この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 13 検 査 値 英文原著論文紹介 脈波伝播速度 (PWV)の増大は、踵骨の定量的 超音波骨評価値(OSI)の減少と関連を有する: 動脈硬化と骨代謝障害の関係について Hirose K, Tomiyama H, Okazaki R, Arai T, Koji Y, Zaydun G, Hori S, Yamashina A. Increased pulse wave velocity associated with reduced calcaneal quantitative osteo-sono index� possible relationship between atherosclerosis and osteopenia. J Clin Endocrinol Metab. 2003� 88� 2573-8. 広瀬健一(州山会 広瀬病院・東京医科大学第二内科) 冨山博史/岡崎 亮/新井富夫/小路 裕/グリニサ・ザイデン/堀 三郎/山科 章 背景 2.骨代謝障害の指標 いくつかの疫学・基礎研究により、動脈硬化性心血管 超 音 波 に よ る 定 量 的 踵 骨 骨 評 価 値(osteosono 系疾患と骨代謝障害との関連が示唆されている。しかし assessment index;OSI)をアロカ社製AOS-100を用 ながら、病態早期からの両病態の関連性については明確 いて測定。 でない。 対象 目的 定期的健康診断受診者 7,865 名(年齢 50 ± 12 歳、男 動脈硬化性心血管性疾患と骨代謝障害との、早期から (表1) 。 性 4,183 名、女性 3,682 名) の相互関連の有無を評価する。 結果 方法 直線回帰分析では、 1.動脈硬化の指標 ①骨評価値(OSI)と、脈波伝播速度(PWV)は、男 上腕ー足首間脈波伝播速度(brachial-ankle pulse 女とも有意な相関を示した。そして、その関係は女性 wave velocity;baPWV)をコーリン社製form ABI/ 。 においてより顕著であった(表2) ②女性では、閉経前後ともOSIとPWVは有意な単相関 PWVを用いて測定。 表1 対象の男女別臨床指標 男性 女性 4,183 年齢(歳) 51±12 身長(cm) 170±6 23.8±2.8 BMI(kg/m2) 収縮期血圧(mmHg) 127±16 拡張期血圧(mmHg) 82±10 平均血圧(mmHg) 99±13 1,367±284 baPWV(cm/sec) 空腹時血糖(μmol/L) 5.7±1.3 HbA1C(%) 5.3 ± 0.7 総コレステロール(μmol/L) 5.3±0.9 3.1±0.8 LDL-コレステロール(μmol/L) 1.5±0.4 HDL-コレステロール(μmol/L) 中性脂肪(μmol/L) 1.4±0.4 2.3±0.1 Ca(μmol/L) 1.2±0.1 P(μmol/L) 2.85±0.32 OSI(×106) 喫煙(人) 1,163 高血圧(人) 1,070 糖尿病(人) 264 高脂血症(人) 430 人数(人) 閉経者(人) ー 閉経年齢(歳) ー 3,682 49 ±12 157±6 21.3±3.0 120±18 74±11 92±14 1,230±267 5.2±0.8 5.1±0.5 5.4±0.9 3.1±0.8 1.4±1.0 0.9±0.5 2.3±0.1 1.1±0.1 2.54±0.28 98 608 77 304 1,783 47±3 p値 BMI:body mass index 。 ns <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 ns <0.01 <0.01 ns <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 ー ー 68 068-069-英文原著論文_13.indd 68 06.9.19 3:28:20 PM この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 表2 骨評価値と臨床指標の単相関 表3 女性の閉経前後におけるOSIと各指標値との単相関 男性 年齢 身長 BMI 平均血圧 空腹時血糖 HbA1c 総コレステロール HDL-コレステロール 中性脂肪 閉経前(n=1,899) 閉経後(n=1,783) 女性 p値 <0.01 <0.01 <0.05 <0.01 <0.01 <0.05 <0.01 ns <0.05 ns p値 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 ns <0.01 <0.01 r baPWV p値 −0.05 <0.05 身長 0.07 年齢 −0.06 BMI 0.21 −0.01 0.02 0.01 −0.02 −0.05 0.03 平均血圧 空腹時血糖 HbA1c 総コレステロール HDL-コレステロール 中性脂肪 r p値 −0.23 <0.01 <0.01 0.23 <0.01 <0.01 −0.41 <0.01 <0.01 0.21 −0.11 0.01 −0.01 −0.03 −0.05 0.01 <0.01 ns ns ns ns <0.05 ns <0.01 ns ns ns <0.05 ns 13 検査値 閉経年齢 r −0.38 −0.50 0.05 0.07 −0.27 −0.10 −0.18 −0.21 −0.01 −0.13 −0.12 表4 骨評価値と臨床指標の多変量解析 男性:R 2=0.26 女性:R 2=0.57 p値 β p値 β baPWV −0.07 <0.01 −0.11 <0.01 年齢 −0.18 <0.01 −0.35 <0.01 身長 0.07 0.09 −0.01 −0.01 0.01 −0.02 −0.09 <0.01 0.09 0.23 −0.01 0.01 0.02 −0.01 −0.03 −0.17 −0.01 <0.01 BMI 平均血圧 空腹時血糖 HbA1c 高脂血症 喫煙 <0.01 ns ns ns ns <0.01 閉経 閉経年齢 英文原著論文紹介 baPWV r −0.17 −0.21 0.04 0.09 −0.12 −0.04 −0.07 −0.02 −0.04 −0.03 <0.01 ns ns ns ns <0.01 <0.01 ns 図1 OSIを4等分したそれぞれの群のPWVの平均の比較 男性 女性 p<0.01 p<0.01 baPWV(cm/sec) p<0.01 p<0.01 p<0.01 1,000 0 Lowest Lower Higher Highest Lowest Lower を示したが、その相関は閉経後でより顕著であった (表3) 。 Higher Highest OSI OSI 考察 本研究において動脈硬化と骨代謝障害が、男女とも比 多変量解析(表4)では、 較的早期から関連を有することが推測された。そして両 ①男性は、PWV以外にも年齢、身長、BMI、喫煙が 病変の進行にはエストロゲンの関与が考えられたが、男 OSIに対する独立した説明因子であった。 ②女性では、PWV以外にも年齢、身長、BMI、喫煙、 性においてもOSIとPWVに有意な相関が認められ、エ ストロゲン以外の共通要因の存在も示唆された。 閉経の有無が、OSIに対する独立した説明因子であっ た。 結論 OSIを4 等分したそれぞれの群のPWVの平均値の比較 本研究により、動脈硬化と骨代謝障害の共通病因の存 では、OSIの平均値の最も低い群は、他の群と比較して 在が示唆され、今後その解明が必要である。 PWVの値が有意に高値であった(図1)。 69 068-069-英文原著論文_13.indd 69 06.9.12 4:51:59 PM
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