1.2 位置ベクトルと成分表示 1.2 5 位置ベクトルと成分表示 JJJG 前節 1.1 の幾何ベクトルは AB のように表せたが,それを平行移動することで始点 A は JJJG JJJG 任意におくことができる.とくに,固定された点0に移動させて, AB = OP のようにで きる.以下では始点を固定させたベクトルを考えよう. JG JJJG 平面上に1点 O を固定する.このとき平面上の任意の点Pに対して,ベクトル p = OP JG 位置ベクトル position vector という.逆に,ベク が定まる.このベクトル p を,点Pの位置ベクトル JG JG JG JJJG トル p が任意に与えられるとすると, p を位置ベクトルとする点P,つまり p = OP とな る点Pが平面上に定まる. 空間に1点Oを固定して,空間の任意の点Pに対しても,同様に点Pの位置ベクトルが 定まる. 平面,または空間で直交座標系が設定されているときは,点Pの位置ベクトルとして, JJJG 常に原点Oを始点とするベクトル OP を考えるものとする. 座標平面上の原点をOとする.点E(1,0),F(0,1) について G JJJG G JJJG i = OE, j = OF とおき,これらを x 軸方向および y 軸方向の基本ベクトル 基本ベクトル fundamental vector, , JJJG standard unit vector という.Oを始点、Aを終点とするベクトル OA をAの位置ベク 位置ベク トル position vector, located vector という. G G JJJG 平面上のベクトル a に対して, a = OA となるように点A( ax , a y ) をとると G G G a = ax i + a y j G と表すことができる. ax , a y をそれぞれ a の x 成分 x-component、y y 成分 y-component と G G G G いう.逆に,実数の組( ax , a y )に対して、 a = ax i + a y j によりベクトル a が定まる。こ れを G a = ( ax , a y ) と書き,ベクトルの成分表示 成分表示 representation by components という. G JJJG G JJJG a = OA = (a x , a y ) , b = OB = (bx , by ) について G G a = b ⇔ ax = bx , a y = by G G a + b = (ax + bx , a y + by ) G ma = (max , ma y ) 座標空間の原点をOとする.点E(1,0,0),F(0,1,0),G(0,0,1) について G JJJG G JJJG G JJJG i = OE, j = OF, k = OG とおき、これらを x 軸方向、 y 軸方向および z 軸方向の基本ベクトル 基本ベクトルという。空間のベク 基本ベクトル G G JJJG トル a に対して、 a = OA となるように点A( ax , a y , az )をとると G G G G a = ax i + a y j + az k 6 第1章 ベクトル G と表すことができる. ax , a y , az をそれぞれ a の x 成分, 成分, y 成分, 成分, z 成分という.逆に,実 成分 G G G G G 数の組( ax , a y , az )に対して, a = ax i + a y j + az k によりベクトル a が定まる.これを G G 2 2 2 成分表示という. その大きさは a = ax + a y + az a = (ax , a y , a z ) と書き,ベクトルの成分表示 成分表示 である. G ベクトル a が x 軸, y 軸, z 軸の正の方向となす角をそれぞれ α , β , γ とするとき, G a a a cos α = Gx , cos β = Gy , cos γ = Gz である. cos α , cos β , cos γ の値をそれぞれ a の a a a 方向余弦 direction cosine という. x 軸, y 軸, z 軸方向に対する方向余弦 G JJJG G JJJG a = OA = (ax , a y , az ) , b = OB = (bx , by , bz ) について G G a = b ⇔ ax = bx , a y = by , az = bz G G a + b = (ax + bx , a y + by , az + bz ) G ma = (max , ma y , maz ) これらの式から G G a − b = (ax − bx , a y − by , a z − bz ) G G ma + nb = (max + nbx , ma y + nby , maz + nbz ) さらに,統合すればベクトルの数を3個以上に拡張できる.記号を代えて JG xi = ( ai , bi , ci ) (i = 1, 2," , n) に対して n n n JG n m x = m a , m b , ∑ i i ∑ i i ∑ i i ∑ mi ci i =1 i =1 i =1 i =1 ( 2点 A ax , a y , az JJJG ( ) ( と B bx , by , bz から AB = bx − ax , by − a y , bz − az ) ) JJJG JJJG JJJG の距離はベクトル AB = OB − OA の大きさだ より 1.2 位置ベクトルと成分表示 AB = 7 (bx − ax ) + (by − a y ) + (bz − az ) 2 2 2 である. G G 位置ベクトルが a, b である2点A,Bに対し,線分ABを m : n に内分する点をPとす G G na + mb ると,Pの位置ベクトルは、 である.また,線分ABを m : n (m ≠ n ) に外分す m+n G G − na + mb る点をQとすると,Qの位置ベクトルは、 である. m−n A m G a P G r n G b B O 空間において,線分ABを m : n に内分する点をPとし,A,B,Pの位置ベクトルを G JJJG G JJJG JG JJJG a = OA = (ax , a y , az ) , b = OB = (bx , by , bz ) , p = OP = ( px , p y , pz ) とすると, px = na y + mby nax + mbx naz + mbz , py = , pz = m+n m+n m+n である.外分する点についても同様である. m : n に外分することは, m : − n に内分する(あるいは − m : n に内分する)と考え ればよい. G G 点Aを通り,ベクトル v (≠ 0) に平行な直線 l を考える. l 上の任意の点をPとする.A, G G JJJG G G G JJJG Pの位置ベクトルを a, r とおく。このとき、 AP = tv ( t は実数)と表され, r = a + AP だ G G G から直線 l はベクトルと媒介変数 t を用いて r = a + tv となる.このとき G 方向ベクトル direction vector という. v を直線 l の方向ベクトル ベクトルを用いて図形をあらわす方程式は、図形のベクトル方程式 ベクトル方程式という。 ベクトル方程式 この方法で直線を表せば,平面の直線がy軸に平行でも平行でなくても同じ扱い方で 表現できる.また,平面の直線も,空間の直線も同じ考え方で捉えられる. 8 第1章 ベクトル l A P O 座標空間における直線と平面の方程式をベクトル方程式から求めることができる. G G 直線上の任意の点をP( x, y, z )とし、A( x0 , y0 , z0 ), v = (vx , v y , vz ) ≠ 0 とおくと,A G を通り v に平行な直線 l の方程式は, x = x0 + tvx , y = y0 + tv y , z = z0 + tvz あるいは x − x0 y − y0 z − z0 = = vx vy vz (ただし、分母が 0 のとき、その分子を 0 とする) となる. 練習問題 1.2 (1) 2点A(1,1,4),B(-3,1,5) の間の距離を求めよ. (2) 2点A(1,1,4),B(-3,1,5) を結ぶ線分ABについて,次の各点の座標を求めよ. ① 中点 ② ABを 2:1 に内分する点 ③ ABを 2:1 に外分する点 (3) 次の直線の方程式を求めよ. G ① 点 (1,3,5) を通り,ベクトル v = ( −1, 2, −5) に平行な直線 ② 2点A(1,2,4),B(-3,1,7) を通る直線 ③ 2点A(-3,2,5), B(-1,2,6) を通る直線 G ( ) (4) ベクトル a = −2,1, 2 5 の方向余弦を求めよ.また,このベクトルが x 軸, y 軸, z 軸の正の方向となす角を求めよ. (ヒント:角は逆三角関数を使うと表わせる)
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