HEM-9000AIのAI・中心血圧 formのPWV/ABI

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Q&A
HEM-9000 AI の AI・中心血圧 form の PWV/ABI に関する Q&A
Question 1
baPWV が正しく測定されないケースの代表例は閉塞性動脈硬化症
(arteriosclerosis obliterans;ASO)で、ABI < 0 .9、0 .95 等が
除外基準として用いられますが、脈波形のなまりにより狭窄が疑われ
る場合、baPWV の確からしさはどのように評価したらいいでしょうか。
またその他疾患での除外基準はありますか?
Answer
冨山博史(東京医科大学循環器内科学教授)
末梢動脈疾患でも側副血行路の発達した症例では足関節
また、上腕―足首間脈波伝播速度(brachial-ankle pulse
上腕血圧比(ankle brachial index;ABI)低下の顕著でない
wave velocity;baPWV)は左右の測定値が表示されます。
ことがあります。こうした症例では脈波速度精度確認には、
健常者での測定の左右差は 4% 以内です。われわれの検討
ご質問のように圧脈波形を直接確認することが重要です。
では、baPWV の左右差が 10 % を超えると圧波形の精度
確認のポイントは図1に示したように、圧波の高さと立ち上
が低下することが多くなります。繰り返しになりますが、
がりの角度です。こうした評価の指標として% MAP(基線
baPWV の精度評価には、ABI 値に加え、圧波の高さと立
から上 の 波 形 面 積 平 均 値を脈 波 振 幅 で除した割 合 )と
ち上がりの角度(% MAP、UT)および baPWV の左右差を
upstroke time
(UT)
脈波の立ち上がりからピークに達するま
確認してください。
での時間があります。狭窄の場合、圧脈高が減高するため%
その他、精度に関連して注意する疾患として不整脈(特
MAPは増加し45%以上となり、UT は180 msec 以上に延
に心房細動)が挙げられます。心拍出量は脈波速度の重要
長します。これらの数値は、四肢の圧脈波形記録に同時に
な決定因子であり、不整脈が多いと心拍出量が一拍ごと
表示されますので参考にすることが重要で、% MAP:45%
に異なり、脈波速度の精度が低下します。また、心不全
以上かつ /またはUT:180 msec 以上では脈波速度測定精度
では心拍出量が低下しているため、動脈スティフネスの
には問題がある可能性があります。
程度より脈波速度は低値を示すことにも注意が必要です。
図 1 ● 圧脈波形
A 48歳、男性。正常。
右足首脈波
ABI=1.12
20mm
baPWV=1,214cm/sec
左足首脈波
ABI=1.11
20mm
baPWV=1,200cm/sec
81°
81°
B 65歳、女性。左下肢動脈狭窄。
左足首脈波
ABI=1.07
baPWV=1,911cm/sec
33mm
左足首脈波
ABI=0.72
baPWV=1,520cm/sec
66
80°
64°
14mm