文化経営学特殊研究

文化経営学特殊研究
経営学基礎
経営学の基礎
• ビジネスとは、価値のあるもの、つまり顧客がほしい、あるい
は必要と思う物やサービスを、彼らが支払ってもよいと思う
価格で提供し、そこで得た対価によりビジネスを継続し、さら
に、そのビジネスのオーナーが十分満足できる収益を得る事
が目的である。
財・サービス
経営資源
Input
(投入)
人
物
金
情報
技術
Output
(産出)
Throughput
(価値変換)
Market
(市場)
価値創造のプロセス
• ビジネスとは基本的に幾つかのプロセスが相互に依存し
あって行われる。
– 価値創造・プロセス
• 人が必要としたり、欲しがったりするものを見つけ、それを作り出す。
– マーケティング・プロセス
• 作り出したものに、人の注意を惹きつけ、需要を高める。
– 販売
• 潜在する顧客が実際に購入する顧客へかえる。
– 価値提供
• 創造した物を、顧客に提供し満足を与える。
– ファイナンス
• ビジネスを続け、利益をうみだす。
事業戦略
社外からの変化
コンテキスト
外的
•業界
•市場以外
内的
•資産
•組織
業績
アクション
•資産の獲得
•資産の活用
事業戦略
• 内的コンテキストとは企業が持つ資産やその組織や仕組み
をさす。
• 外的コンテキストとは社外にあるその他の要素であり、競合
他社、買い手、売り手など業界の特性と、規制、政治、社会
的環境などの要因をさす。
• 企業のアクションとコンテキストは、ばらばらではなく一緒に
なって業績を決定する。
事業戦略
• 明確な目標
• どのような商品を提供するか、どの市場を狙うか、どの分野
の活動をするかなど企業の活動範囲(スコープ)の定義。
• 競争優位性
• 企業が自ら選んだ競争環境において、社内コンテキストがな
ぜ競争優位性をもたらすかを示すロジック。
目標
• 戦略には,まず明確な「長期目標」が必要である.長期目標
とは,企業が戦略を実行して得ようとする「市場の独占」「戦
略的リーダー」「優良企業」などの地位やステータスを示す。
この日標は,ある計画期間に達成すべき具体的な目標では
なく,もっと継続的で長期的なものである。たとえば,業界で
最高品質の製品を提供するという目標は,ある期間で達成し,
リストから消してしまうようなものではない。目標は,達成に
長い時間を要し,達成したあとも積極的に維持するものをさ
す。
活動範囲
• 事業展開の範囲は,企業のアクションを定義する.範囲は,戦略
の内容(「What」)-どのような商品を生産するのか,バリュー
チェーンのどの活動を自社が行うか,どの市場をねらうのか-を
定義する。
• まず,企業が提供する製品やサービス,企業がねらう市場(人口
動態的なセグメント,部門,地域)を規定する.たとえば,オンライ
ンでベビー用品を販売する企業の事業範囲は,アメリカの妊婦や
母親になったばかりの女性にアドバイスや商品を提供することとな
る。
• また,バリューチェーンの活動を自社でやるか否かも範囲に含ま
れる.ウェブサイトの開発を自社で行い,顧客との接点を確保する
か,規模の経済性から低コストな外部のウェブ開発スペシャリスト
に外注するか、などがそれに当たる。
• 範囲の選択によって、企業の蓄積すべき技術力が決まることもあ
る。
Value Chain
競争優位性
• 競争優位性(competitive advantage)は,戦略の「How」である.企業が選
んだ活動範囲内でどう長期目標を達成するかを定義するのが競争優位
性であり,既存の,あるいは潜在的な競合企業に対して,どうすれば効
果的に兢争できるのかを明確に示す。成功するためにすべての競合企
業に対して優位性をもつ必要はないし,括抗する企業が共存する市場も
多い。しかし,優れた業績をあげる企業は,競合企業に対してつねに優
位性を維持しており,一般的には,競争優位性がユニークであるほど,
優れた業績を残す可能性は高い。
• 競争優位性の源泉には,1)競合他社より低い生産原価,2)高品質な製
品,3)顧客ロイヤルティ(信頼)の強さ,4)スピーディなイノベーション,
5)優れたサービス提供能力,6)恵まれた立地条件,7)効率的な在庫補
充が可能なITシステムなどいろいろある。しかし、その原点は,競合よりも
顧客が価値を認めるサービスや製品を生産できるか(非価格競争),あ
るいは,競合よりも低いコストで生産できるか(価格競争)の二つにつきる。
• 競合他社に比べてある活動に優れた企業はその活動において優位性を
もつが,この活動が企業の長期目標を達成するうえで助けにならなけれ
ば,それは競争優位性とはならない。文書管理に優れた企業は,この活
動については優位性をもつが,競争が文書管理の速度に関係ないところ
で起こる場合,この力は競争優位性とはならない。
ロジック
• 戦略の構成要素のなかで最も重要なのは,企業がどのよう
に目標を達成しようとしているかを示すロジック(論理)である.
