外国語(英語)の音読に関する Warm-up Effectに関する 実証的研究 音読がリスニングに及ぼす影響についての考察 阿久津仁史 (東京都文京区立第八中学) 飯野 厚 (清泉女学院短期大学) 鈴木 政浩 (西武文理大学) 研究の目的と仮説 読み慣れたテキストの音読 リスニング能力活性化 スコア向上 リスニングテスト 音読のWarm-up Effect 先 行 研 究 ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ ➲ 1970’s oral miscue analysis 音読を総合的英語力のデータ指標と して扱う傾向、 羽鳥博愛(1977)音読と読解の関係 - 峰野光善(1985) 音読とチャンク化の関係 + 京堂弘美(1989) 音読とスピーキングの関係 ? 渡辺浩行(1990) 音読指導と音読速度、読解速度 + 駒場利男(1992) PC利用音読指導 チャンク化 + 橘堂弘文(1993) 音読と学習 飯野厚(1998) 音読の長期的指導がリスニング力向上に効果、文 法、読解は有意傾向 鈴木寿一(1998) 音読指導と読解速度、聴解力の関係 + 〃 (2000) 音読指導と読解速度、読解力 + 安木真一(2001) 音読指導とチャンク化の関係 + 宮迫靖静(2002)音読指導と英語力 脳科学の研究から ➲ ➲ ➲ ➲ 「音読=ウォーミングアップ」仮説 (川島隆太 &安達忠夫,2004:36-38.『脳と音読』.講談社) 脳機能イメージングでは音読ほど脳の血流が 活性化する活動は無い。音読をすることにより 脳全体が活性化し、他の課題にも効果がある かも。 対象:小学生。処遇:音読を2分した課題を課 す群と何もしないで課題群。 結果:音読群が記憶力や空間認知テストで 20%~30%好成績。 被験者 埼玉県・東京都内の ➲ 中学生・・・74名 ➲ 高校生・・・71名 ➲ 大学生・・・41名 方法 リスニングテスト(第1回):t検定 実験群 3分間教科書を音読 統制群 3分間教科書を聞く いずれも教師のモデル・リーディング リスニングテスト(第2回) 2回のスコアの差を分散分析 調査用紙 ● 英検リスニングテスト 中学生・・・・・・4級 ● 高校生・・・・・・3級 ● 大学生・・・・・・準2級 ● 調査期間 ● 2005年1月~7月 Fig. 1 Fig. 1 結果1(中学) ➲ クラスとテストの交互作用が有意傾向(分散分析) F(1, 72)=3.71 p=.058 , p<.10 8.30 8.10 7.90 7.70 7.50 7.30 7.10 6.90 6.70 6.50 6.30 6.10 5.90 5.70 5.50 実験群 7.57 7.03 6.57 6.60 Pre Post 中学校における授業での実験結果 統制群 Fig. 2 結果2(高校) ➲ F(1, 73)=6.56, p=.012 p<.05 (クラスとテストの交互作用が5%水準で有意) 8.30 8.10 7.90 7.70 7.50 7.30 7.10 6.90 6.70 6.50 6.30 6.10 5.90 5.70 5.50 実験群 7.61 7.05 7.13 6.16 Pre Post 高校における授業での実験結果 統制群 結果3(大学) ➲ 統制群は成績上位クラス、実験 群は下位クラス ➲ 伸び率は実験群の方が高い ➲ テストとクラスの交互作用は n.s. ➲ F(1, 39)=.384, p=.539 n.s. Fig. 3 熟達度の差と天井効果 サンプルの数の問題 8.30 8.10 7.90 7.70 7.50 7.30 7.10 6.90 6.70 6.50 6.30 6.10 5.90 5.70 5.50 実験群 7.94 6.32 5.88 Pre 大学における授業での実験結果 8.00 Post 統制群 考 察 以上の結果から、仮説は一部支持されたと言える 外国語の音声化 リスニング能力の活性化 教科書の音読で授業スタート 比較的簡単な問題であること (i ー 1の領域) 音声を重視した授業の効果向上 熟達度の低い学習者の場合短 時間の取り組みで効果が出や すい 授業への適用 Warm-up Effectを活かしたリスニングの取り入れ方 教科書を音読してから・・・ i ー1の教材で 短時間に 頻繁に Warm-up Effectの働く教材レベル Warm-up Effectが持続する範囲で Exposureを確保 Warm-up Effect : 今後の課題 ● 熟達度の違いと効果の差 ● テキストの難易度と効果の差 ● 長期的な取り組みによる効果の差 音読に関する諸効果 ➲ Major Effects 音読速度とリーディング速度の向上 音読速度とリスニング能力の向上 Ceiling Effectの諸相 教師のModel ReadingとComprehension ➲ など Minor Effects Warm-up Effect 調音補正能力など ➲ Delayed (Accumulative) Effects Eye-mouth ReadingによるProsodic Sense 形成 Repeated Readingによる言語習得 など 音読のモデル・測定法の考案 音読指導研究会連絡先 http://www.bunri-c.ac.jp/~suzuki/or/
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