認知社会心理学演習 グループ発表 グループ2 荒井・今瀧・齋藤(真)・藤原 キム・高橋・平野・山本 1 目次 ①Masicampo & Baumeister (2011)における Study4の問題点と別解釈 ②問題点の改善策 ③改善した実験計画と仮説 2 ①Study4の問題点と別解釈 Study4のまとめ ・目的 有効で実用的な計画設計が後続課題の成績に及ぼす 効果の検討 ・独立変数 目標と計画の有無 …提案された戦略を使うと宣言(計画設計)し目標追求 (プラン群)/宣言はせず目標追求(ゴール群)/目標な し(統制群) ・従属変数 後続のアナグラム課題の成績 3 ①Study4の問題点と別解釈 Study4のまとめ ・結果 プラン群>ゴール群、統制群>ゴール群の順に、 また、戦略実行群>不実行群の順にアナグラム課 題の成績は高かった ・考察 未達成課題に対して計画を立てることで後続の 課題妨害が弱まり、その計画に従った人はそうで ない人に比べてさらに妨害が弱まった 4 ①Study4の問題点と別解釈 問題点 1.計画の立て方に問題がある ・受動的に戦略を提示され、それを使用します と宣言しているだけ ・ゴール群とプラン群の間にどの程度差があ るのか 5 ①Study4の問題点と別解釈 2.理論部分と実際の操作の間のずれ ・計画の有効性(意識レベル)によって侵入思 考が減少することを検証しているのに、実際に 測定しているのは戦略を使用したかどうか(行 動レベル) ・戦略を実際に使用していれば計画が有効だ と思っているというロジックだろうが、本当にそう だろうか 6 ①Study4の問題点と別解釈 3.分析方法に問題がある ・戦略実行率の高低とアナグラム課題の成績 の関連を調べる際、ゴール群とプラン群を合計 して扱っている ・反対に、計画を立てたか否かとアナグラム課 題の成績の関連を調べる際には、戦略実行群 と不実行群を合計して扱っている 7 ①Study4の問題点と別解釈 ⇒以上から、アナグラム課題の成績は、自我枯 渇によるものだったという別解釈が可能 ・受動的に示された選択(戦略実行)に従って いたから自我枯渇が起こらずアナグラム課題 の成績が良かったのではないか ・反対に戦略不実行群にはほかの戦略の選 択があったから自己資源を消費しアナグラム課 題の成績が悪かったのではないか 8 ②問題点の改善策 1.計画の立て方に問題がある →受動的に戦略を与えその実行を宣言させるの ではなく、自発的な計画を立てさせる 2.理論部分と実際の操作の間のずれ →計画の有効性、どの程度実行できそうかにつ いて訊ねる 3.分析方法に問題がある →ゴール群とプラン群の計画実行群/不実行群 をそれぞれ区別して分析を行う 9 ③改善した実験計画と仮説 1.要因計画 ・2要因3水準の実験参加者間デザイン ・独立変数 …計画の有無と実行の有無 …目標に向けて計画を立て実行する条件(プラン 実行群)/目標に向けて計画を立てるが実行しな い群(プラン不実行群)/目標に向けて計画を立て ない群(ゴール群) ・従属変数 …アナグラム課題の成績 10 ③改善した実験計画と仮説 2.実験参加者 ・テスト2週間前の学生 11 ③改善した実験計画と仮説 3.実験手続き (1)テストについて重要性を訊ね、ゴール喚起 することで目標について意識を高める 12 ③改善した実験計画と仮説 3.実験手続き (2)独立変数の操作 …プラン実行群とプラン不実行群には「何時から何を勉 強するか」のようなテスト勉強の計画を立てさせ、ゴール 群には単に過去想起させる *計画の有効性、どのくらい程度できそうかを測定して おく …プラン実行群には実行喚起のため計画実行で報酬 を与えることを伝えて毎日進捗報告をさせ、プラン不実 行群とゴール群には単に日記をつけることで報酬が与 えられると説明し毎日日記を書かせる 13 ③改善した実験計画と仮説 3.実験手続き (3)従属変数の測定 …計画を立てた直後にアナグラム課題を行わ せ、その成績を測定する …さらに1週間後に再度アナグラム課題を行わ せ、その成績を測定する 14 ③改善した実験計画と仮説 3.実験手続き (4)テスト …仮説と直接は関係しないが、このテストの成 績を比較することで計画を立てること、実行す ることがどの程度有効であるかを調べることが できる 15 ③改善した実験計画と仮説 3.実験手続き (5)操作チェック …テスト終了後に計画を実際に実行したか否 かについて訊ねる 16 ③改善した実験計画と仮説 仮説 ・2度の測定両方において、プラン実行群>プ ラン不実行群>ゴール群の順にアナグラム課 題の成績は高くなる …Masicampo & Baumeister (2011)のStudy4で プラン群>ゴール群の順に、また戦略実行群 >不実行群の順に成績が高かったため 17 ③改善した実験計画と仮説 別解釈(自我枯渇)の否定 ・自我枯渇効果に従えばゴール群>プラン不 実行群>プラン実行群の順にアナグラム課題 の成績は高くなる …プラン群はゴール群より能動的な選択が、 プラン実行群は不実行群より実行中の自己制 御が必要 …プラン実行群>プラン不実行群>ゴール群 の順に自我枯渇は進んでいるはず 18 ③改善した実験計画と仮説 ⇒前スライドで示した別解釈を前提にした結果 は、仮説とは真逆の順番なので、仮説通りの結 果が得られれば、自我枯渇よりも有効性の高 い計画を立てた効果が強いことが言え、別解釈 を否定できる 19 ③改善した実験計画と仮説 補足 ・2度目のアナグラム課題で仮説通りの結果 が得られれば、長期的な計画を立てた際、計画 を実行しているまさにそのとき(たとえば計画に 則って数学を勉強している2時間、など)が過ぎ ると目標達成前(テスト期間中)であっても再び 侵入思考は低下していることを示す ⇒長期的な計画が実行中でも別な課題を挟 むことができ、かつその課題の成績は上がる 20
© Copyright 2024 ExpyDoc