簡単な事例で考えてみよう。
– わが社の戦略は,低コスト大量生産により,アメリカにおける低価格
コーヒー・マグ市場を独占することである。
• この戦略には,長期目標,事業範囲と競争優位性が示され
ている。目標は,コーヒー・マグ市場を独占すること,事業範
囲はアメリカの低価格コーヒー・マグ市場,競争優位性は低
い生産原価である。しかし,この例には戦略の重要な要素,
つまり,どのようにこの戦略が機能するか,この事業範囲や
競争優位性がなぜ優れた企業業績につながるのかという理
由,戦略のロジックである「Why」が欠けている。ロジックが戦
略にとってどれほど重要であるかを示すため,先ほどの戦略
を拡大して.考えてみよう。
ロジック
– わが社の戦略は,マス・マーケット・チャネルを通して低価格でコーヒー・
マグを生産・販売することにより,アメリカにおける低価格コーヒー・マグ
市場を独占することである。このチャネルを通して低価格で販売すること
により,大量生産・販売が可能となる。コーヒー・マグの生産には規模の
経済があるため,わが社の生産原価は低く,したがって,低価格で販売
しても十分な利益が確保できる。
• この戦略は前述のものより,二つの点で完成度が高い。まず,こ
の戦略は「なぜ」という質問に対して「低コスト」「低価格」と「市場独
占」の関係を説明することによって答えている。低コストにより,低
価格での販売が可能となり,そうすると需要が増える。一方,生産
における規模の経済から,生産量が多ければ生産原価が低くなる.
したがって,マーケット・シェアは最大(市場を独占すればマーケッ
ト・シェアは最大)になり,規模の経済が存続するならば,企業は
競争優位性を達成できるというものである。図はこの二つが強化
し合うロジックを示す。
• 第二に,戦略が成功するために必要な企業および企業をめぐる環
境の前提条件の一つは,コストの優位性を得るに十分な規模の経
済があることを示している点である。
ロジック
「価値観」「ミッション」「目標」や「ビジョン」
• 戦略の目的は意思決定の指針となることだが,企業は戦略
以外にも指針をもつ。たとえば,企業の価値観,リーダーの
もつビジョンや企業が掲げるミッション(使命)は,意思決定に
影響を与えるし,実際,「価値観」「ミッション」「目標」や「ビ
ジョン」が「戦略」と同義に用いられることも多い。
しかし,ここでは,価値観,ビジョンやミッションは戦略を補完
し,それ自体明確な目的をもつが,戦略と混同すべきではな
いと主張したい。
「価値観」「ミッション」「目標」や「ビジョン」
• 企業は,自社の目標や哲学をミッション・ステートメント
(mission statement)や社是(statement of purpose)として
文書にすることもある.構成や形式はさまざまだが,これらの
文書には,企業の存在理由や企業がよって立つ「中核となる
価値観」が示されることが多い。
この種のミッションや目的に,戦略の要素が含まれているこ
とはほとんどない.時たま製品の範囲や競争優位性が定義
されていることはあるが,戦略のロジックがはっきり示されて
いることはほとんどない。
ある企業の価値観
「価値観」「ミッション」「目標」や「ビジョン」
• それでは,戦略的意味がないのに,なぜ企業はこのような文
書をつくり,宣伝するのだろうか。皮肉な見方をすれば,この
種の文書は主にPR用であり,企業のイメージ向上に結びつく
という期待のもと,さかんに行われているようにも見える。し
かし,ミッションや価値観を示す文書には,以下のような利点
もある。
1. 第一に,ミッション・ステートメントによって,会社の目標が明確になり,
働く目的が共有される。経営戦略を専門とする学者のなかには,企
業のリーダーの見解と戦略との整合性を重視するものも多く,ミッショ
ンはこの整合性を強める働きをする。
2. 第二に,非営利組織のミッションは,(寄付する人を含め)組織外の関
係者に対して,組織の大目標を示すという役割をもつ。非営利組織
