健康にえ~よ~ 生活習慣病予防 鈴峯女子短期大学 山内 有信 栄養とは・・・ ニンジンに栄養が ある ・ ない 体に必要な成分を外界(食物)から摂取し, 消化・吸収を行って,エネルギーや体構成 肉に栄養が ある ・ ない 成分を合成する一連の営み。 体に必要な成分=栄養素(栄養の素) 五大栄養素 糖 質 :主にエネルギーになる 脂 質 :主にエネルギーや体構成成分,一部機能調節 たんぱく質:主に体構成成分や機能調節,一部エネルギー ミ ネ ラ ル :主に機能調節や体構成成分 ビ タ ミ ン :主に機能調節 ( 三エ ネ 大ル 栄ギ 養ー 素源 ) 保 全 素 ※ただし,この栄養素の作用は,主要な作用であり,各栄養素は相互に作用しあうため, どの栄養素が欠けても,威力を発揮することができない。 種々のバランス ● 経済 金銭出納(収入と支出) ● 地球(環境) O2産生と消費,CO2産生と消費 ● バランス感覚 ● 生体内 酸塩基平衡 体熱の産生と発散(体温調節) ホルモンバランス たんぱく質合成と分解 エネルギーの産生と消費 精神状態 栄養と健康・疾病 主要死因別粗死亡率の年次推移(1925年~2005年) 300 粗死亡率(人口10万対) 250 悪性新生物 結核 200 脳血管疾患 心疾患 150 100 肺炎 50 0 1925 1945 1965 西暦 1985 2005 (厚生労働省:人口動態統計より) 疾病構造の変化 1950(昭和25)年頃 結核,肺炎といった感染症 “うつる病気” 現代 心疾患,脳血管障害,糖尿病といった 慢性疾患(生活習慣病) “つくられる病気” 予防医学における予防手段の適用段階 1次予防の第一段階 a.食習慣や運動習慣の改善 b.休養や睡眠時間などの生活時間の適正化 c.労働条件や人間関係の改善によるストレスの軽減 d.労働や家事の負担や疲労の軽減 e.住環境や生活環境などの改善 f.a~eの活動を効果的に展開するための健康教育活動 g.医療保健制度などの社会保障,社会福祉制度の充実 成人病 → 生活習慣病 高血圧・高脂血症・動脈硬化・心疾患・脳血管障害・がん 1.加齢に伴って発症しやすくなるが,必ず発症するではない 2.若年者においても罹患者・予備軍者が増加している 3.悪い生活習慣によって『つくられる病気』である 4.生活習慣を好ましい状態に保つことで予防が可能 肥満者の割合変化(性・年代別) 平成16年国民健康・栄養調査より 肥満者の割合変化(性・年代別) 余分な脂肪 体脂肪(皮下脂肪) 血液中のコレステロールや中性脂肪濃度も高い 肥 満 症 循環器系 動脈硬化,高血圧症,心臓機能異常など 内分泌・代謝系 インスリン非依存型糖尿病,耐糖能異常, 高インスリン血症,高脂血症,高尿酸血症など 脳血管疾患と心疾患の粗死亡率の年次変化 1995年(平成6,7年)頃の心疾患の減少は,死亡診断書における死亡の原因欄には,疾患 の終末期の状態としての心不全等を書かないといった施行令によるものと思われる。 脳血管疾患による死亡率の内訳 三大栄養素のエネルギー比の変化 摂取脂肪構成の変化 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸 脂肪を構成する脂肪酸の種類の特徴 1.飽和脂肪酸 肉類の脂肪に多く,通常常温で固形 2.不飽和脂肪酸 植物性油脂,魚介類の脂肪に多く,通常常温で 液体 飽和脂肪酸過剰摂取の影響 1.血中コレステロール・中性脂肪濃度の上昇 2.善玉コレステロール(HDL)の低下 高脂血症・動脈硬化・心筋梗塞・皮下脂肪増大 魚油パワーに注目! 動脈硬化,脳梗塞,心筋梗塞の罹患 エスキモー < デンマーク人 61歳以上心筋 梗塞発症率 3.6% 40%以上 【EPAの作用】 ①血液凝固の抑制(血小板の凝集,血栓形成抑制) ②悪玉コレステロール(LDL )の低下(動脈硬化予防) 【DHAの作用】 ①血液凝固の抑制(EPAより弱い) ②悪玉コレステロール(LDL )の低下(EPAより強い) ラットにおける魚油摂取の効果 データは平均±SEM(各群n=2) 種類のことなる高脂肪食を2週間摂取させた LC=ラード+コーン油の高脂肪食, LS=ラード+いわし油の高脂肪食, C=コーン油のみの高脂肪食 有意差の検定は一元配置分散分析および最小有意差法による多群間比較。 