3 次元ベクトルの外積 ベクトル a =    ax ay az    とベクトル b

 3 次元ベクトルの外積
 
 
ax
bx
 
 
ベクトル a = ay  とベクトル b = by  の外積は,次のように表される。
az
bz


ay bz − az by


a × b = az bx − ax bz 
ax by − ay bx
|a × b| = |a||b| sin θ (θ は a と b とのなす角)
▲「ベクトルの外積」と比較して,
「ベクトルの内積」とはいったいどんな意味だったか,
簡単におさらいしてみましょう。
ベクトルの内積とは,
「一方のベクトルを他方のベクトルの方向に射影してかけ算する」
ということです。ここで,ベクトルの内積はスカラーになります。
ベクトル a とベクトル b とのなす角を θ とおくと,
ベクトル a をベクトル b に射影したときの大きさは |a| cos θ となるため,
これらの内積は,a · b = |a||b| cos θ となります。
▲ベクトルの内積は,高校物理では「仕事」の計算をするときに用います。
▲それに対して,ベクトルの外積は,高校物理では「ローレンツ力」や「アンペールの力」
の計算で登場します。
▲ローレンツ力の計算を例にとると,外積の意味がわかりやすいかもしれません。
ベクトルの外積とは,
「2 つのベクトルを 2 辺とする平行四辺形の面積を外積の大きさとし,
前から後のベクトルへねじを回したときにねじが進む方向を外積の向きとする」
ということです。ここで,ベクトルの外積はベクトルになります。
ベクトル a とベクトル b とのなす角を θ とおくと,
ベクトル a とベクトル b を 2 辺とする平行四辺形の面積は,
1 |a||b| sin θ の 2 倍となるため,
これらの 2 つのベクトルを 2 辺とする三角形の面積 2
これらの外積の大きさは,|a × b| = |a||b| sin θ となります。
1
 
 
ax
bx
 
 
▲では,実際にベクトル a = ay  とベクトル b = by  とおいて,
bz
az
これらの外積を求めてみましょう。
外積の z 成分の計算方法さえわかれば,x,y 成分も同様にして求められるので,
とりあえずここでは z 成分だけ例にとってやってみたいと思います。
▲この外積の
a,b をそれぞれ xy 平面に射影したベクトル
( )z 成分は,ベクトル
( )
ax
bx
axy =
,bxy =
を 2 辺とする平行四辺形の面積となります。
ay
by
この面積の計算方法は,高校範囲でもいろいろありますが,
ベクトル axy ,bxy を 2 辺とする三角形の面積を Sxy とすると,
1 (a b − a b ) となるため,|a × b| = 2S = a b − a b となるといえます。
Sxy = 2
x y
y x
z
xy
x y
y x
a b x y
行列の知識を使うと,|a × b|z = = ax by − ay bx となります。
a y bx 以上から,x,y ,z 方向の単位ベクトルをそれぞれ ex ,ey ,ez とおくと,
ベクトル a と b の外積は次のように表されます。
a b a b a b y y
z z
x x
a × b = ex + ey + e
az bz ax bx ay by z
▲ベクトルの外積は,大学物理の教養範囲では主に電磁気学で登場します。
「ローレンツ力」はもちろん,電磁気学の原理である「マクスウェル方程式」は
ベクトルの内積・外積で表現されていますので,ぜひ知っておいてください。
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