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国際経済学
(1) 経済学の基本コンセプト
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2010年10月18日
今日学ぶ事

経済学の基本コンセプト
1. 希少性
2. 利己主義とインセンティブ
3. トレードオフ
4. 機会費用
5. 追加的な便益と費用
6. 交換の利益
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国際経済学1
2
経済の変化と経済学

携帯電話,インターネットの普及
技術革新や経済制度の改革で私たちの生活
は大変豊に
 農業 → 産業革命 → 工業化 → 情報化
 経済の変遷を語るのが経済学?
 為替レートや日経平均株価の分析?

経済を上手く動かす原理の探求
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国際経済学1
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経済学とは

時代や場所を越えて経済を動かす原動力は
不変だ!

原則・常識を守って運営すると先進国
 日本,アメリカ合衆国,ドイツ,イギリス,フランス,
イタリア,カナダ, ロシア

経済運営が経済法則に背くと悲惨な結果に
 北朝鮮,アフリカ諸国などの途上国
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国際経済学1
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経済学とその存在理由

個人や企業の経済的選択に関する学問

経済問題があるから経済学が存在
自分には「できること」と「できないこと」が
ある
 人はいつかは死ぬ,有限性
 人生をできるだけ幸せに生きたい


利用可能なモノやサービス,機械設備,資金,
時間は限られている
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国際経済学1
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資源の希少性

経済の問題は希少(キショウ)性から発生

つまり,ある物を食べるには他の何かを犠
牲にしなければならない.

これが経済学の出発点です

濡れ手に粟の大もうけやパラダイスはない

ハンドバッグを1個増やすか,諦めるか
 資源は普通鉱物などの天然資源を指す
 経済学ではもっと広い意味
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国際経済学1
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利己性
できるだけ生活を向上させたい
 自分の利益だけを中心に考えことはない
 他人のことも考える.寄付,ボランティア
 人に親切にしたら良い気持ち
 ことわざ
情けは人のためならず
 利他的行為も広い意味で利己的
 利己の追求が経済を発展させてきた

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国際経済学1
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我々は利己的だが,それがよい
経済学の始祖:アダム・スミス
(アダム・スミス『国富論』1776年)
我々が自分の食事を取るのは,肉屋や酒屋
やパン屋の博愛心によるのではなく,彼ら
自身の利害関心に対する彼らの関心による
のである.
 「私人の悪徳は公共の利益」
(マンデヴィル『蜂の寓話』1714年)

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国際経済学1
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みんな賢くお買い物をする






買い物時に,ぼんやりとしている?
バーゲンで血眼になって掘り出し物を探し
た経験は?
できるだけ好みにあった安いモノを買おう
とする
賢くお買い物する人は合理的という
合理性とは簡単に言えば無駄なく能率的に
行うこと
つまり道理に適った行動です.
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国際経済学1
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企業の目的は何だろうか?

企業のキャッチコピー
 お客様は神様です
 お客様に心から満足していただける
ではなぜ無料で配らないのか?
 企業の目的は利益の追求

できるだけ価格が低く質の高い商品を提供
する
 JALとウィルコム(PHS事業者)

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国際経済学1
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アルバイトを考える
できるだけ条件の良いアルバイトを探すの
が普通
 時給,条件,家や学校からの近さ
 アルバイトは良い社会経験になるから行う

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国際経済学1
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アルバイトを考える/2

しかし,時給0円で働きますか?
企業と同じようにあるものを売っている

自分の時間あるいは労働を企業に提供して
対価を受け取っている.
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国際経済学1
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なぜ大学で経済学を学ぶのだろう
高校を卒業して就職することも可能
 働く,専門学校に進学,大学進学
入学金や授業料の支出があるにも関わらず
高卒よりも大卒の方が給料が高い

企業が機械設備を購入したり,工場を建設
する事に似ている
今の利益をあきらめて将来高い利益を目指す

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国際経済学1
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人を動かす
親から成績が上がったらお小遣いを貰える
 テストで良い点を取ったらディズニーランド
 行動を変えるにはどうすればよいのか?

価格が上昇したときの消費者はどう行動する
か?
 原油や賃金の上昇に企業はどう対処するか?