の目標は多岐にわたるため,明確なミッションを定めることで,組織
の目標が定義される。
3. 第三に,明確な価値観に対して企業がコミットすれば,売り手,買い
手,従業員によい効果がある。
ビジョン
• 内的な整合性をもつロジックで支えられた戦略を立案するた
めには,企業や業界が向かう方向を理解しなければならな
い。マネジャーは,技術の動向,競合のアクション,市場に生
じる機会に対して敏感になり,将来を正確に予想することは
できないながらも,ある種の先見性をもって,前提条件や相
互作用,結果を予想しなくてはならない。その場合,現実と将
来の姿のギャップを埋める戦略を,「ビジョン」という言葉で称
することもある.ウォレン・ベニス(Warren Bennis)とバートナ
ナス(Burt Nanus)は,ビジョンの役割を次のように述べてい
る。
ビジョン
• リーダーは,組織の方向を選ぶために,将来の望ましい姿を
思い描くが,それを「ビジョン」とよぶ。ビジョンは,現実的で,
信頼性が高く,魅力的な組織の将来像を具体的に示すもの
である.リーダーは,ビジョンによって,現在と将来を結ぶ「架
け橋」を見せる。
• 将来のビジョンをもつと,よい戦略を立案し,それを達成しよ
うとする意欲を社員に与えることができる.実際,長期目標な
しに戦略を具体化することは難しい。変化が激しい不確実な
世界において,企業の将来を思い描き,それをみなに伝える
ことはリーダーとしてのゼネラル・マネジャーが果たす重要な
役割である。
ボーダーズの戦略文書
ファイナンス
財務
資本の流れ
• 会社は株主や銀行などから資金を調達し原材料、生産設備を購入し、労
働者を雇う。次に、これらの原材料を使い製品を製造する。製造された製
品に利益を付加して販売される。現金販売であれば現金が会社に入る
が、掛売りであれば、この売掛金が回収されるまで現金は会社に入らな
い。現金から、製品、売掛金、現金に戻る流れを運転資本の流れという。
設備投資
投資家
$
資金
銀行
原材料
製造
製品
従業員
現金
顧客
$
経営者
$
売掛金
投資資本
• 生産設備などの固定資産は長期間にわたる製造過程において、
少しずつ消費される。製品の1つ1つが製造過程を通過するごとに、
生産設備のような固定資産の一部が失われていくようなものであ
る。実際、設備投資は投資した段階で現金支出が行われるが、会
計上は投資支出額をある一定期間に割り振る。これを減価償却と
よび、製品原価の一部を構成する。こうして現金が固定資産に投
資されていくのを投資資本の流れと呼ぶ。
億円
年目
現
金
設備
一年目
一億円
製品
設備
二年目
一億円
製品
設備
三年目
一億円
製品
設備
四年目
一億円
設備
製品
利益留保
• 会社は運転資本の流れと、投資資本の流れを通じて生まれだされ
た現金を支払利息、税金の支払い、借入金の返済、株主への配
当の分配に当てた後、その残りの現金は会社内に留保される。企
業が長期にわたり成長すると、現金が蓄積され、企業価値あるい
は株価が上昇することが期待される。
財務管理
増
資
・
減
資
負
債
に
よ
る
資
金
調
達
・
返
税
金
の
支
払
い
利
子
の
支
払
い
配
当
金
の
支
払
い
済
現金(キャッシュ)
売掛金の回収
売掛金
信用販売
生産
在庫(棚卸資産)
減価償却
投資
固定資産
現金販売
資金調達
•
借入による資金調達
– 間接金融
• 個人=>銀行=>企業
– 金利、借入金額、借入期間
• 通常企業が金融機関から借入する場合、金利、借入金額、借入期間が決められる。会計上
借入期間が1年以上のものを長期借入金、1年以内を短期借入金とよぶ。
– 証書借入
• 通常企業が金融機関から長期借入するとき証書を作成する。
– 手形割引
• 企業が顧客から受け取った手形(将来の特定日に支払うことを約束して振り出される)を金融
機関に買い取ってもらう。このとき、満了日までの利息分は差し引かれる。
– 当座借越
