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『本質を学ぶ ガロワ理論最短コース』
[参考] ガロワ理論の演習問題(2013 年 10 月 27 日)
ガロワ理論の演習問題です.主に多項式と群に関する演習です.
(本書に採
用した問題のうち,要点が確認できるものを多くとりあげました.
)これらの
演習を通してガロワ理論に慣れてください.一般の n に関する問題は,難し
い場合は n = 1, 2, 3, 4, 5 の場合に考えてみてください.解答は本書の問題を
参照してください
[多項式]
1 有理数係数を含む体を係数とする既約多項式は重根を持たないことを示せ.
2 2 次あるいは 3 次多項式 f (x) について,次の 2 つは同値であることを示せ.
(1)f (x) は既約である.
(2)f (x) は根を持たない.
[群 ]
3 n 次対称群 Sn は互換 (i j)(1 ≤ i < j ≤ n)で生成されることを示せ.
4 n 次対称群 Sn について次の問いに答えよ.
(1)i = 1, . . . , n − 2 に対して,(i + 1 i + 2)(i i + 1)(i + 1 i + 2) を計算
し,これは互換であることを示せ.
(2)(i + k i + k + 1)(i i + k)(i + k i + k + 1) を計算せよ.ただし
1 ≤ i ≤ n,1 ≤ k ≤ n,i + k + 2 ≤ n とする.
(3) Sn は互換 (1 2), (2 3), . . . , (n − 1 n) で生成されることを示せ.
5 n 次対称群 Sn について次の問いに答えよ.
(1)σ = (1 2 · · · n) に対して σ(1 2)σ −1 を求めよ(互換で表せ).
(2)(1)の σ に対して,σ k (1 2)σ −k を求めよ(k = 1, 2, . . . , n − 1).
(3)Sn は (1 2 · · · n), (1 2) で生成されることを示せ.
6 n 次交代群 An について次の問いに答えよ.
(1)3 次巡回置換 (i j k), (i k j) (i < j < k )を 2 つの互換の積で表せ.
(2)(i j k) たち(i < j < k )で生成されることを示せ.
1
7 2 個以上の元からなる有限群 G について次は同値であることを示せ.
(1)G は自明な部分群({e}(e は G の単位元)と G)しか持たない.
(2)G は素数 p 個の元からなる.
(ヒント:ラグランジュの定理(定理 4.4,本書 73 ページ))
8 5 で割った余りのなす体を F5 = {0, 1, 2, 3, 4} と表す(本書 79 ページ参
照).F5 から F5 への写像 x → ax + b (ただし a, b ∈ F5 , a = 0)全体のな
す集合を G とおく.この集合を写像の合成に関して群とみる.
(1)G は合成について閉じていることを確認せよ.
(2)G の元 σ が,ある i = j について σ(i) = k, σ(j) = l をみたすとき,σ
を求めよ.
(とくに σ(i) = i, σ(j) = j のとき,σ はどんな写像か?)
[ガロワ理論]
9 次の多項式と数の組 (a), . . . , (f) について,以下の(1)から(4)の問い
に答えよ.
√
√
2 (2 次)(b) x2 − x − 1, その根 (1 + 5 )/2 (2 次)
√
√
√
(c) (x2 − 2)(x2 − 3), 2 + 3 (4 次)(d) x3 − 2, 3 2 (1 − ω) (6 次)
√
(e) x3 − 3x + 1, 2 cos(2π/9) (3 次)(f) x4 − 2, 4 2(2 + i) (8 次)
(a) x2 − 2,
(1)それぞれに挙げた数が,多項式の原始元であることを確かめよ.
(2)多項式の判別式を計算せよ.
(ヒント:本書 3-5b, 3-6c の公式を使う.
)
(3)原始元を根に持つ有理数係数多項式を 1 つ求めよ.ただし多項式の次
数は数のあとに指定した次数とする.
(4)多項式の群を求めよ.ただし(3)で求めた多項式が有理数係数多項
式として既約であることを認めてよい.
(ヒント:例えば,
「すべての入れ換えからなる」とか,
具体的に入れ換えを列挙するなど.
)
10 次の (a), (b) の α, β, γ の値に対して,以下の(1),
(2),
(3)の式の値を
計算せよ.
√ √
√
(a) (α, β, γ) = ( 3 2, 3 2ω, 3 2ω 2 ) (問題 9-3a)
(b) (α, β, γ) = (2 cos(2π/9), 2 cos(4π/9), 2 cos(8π/9))
(本書 211,212 ページを参考)
(1) αβ + βγ + γα (2) α2 β + β 2 γ + γ 2 α (3) αβ 2 + βγ 2 + γα2
2
11 既約 3 次式 f (x) の群は,f (x) の判別式 D に応じて,次の群(と同型)
になることを示せ.
√
√
(1) D が定数のとき A3 (2) D が定数でないとき S3
12 p を素数とし,1 の原始 p 乗根 ζ = e2πi/p を定数とする(つまり根の式
を考える際に係数に ζ の式も許す).このとき次の問いに答えよ.
(1)xp − a(a は定数)が定数の根を持たないとき,多項式の群を求めよ.
(2)
(1)において,根の式のなす体は自明なもの(定数全体と根の式全体)
しかないことを示せ.
13 有理数係数多項式 f (x) = x5 − 10x + 5 の群を以下のようにして求める.
(1)f (x) はちょうど 2 つの虚数根を持つことを示せ(問題 10-12b 参照).
(2)複素共役が誘導する f (x) の根の入れ換えは,多項式 f (x) の群 Gf に
含まれることを示せ(155 ページの (∗) 参照).
(3)多項式 f (x) の群に含まれる元の個数 |Gf | は 5 で割り切れることを示
せ(問題 9-5b 参照).
(4)|Gf | が 5 で割り切れるとき
Gf には位数
5 の元が存在する(本書 10-10b
(
)
a1 a2 · · · a5
参照).この位数の元は a2 a3 · · · a1 と表されることを示せ(問題 10-11b
参照).
(5)f (x) の群は S5(と同型)であることを示せ(上の問題 20(3)を参照).
14 体 K から体 L への写像 σ : K → L が次をみたすとき,σ を体の準同型
(あるいは準同型写像,単に,準同型)という:
(i) 任意の a, b ∈ K に対して,σ(a + b) = σ(a) + σ(b)
(ii) 任意の a, b ∈ K に対して,σ(ab) = σ(a)σ(b)
(iii) σ(1) = 1
次の問いに答えよ(問題 11-1a 参照).
(1) σ(0) = 0 を確かめよ.
(2)任意の 0 でない a ∈ K に対して,σ(a−1 ) = σ(a)−1 を示せ.
(3)σ は単射であることを示せ.
15 K を体とする.重根を持たない d 次 K 係数多項式 f (x) の根の式全体の
なす体を L とし,L を含む体を M とする(根の式の係数は K の元とする).
また,L から M への(体の)準同型 σ が,K の元を変えないとする:任意
の a ∈ K に対して σ(a) = a をみたす.このとき,次の問いに答えよ.
3
(1)f (x) の任意の根 α に対して,σ(α) は f (x) の根であることを示せ.
(2)f (x) の根の式 g(α1 , . . . , αd ) = h(α1 , . . . , αd ) に対して,
g(σ(α1 ), . . . , σ(αd )) = h(σ(α1 ), . . . , σ(αd )) を示せ.
(3)σ は f (x) の群 Gf に含まれることを示せ(本書 115 ページ (∗) 参照).
4