2010/10/18
国際経済学1
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インセンティブ
インセンティブとは
特定の選択をすることが意思決定者に
とって望ましくなるような便益を指す
 この便益には費用の減少も含まれる
 人々に特定の行動を引き起こす原因
 インセンティブは日本語では誘因,動機付け

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国際経済学1
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インセンティブ/2

インセンティブを英語で
Incentive

経済学ではカタカナでそのままインセンティ
ブと言うことが多い
我々は利己的.暮らし向きが良くなる機会を
見逃さない
 そのためインセンティブに反応する

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国際経済学1
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トレードオフ
ある物を多く手に入れるには,他の何かを
諦めなければならない
 家でテレビを見れば勉強時間が減る
 洋服を買えば外食費がなくなる
 これをトレードオフと言う.
ある一つのことに資源を多く使えば他の
物に使える資源は少なくなること
 我々はすべてトレードオフに直面している
 CDで音楽を聴くか,映画を見るか
 政府は減税するか子ども手当を給付するか

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国際経済学1
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トレードオフ/2

値段の高いコンビニでなぜ買い物?
 安売りスーパーに行けばもっと安く買える
 何がトレードオフの関係だろうか?
希少なお金と時間を有効に活用するために
我々はトレードオフを意識する
 この世は天国ではない=
我々はトレードオフに直面している


個人,企業,政府,その他の組織にすべて
当てはまる真理
2010/10/18
国際経済学1
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家でゴロゴロ:夏休みと試験前
一日をだらだと過ごす,家でごろごろ
 ダラダラ過ごす費用は?


夏休み期間中と試験直前ではその費用が違
うと思いませんか?

費用とは金銭的な物だけを意味するのでは
ない
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国際経済学1
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真の費用とは何か?

上映時間が2時間でチケット代が1500円の
映画

映画を見に行く真の費用は映画のチケット
代1500円ではない
その1500円で何が買えるか,加えて2時間の
上映時間で何ができるかが真の費用


お金の他の用途や時間の使い道はたくさん
ある
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国際経済学1
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真の費用は機会費用

機会費用とは
欲しいモノを手に入れるためにあきらめな
ければならないもの

あるものの機会費用とは,それに代る選択
の中で一番価値の高い用途の価値である
選択肢:最善,次善,3番目…
実際に選択するのは最善



選択しなかったものの中で一番価値のある
物は次善の策
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国際経済学1
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なぜ石川遼は大学に進学しない?


大学進学の機会費用
みんなで考えてみて下さい
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国際経済学1
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追加的な決定1





限られた資源の中で暮らしが最も良くなる
生活パターンをどのように決めるか
まったく勉強しない人がいきなり一日12時
間勉強することはしない
何かをもう少し行うか,少し減らすかの決
定が重要
もう少し寝ているか,もう少し勉強するか
友達と楽しいショッピングあっという間に
時間が過ぎる.あともう1時間続けるか帰る
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国際経済学1
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追加的な決定2





行動をさらに続けたときの意志決定
限界的決定
限界=margin=端,縁,余白
余白にもう少し書き込むかどうかを決める
ショッピングを続ける
1. 相変わらず楽しい
2. 電車が混む,疲れる,お金が無くなる

行動をさらに追加したときの便益と費用を
あれこれ考える
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国際経済学1
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追加的な決定3

1.
2.

経済学用語で表現する
相変わらず楽しい=限界便益
電車が混む,疲れる=限界費用
寝る,アルバイトについて限界費用と限界
便益はどうなるか
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国際経済学1
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限界概念1=限界費用
1.
寝る
2.
もう一時間寝ると授業に遅刻
アルバイト
もう一時間働くと疲れる

1.
2.
あるものを増やしたときにかかる追加的な
費用を限界費用という
成績低下がもう一時間寝ることの限界費用
疲れがもう一時間働くことの限界費用
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国際経済学1
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限界概念2=限界便益
1.
2.

1.
2.
寝る
もう一時間寝ると頭がスッキリ
アルバイト
もう一時間働くとお金が増える
あるものを増やしたときに得られる追加的
な便益を限界便益という
スッキリがもう一時間寝ることの限界便益
バイト代がもう一時間働くことの限界便益
2010/10/18
国際経済学1
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限界費用と限界便益
1.


2.


