非匿名性が 協力行動に与える影響。 1613070003-2 赤瀬 僚 疑問 協力行動とは・・・ 見返りを求めて他者を助けるこ と。 協力行動を扱っ た 実験 互いに顔を合わせない状態 のものが多い (匿名状態) 匿名性が協力行動に 与えている 影響とはなんだ? 仮説 対戦相手が自分を知っている状況(非匿名)と、 対戦相手が自分を 知らない状況(匿名)では協力行動に差が出るのではないか。 もし自分を知っている状況(非匿名)の方が協力行動が起きやすかっ た場合、その原因は何に起因するか?(罰行動、自己顕示性) 方法 グループをふたつに分けた。 両群においてSD(囚人のジレンマ)ゲームを行わせた。 実験群 → ゲーム後に会って感想会をしてもらうと伝えた (非匿名群) 統制群 → 対戦者同士は顔を合わせなかった(匿名群) 手続き ゲームのやり方 子安(2002)のSDゲーム を参考とした。 ① まずはじめにそれぞれ目標値を決めた。 (15万円or30万円。 参加者は必ず15万円の方を取るように設定した) ② 自分の目標値を達成することがゲームの目的 であると伝えた。 表 定価 値下げ 定価 3万/3万 0万/5万 値下げ 5万/0万 1万/1万 総試行数 = 参加者が目標値を達成してから6試行後。 対戦者プレイヤーの動き方。 1、プレイヤーが目標値を達成するまでは「しっぺがえし戦略」 (R.M.Axelrod 1980) 2、プレイヤーが目標値を達成してからは「値下げ」 ただし、プレイヤーが「値下げ」で対抗してきたら「定価」を出す。 ゲーム終了時 どちらも目標値を達成していない場合 → どちらも報酬なし。 参加者のみが目標値を達成した場合 → 参加者の報酬2倍。対戦者なし。 対戦者のみが目標値を達成した場合 → 対戦者の報酬2倍。参加者なし。 両方とも目標値を達成した場合 → 両方とも報酬1倍。 その後、調査紙を回答してもらった。 結果1 集計 0.70 0.60 0.50 協 0.40 力 率 0.30 実験群 統制群 0.20 0.10 0.00 達成前 達成後 図1 匿名性が協力行動に与える影響 結果2 行動 目標値達成まで 統制群→値下げと定価をバランス良く使い分けていた。 実験群→値下げと定価をバランス良く使い分けていた。 目標値達成後 統制群→値下げを行う回数が増えた。 実験群→決まった傾向は見られなかった。 相手の目標値を達成させたプレイヤーの 数 統制群→2名 実験群→1名 結果3 質問紙より 統制群 →5名中4名が自らの利益を最大化しようとしていた。 実験群 →相手の気分を損なわせないように行動した。 1名 →相手の気分は損なうかもしれないが、問題はないと考えた。 2名 →相手が気分を損なう可能性に気付かなかった。2名 対戦相手について 参加者は対戦相手を人間だと思っていた。 人物像:善良・誠実・計画的・勝負師など。 考察1 参加者数をそろえれば仮説は立証される可能性があった。 統制群プレイヤーの傾向 自らの利益の最大化に積極的。 相手プレイヤーへの妨害も積極的。 実験群プレイヤーの傾向 相手との協調をとる。 相手プレイヤーへの妨害は消極的。 質問紙から3パターン以上へ分かれる可能性。 考察2 実験群プレイヤー グループ1 妨害行動が後の感想会に影響を与えると想像できな かったグループ。 グループ2 妨害行動が後の感想会に影響を与えると想像できた。 そのため協力行動を行ったグループ。 グループ3 妨害行動が後の感想会に影響を与えると想像できた。 しかし報酬の価値を過小評価し、相手への影響は少 ないと考えたグループ。 考察3 これらのことより 匿名性の問題に追加して ① 相手が損をするかどうかに気づけるかという問題。 ② 報酬についての価値を相手はどのように認識し、行動に移して いるかという価値観推測の問題。 が大きな要因になっているのではないかと考えられる。 参考文献 富原 一哉 2002 利他行動の発現に及ぼす共感性、互 恵性、直接的報酬の効果 鹿児島大学法文学部紀要人文学 科論集 57 pp.1-15 子安増生 森本裕子 林創 2004 利害葛藤のない場面にお いて互酬性の期待が順社会的行動に及ぼす影響 京都大学 大学院教育学研究科紀要 51 pp.1-17
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