2週間の魚摂取の効果 【HDL】 濃 100 度 80 ・ 60 mg 40 / 20 dL 0 ・ 濃 100 度 80 ・ 60 mg 40 / 20 dL 0 ・ X X X X X 前 X X X X X 参 考 値 後 ** 前 後 濃 140 120 度 100 ・ 80 mg 60 / 40 20 dL 0 ・ 濃 140 120 度 100 ・ 80 mg 60 / 40 20 dL 0 ・ 【TG】 X X X X X X X X X X X 前 後 参 考 値 ** 前 後 【T.Chol】 濃 250 X 参 X 度 200 考 X X X X X X ・ 150 X X X値 mg 100 / 50 dL 0 ・ 濃 度 ・ mg / dL ・ 前 後 前 後 250 200 150 100 50 0 データは,平均±標準誤差(20歳女子10名での結果)。 有意差検定は対応のあるt-検定(**:p< 0.01,99%)。 HDLは高比重リポたんぱく,TG は中性脂肪T.Cholは総コレステロールの略。 概 要 対 象:大学生 48名 調 査:食生活変化アンケート (朝食欠食,外食状況,食品摂取等の変化) 食事調査(食品摂取頻度調査) 血液生化学調査 身体状況調査(身長・体重・BMI・体脂肪率) ※食生活変化アンケートの各項目を5段階で得点化し,満点に対する得点合計の 割合(%)を食習慣評点とした。 ※血液検査結果のうち,空腹時血糖値とインスリン値からHOMAの指標を算出し, インスリン抵抗性を評価した。 HOMA=空腹時血糖(nmol/L)×インスリン(μU/mL)÷22.5 【インスリン抵抗性=5以上】 ※血液検査結果のうち,総コレステロールとHDLから動脈硬化指数を算出した。 動脈硬化指数=(総コレステロール濃度ーHDL濃度)÷HDL濃度 【動脈硬化指数基準値=4以下】 総コレステロールと食習慣変化評点 食習慣変化評点は,食習慣の変化に関するアンケートを実施し,各項 目を5段階で得点化し,満点に対する合計得点(%)を評点とした。 食生活変化評点と動脈硬化・高脂血症関連項目 食習慣変化評点は,食習慣の変化に関するアンケートを実施し,各項目を5段階で得点化し,満点に 対する合計得点(%)を評点とした。 動脈硬化指数=(総コレステロール濃度-HDL濃度)÷HDL濃度 【動脈硬化指数基準値=4以下】 習慣的魚類1日摂取量と動脈硬化指数 5 r=-0.40,p<0.01 4 動 脈 3 硬 化 2 指 数 1 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 習慣的魚類1日摂取量(g) 1日魚類摂取量は,食品摂取頻度調査によって推定した。 インスリンの作用(血糖値の低下) ブドウ糖 脂 肪 グリコーゲン 脂 肪 ブドウ糖 グリコーゲン 腸 管 多糖類 単 糖 門 脈 筋 肉 小糖類 膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるインスリンは,肝臓や末梢において, 血糖(ブドウ糖)をグリコーゲンや脂肪に変換し,その結果血糖値を低下させる。 糖 尿 病 糖尿病は,血糖値を下げるインスリンの分泌あるいは作用が低下すること によって高血糖状態が続く疾患。 1.インスリン依存型(Ⅰ型)糖尿病 若年で多く発症し,インスリン分泌が低下した状態 2.インスリン非依存型(Ⅱ型)糖尿病 インスリンの作用が低下した状態で,生活習慣病でいう糖尿病 概 要 対 象:大学生 48名 調 査:食生活変化アンケート (朝食欠食,外食状況,食品摂取等の変化) 食事調査(食品摂取頻度調査) 血液生化学調査 身体状況調査(身長・体重・BMI・体脂肪率) ※食生活変化アンケートの各項目を5段階で得点化し,満点に対する得点合計の 割合(%)を食習慣評点とした。 ※血液検査結果のうち,空腹時血糖値とインスリン値からHOMAの指標を算出し, インスリン抵抗性を評価した。 HOMA=空腹時血糖(nmol/L)×インスリン(μU/mL)÷22.5 【インスリン抵抗性=5以上】 ※血液検査結果のうち,総コレステロールとHDLから動脈硬化指数を算出した。 