• 当座預金口座にある金額以上の小切手を発行したとき銀行が当座繰越限度額内であれば貸
し出す。
– 企業間の信用を利用して資金の貸し借りを行う
• 買掛金
• 支払手形
資金調達
•
•
•
•
•
•
株式・社債による資金調達
社債は企業が長期的な資金を調達する手段で、金融市場の発行市場で資金調
達される。社債の購入者は満期まで利息を受け取ることができる。利率は固定金
利と流動金利がある。
企業は株式を発行することで資金調達できる。資金の提供者は企業の株式を購
入することで株主になる。株主の権利として、1)利益配当請求権(配当を受ける
権利)、2)議決権(株主総会で会社経営に関する重要な案件を決議する権利)、
3)残余財産分配請求権(会社が解散するときに残った資産を受け取る権利)を
得る。
株式には普通株と優先株がある。普通株は先の3つの権利を保有する。優先株
は普通株よりも高い残余財産分配権を有するが、議決権を持たない。
社債・株式には発行市場と流通市場がある。発行市場では資金を必要とする企
業が新規に社債・株式を発行し資金を調達する。流通市場では社債・株式を保有
する投資家が他の投資家と債権を売買する市場である。
株式と社債の違いは、株式は満期が無く、利益があれば配当を株主に分配する。
社債には満期があり、利益があるなしに関わらず利息を払わなくてはいけない。
資金調達
• 企業内部からの資金調達
– 企業は毎年利益を蓄積している。これを利益の内部保留とよぶ。これは、売
上から費用を差引いた利益から、さらに法人税、配当などを差引いたもので
ある。企業が新規投資を行うときこの資金が用いられる。この内部保留は株
主のものであるから、通常この新規投資が負担するリスクに応じた期待収
益率が要求される。
損益分岐分析
• 損益分岐点(break-even point)とは、売上高と費用が等しい
点、すなわち利益ゼロのことである。この損益分岐点を利用
して企業の損益構造について分析することを損益分岐分析
(break-even analysis)という。
• 費用は売上高(あるいは販売量)と比例して変化する変動費
と、売上高が変化しても変わらない固定費に分類される。
• 商品(あるいはサービス)の販売金額から変動費を差し引い
たものを貢献利益(contribution margin)という。
• 次にすべての貢献利益を足し合わせた額から固定費を差し
引くと営業利益が算定できる。
• したがって、損益分岐点とは貢献利益が固定費と等しい(営
業利益がゼロの)点であるといえる。
損益分岐分析
• 損益分岐点を計算するには、以下の式を使用する。
固定費
損益分岐点売上高=
変動費
1-
売上高
固定費
損益分岐点販売量=
1単位当たりの貢献利 益
固定費
固定比率=
売上高
損益分岐分析
• 次の資料に基づいて損益分岐点の売上高と販売量を求めな
さい。
売上高
100円
変動費
60円
固定費
32円
営業利益
販売価格(1単位当たり)
1個当たりの変動費
8円
10円
6円
損益分岐分析
費
用
費
用
固定費
費
用
販売量
売
上
売上高線
販売量
売
上
・
費
用
損失
販売量
総費用
変動費
売上高線
販売量
利益
総費用
BEP
変動費
固定費
販売量
売
上
・
費
用
損失
売上高線
利益
BEP
総費用
変動費
固定費
販売量
固定費が大きく、変動費が小さい
売
上
・
費
用
損失
売上高線
利益
総費用
BEP
変動費
固定費
販売量
固定費が小さく、変動費が大きい
マーケティング
マーケティングの定義
• マーケテイングは,「顧客の創造と維持」を目的とした活動である。
• 企業は新規顧客により高い価値の提供を約束し,既存顧客には
満足を提供し続けることによってこれら2つの目的を達成しようと
する。そして,適切なマーケテイングを行い,顧客に満足を提供で
きた企業は,その満足に対する対価として利益を得られるのであ
る。
• マーケテイングはこうした「顧客に満足を提供し,利益を得る」とい
う交換を実現するために企業が計画・実行する対市場行動である。
