったとみています。
一方、豪州の個人消費を取り巻く環境は、消費性向を示す消費者信頼感指数がおよそ一
年ぶりの水準に改善するとともに、小売売上高も2014年10ー12月期は前期比1.5%の成長
を見せています。また、原油安は一定の原油を輸入する豪州にとってポジティブに作用する
考えられることから、今後も底堅い内需がけん引役となって安定した経済成長が続くと考えて
います。
現在の債券市場における市場の政策金利織込度合い(OIS)は、4か月先程度で2.0%を
若干下回っており、低インフレ環境と世界的な通貨安競争の様相を鑑みると、更なる利下げ
(0.25%程度)の可能性も考えられます。よって、豪ドルは、日銀が基調としてはRBAより強力
な金融緩和(=円安)を実施しており、資源価格の回復が緩やかに推移することなどを踏まえ
ると、対米ドル、対円で底堅い展開が続くと思われます。一方、豪州債券は、高金利・高格付
債券であり、当面世界的に金融緩和環境が続くなか、同国の債券市場への資金流入が継続
し、債券市況の追い風になるとみています。
図表3 商品市況の推移
(円)
図表4 豪ドル(対円・対米ドル)の推移
(年/月/日)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
(米ドル)
(年/月/日)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定
はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前
の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますので、基準価額は変動し
ます。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とは
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社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
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Mitsubishi UFJ Asset Management
図表5 消費者信頼感指数の推移
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
図表6 主要先進国の国債利回り(3月2日時点)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
図表7 政策金利の市場の織込度合い(OIS)
(出所)Bloombergのデータを基に三菱UFJ投信作成
OISとはオーバーナイト・インデックス・スワップ(直近時点は
3月3日14時30分時点)。
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なりません。金融商品取引業者以外でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。本資料は当
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