寝る
限界費用=もう一時間寝ると授業に遅刻
限界便益=もう一時間寝ると頭スッキリ
アルバイト
限界費用=もう一時間働くと疲れる
限界便益=もう一時間働くとお金が増える
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国際経済学1
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美味しい水
最も良いお水の量は
どのくらいだろう?
真央は喉が渇いて1000円を出しても水が欲
しい→限界便益は1000円
 水の値段は100円→限界費用は100円
真央はもう一杯のお水を飲む
限界費用<限界便益
 真央は水を飲み過ぎて10円くらいの満足し
かない→限界便益は10円
真央はもうお水を飲まない
限界費用>限界便益

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国際経済学1
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限界費用と限界便益を比較
1.
2.

限界費用<限界便益→活動を増やした方が
よい
限界費用>限界便益→活動を減らした方が
よい
ではもっとも相応しい活動水準は?
限界費用=限界便益
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国際経済学1
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英語の復習

費用とは英語で
cost

限界を英語で
marginal
 限界費用を英語で
marginal cost
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国際経済学1
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賢い意思決定のまとめ
機会費用で考える
 限界費用と限界便益を比較する

 等しくなる水準で活動を行う
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国際経済学1
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相互依存

なぜ駅前のコンビニで買い物ができたの?

ビルのオーナーがコンビニを開いたから=他
人の経済的選択に影響を受ける

オーナーの選択肢:会社の事務所,ホテル,
託児所,ゲームセンター
多くの人々の選択の集まりによって経済の動
きが決定される
 たくさんの人々の相互依存の描写方法?

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国際経済学1
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自発的な交換
経済活動が上手く機能している要因は?
 市場における自発的交換


自分の労働力を売って所得を得て好きな物を
買っている
親切にされたら「ありがとう」.迷惑をかけ
たら「すいません」.
 心理的な負担を軽減するお返しの言葉
 これも交換の一種

2010/10/18
国際経済学1
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自発的な交換はwin-win
買ったり,交換してから後悔することもある
 しかし,契約は強制的に結ばれてはいない






双方が自発的に交換したならば取引を行う全
員が勝者です
真央がコートを買うかどうか迷っている
真央は2万円ならばコートを買おうと決意
コートが1万5千円で売っていた
お店も真央も得をした
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国際経済学1
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交換と多様性が社会を豊かにする






イチローと石川遼
イチローはゴルフボールを持っている
石川遼は野球のボールを持っている
両者は互いのボールを交換するだろう
生産がなくても交換で両者の満足度アップ
多様性(ボールに対する満足度)
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国際経済学1
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交換と多様性が社会を豊かにする







イチローと石川遼
イチローはゴルフボールを持っている
石川遼は野球ボールを持っている
各人は自分のボールに百円の満足
経済全体の満足度
100+100=200 (円)
しかし,各自のボールを交換することによ
って利益が生まれる
イチローは野球がしたい,石川遼はゴルフ
をしたい
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国際経済学1
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交換と多様性が社会を豊かにする/2






イチローは野球のボールに一万円の満足
石川遼はゴルフボールに一万円の満足
両者は互いのボールを交換するだろう
そうすると,社会全体の満足度
10000+10000=20000 (円)
生産や努力がなくても交換するだけで社会
全体の満足は二百円から二万円に増加
多様性(ボールに対する満足度)が鍵
2010/10/18
国際経済学1
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社会が豊かになる鍵=分業

アダム・スミス (経済学の創始者)のピンの例 (『国富論』意訳)
技能を身につけていないピン作りの職人は,精いっぱい
働いても,おそらく1日に1本のピンを作ることもできなか
ろうし,20本を作ることなど,まずありえないであろう.
ところが,現在,この仕事が行われている仕方をみると,作
業全体が1つの特殊な職業であるばかりでなく,多くの部門
に分割されていて,その大部分も同じように特殊な職業なの
である.ある者は針金を引き伸ばし,次の者はそれをまっす
ぐにし,3人目がこれを切り,4人目がそれをとがらせ,5
人目は頭部をつけるためにその先端を磨く,頭部を作るにも
,2つか3つの別々の作業が必要で,それを取り付けるのも
特別の仕事であるし,ピンを白く光らせるのも,また別の仕
事である.
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国際経済学1
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