そのため,アメリカ・マーケテイング協会(American Marketing
Association)は,マーケテイングを,「個人と組織の目的を満たすよ
うな交換を生みだすために,アイデアや財やサービスの考案から,
価格設定,プロモーション,そして流通に至るまでを計画し,実行
するプロセスである」と定義している。
マーケテイング・ミックス
• 企業が顧客に製品・サービスを提供することは,ひとつの手法や
方法だけで実現できない。マーケテイングは,さまざまなマーケテ
イング活動や手法を統合的に組み合わせることによって製品の提
供を実現しようとする。
• たとえば,製品の名前(ブランド)はどうすべきか,価格はいくらが
適当か,どの小売店に流通させれば買ってもらいやすいか,どの
ような販売促進手法を便うかといった要素について,それぞれ意
思決定が迫られる。
• マーケテイングでは,あるターゲット市場に向けて企業が用いる活
動や手法の組み合わせをマーケテイング・ミックスと呼ぶ。
• マッカーシー(E.J.McCarthy)というマーケテイング研究者は,
マーケティングの活動内容を整理し,製品(Product),価格(Price),
流通(Place),販売促進(Promotion)の4つの要素に集約できると
述べた。これらの4つの要素は,その英語の頭文字をとって4P(英
語では4Psと書いてフォーピース)と呼ばれる
ターゲット市場
•
•
•
•
•
•
市場には無数の顧客が存在する。マーケテイングの理想を言えば,すべて
の顧客のニーズに対応することであろう。しかし,現実的には顧客のニーズ
は多種多様であり,企業が顧客1人ひとりの要望や欲求を満足させることは
難しい。
そこで,「顧客は誰か」を見極める必要がある。顧客はさまざまなニーズを
持っているが,地域,年齢,ライフスタイルなどの特性によって独特の行動や
選好を示すことがある。
また,消費者は製品の購買経験の有無によって,異なる製品知識や評価を
も
つ傾向にある。
このように顧客は特性,行動などの要因によって明確にグループ化できる。
ひとつのグループは市場セグメントと呼ばれており,それぞれのセグメントは、
あるマーケテイングに対して同じような反応を示す消費者の集合体である。
企業は複数の市場セグメントのうち,1つか複数のターゲット市場を選択し、
そ
の市場に対してマーケテイングを実施する。
製品のポジション
• 次は,選択したターゲット市場のなかで,製品・サービスをどのよう
なポジションに位置づけたいのかを決定する。
• 消費者は,多数の製品・サービスの情報にふれるなかで,製品の
購買を簡単にすませるために製品を心の中でカテゴリーごとに整
理し,製品の位置づけを製品属性にもとづいて定義する。その位
置づけが,製品のポジションと呼ばれる。いわば,ある製品が競合
他社の製品と比較して消費者の心の中を占める場所である。
• ポジショニングとは,企業が自社の製品・サービスについて顧客の
心の中で望ましいポジションを獲得するための計画である。製品
のポジションは自明のことだと思われがちだが,企業が製品・サー
ビスをどのようなカテゴリーに位置づけるかによって,製品のポジ
ションやマーケテイングの成果が変わってくる。
• ポジショニングの軸は,製品属性,使用される機会,競合製品との
関係,製品の種類などである。企業は,これらのポジショニングの
軸を組み合わせて,製品の位置づけを決定する。
製品のポジション
◆セグメントなし
◆製品の差異は実質的になし
◆二つ以上のセグメント
◆製品差異が存在する
◆製品差異の効果が市場セ
グメントによって異なる
製品のポジション
コンセプトの設定
• 続いて,企業が製品・サービスによって「顧客にどの
ようなベネフィットを提供しようとしているのか」を検
討する。
• コンセプトは,製品のアイデアや提供するものを顧
客の言葉で表現したものである。 顧客は製品その
ものが欲しいのではなくて,製品から提供されるベ
ネフィットを求めている。