動脈硬化指数=(総コレステロール濃度ーHDL濃度)÷HDL濃度 【動脈硬化指数基準値=4以下】 HOMA値とBMI HOMA=空腹時血糖(nmol/L)×インスリン(μU/mL)÷22.5 【インスリン抵抗性=5以上】 HOMA値と体脂肪率 HOMA=空腹時血糖(nmol/L)×インスリン(μU/mL)÷22.5 【インスリン抵抗性=5以上】 HOMA値と食習慣変化評点 食習慣変化評点は,食習慣の変化に関するアンケートを実施し,各項目を 5段階で得点化し,満点に対する合計得点(%)を評点とした。 130 80 120 血糖値(㎎/・) 70 パン 60 50 110 40 100 ・米血糖値 ・パン血糖値 90 30 20 10 80 0 0 30 60 90 120 150 食べてからの時間(分) 180 血中インスリン濃度(μU/・) 米(ごはん) 食物繊維 定 義 人の消化酵素で消化されない多糖類とリグニン はたらき ★吸水・膨潤により糞便の容積を高め,軟らかくして排便を促進 ★吸着作用により,余分な糖質や脂質の吸収を妨げる 食物繊維について 種 類 ☆ 植物性食品 水 ペクチン 溶 コンニャクマンナン 性 食 アルギン酸ナトリウム 物 ☆ 食品加工食 繊 グアガム 維 性 質 ・ブドウ糖の吸収をゆるやかにし,食後の血糖値の急激な 上昇を抑える。 ・コレステロールや中性脂肪の吸収を抑制する。 ・水に溶けると粘度の高い状態になり,食物を包み込むこと によって,胃から小腸へと移動するのと消化吸収をおだや かにさせる。 食物繊 維の含まれる 食品 海草類 ヤマイモ ワカメ コンブ コンニャク 野菜・果物 ポリデキストロース ☆ 植物性食品 不 セルロース 溶 リグニン 性 食 ヘミセルロース 物 ☆ 動物性食品 繊 キチン 維 コラーゲン ・水分を吸って膨張し,腸の運動を促して便通を良くする。 穀 類 いも類 ごはん パ ン 腸の内容物をはやく排泄させるということは, 有害物の吸着や有害細菌の繁殖を防止できる。 野菜 食物繊維摂取量の年次推移 水溶性食物繊維摂取の効果 糖負荷試験(砂糖25g)における血糖値の変化 データは,糖負荷前の血糖値を100としたときの変化割合(%)の15名(若年女性)での平均値。 「対照」は,砂糖25gのみの摂取,「寒天」は砂糖25gと市販粉寒天4gの同時摂取,「セルロー ス」は,砂糖25gとセルロース4gの同時摂取である。 水溶性食物繊維摂取の効果 【中性脂肪】 (mg/dL) 200 ** 血 150 中 濃 100 度 50 0 対照群 実験群 【総コレステロール】 (mg/dL) ** 160 140 血 120 中 100 濃 80 度 60 40 20 0 対照群 実験群 データは平均±SEM 。 対照群(n=4)は,食物繊維としてペクチンを添加した食事群。 実験群(n=4)は,食物繊維を添加していない食事群。 【HDLコレステロール】 (mg/dL) 30 血 中 25 ** 20 濃 15 度 10 5 0 対照群 実験群 食物繊維摂取の効果 総コレステロール濃度 中性脂肪濃度 85 80 75 70 群 維 繊 無 群 280 260 240 220 200 180 160 140 120 100 群 ス 天 寒 ー セ ロ ル *** 群 群 維 無 *** 繊 濃度(mg/dL) ** 90 濃度(mg/dL) 濃度(mg/dL) 95 HDLコレステロール濃度 80 70 60 50 40 30 20 10 0 群 維 群 天 ス ー 寒 セ ロ ル *** *** 繊 無 群 群 天 寒 ス ー ロ ル セ データは,平均±SEM。 無繊維群(n=4)は,飼料に食物繊維を添加しなかった群,寒天群(n=4)は,飼料に食物繊維として市販粉 末寒天を添加した群,セルロース群(n=4)は,飼料に食物繊維としてセルロースを添加した群である。 有意差の検定は,一元配置分散分析および最小有意差法による多群間比較で行ない,無繊維群に対す る有意性を,p<0.01(**),p<0.001(***)で表現した。 米とパンでの血糖値およびインスリン値の変化 米食の良いところ パン食→動物性脂肪の摂取が多くなる こってり系 米 食→野菜や魚が多くなる あっさり系 日本型食生活 ・主食,主菜,副菜が揃っている ・PFCバランスが適正である
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