2章 前半

C.T.ホーングレンほか、渡邊俊輔監訳
『マネジメント・アカウンティング』
~ Introduction to Management Accounting
明治大学経営学部 鈴木研一ゼミナール
担当 山口一郎
目次











第1章
第2章
第3章
第4章
第5章
第6章
第7章
第8章
第9章
第10章
第11章
管理会計と企業組織
コストビヘイビアとCV関係の基礎
コストビヘイビアの測定
コスト管理システムとABC
関連情報と意思決定:販売の意思決定
関連情報と意思決定:生産の意思決定
総合予算
変動予算と差異分析
マネジメントコントロールシステムと責任会計
分権的組織のマネジメントコントロール
資本予算
2
第2章 コストビヘイビアとCV関係の基礎
内容

コストのコントロール
 コストビヘイビアの理解
 「コスト」が「組織の活動」とどう関連付けられどのように影響を
受けるのか?
 コストドライバー
 固定費、変動費

CVP分析
 生産・販売量が収益、費用、純利益に与える影響の分析
 損益分岐点
 最適コスト構造
 経営レバレッジ
4
はじめに

企業の財務上の結果
 収益とコストにより導かれる
 本章では、主にコストに注目していく


企業は通常、収益よりもコストのコントロールを重視
 実際、管理会計の主な目的の一つには、コストのコントロール
があげられる
では、一体企業のマネージャーは、どのようにしてコストをコントロール
しているのだろうか?
5
コストビヘイビア



マネージャーは、日常的には、製品の製造やサービスの提供に必要
な、活動の管理に重点を置いている
従ってマネージャーは、コストビヘイビアを理解しなければならない
 コストビヘイビア
 「コスト」が組織の「活動」とどう関連付けられ、どのように影響
を受けるのか?
つまり、コストをコントロールするためには、活動とコストを関連付ける
ことがカギとなる
6
考察


Boeingの工場
 工場における活動の一つに、機体に取り付ける部品の「受取」とい
う活動がある
 マネージャーはこの「活動」が「コスト」にどう影響するのかを、
知る必要がある
 工場のある場所からある場所へと部品を運ぶ装置の減価償却費
は、「受取」活動の増減によらず一定であった
 しかし運搬装置の燃料費は、「受取」活動の増減によって変化した
 つまり「受取」活動は、運搬のための装置や燃料などの資源を
必要とし、それらの資源には、コストがかかっているといえる
しかし、いかにして会計担当者は、コストコントロールが可能なように、
活動と資源コストを「正確に」関連付けるのであろうか?
7
コストドライバー


会計担当者は、活動とコストを関連付けるために、コストドライバーを
決定する
 コストドライバー
 コストを増減させる要因
 考察の「受取」活動のコストドライバーは、「受け取った部
品の数」または「受け取った部品の重量」と、決定される
会計担当者は、「コストドライバー」を決定することによって、「活動」と
「コスト」を正確に関連付け、マネージャーがコストをコントロールする
ことを可能にする
 考察の例において、マネージャーは、「受取部品の数や数量」が
「燃料や装置の使用量(引いてはコスト)」をどう変化させるのかを、
容易に理解できる
8
固定費と変動費

コストビヘイビアを理解する上でカギとなるのは、コストを「固定費」と
「変動費」に区別することである


固定費
 コストドライバーの増減の影響を受けないコスト
変動費
 コストドライバーの増減に比例して変化するコスト
9
固定費の例

Sonyの工場賃借料
 同社は、カラーテレビ用ブラウン管の生産工場を年間500,000㌦
で賃借している
 年間500,000㌦というコスト総額は、ブラウン管の生産量の増減の
影響を受けない(ブラウン管生産量に対する固定費)


ところで、生産1本当たりの賃借料は、総生産量によって決まる
 ブラウン管を50,000本生産すれば、単位コストは、500,000㌦
÷50,000本=@10㌦
 ブラウン管を100,000本生産すれば、単位コストは、500,000
㌦÷100,000本=@5㌦
固定費総額が、コストドライバーの増減によらず一定であるのに対し、
単位あたり固定費は、コストドライバーの増減に伴い変化する
10
変動費の例



Watkins Products社の販売手数料
 同社では、売上高の40%を、販売手数料として訪問販売員に支
払っている
 同社にとって販売手数料の総額は、売上高の40%になる(売上高
に対する変動費)
Dan’s Bait Shop社の魚の餌の仕入れコスト
 同社では魚の餌を、一袋あたり2㌦で仕入れている
 同社にとって、魚の餌のコスト総額は、仕入れた袋の数に2㌦を掛
けた額になる(仕入数量に対する変動費)
総変動費が、コストドライバーの増減に比例して変化するのに対して、
単位当たり変動費は、コストドライバーの増減によらず一定である
11
まとめ~固定費と変動費の比較

固定費のビヘイビア
コスト

コスト
コストドライバー


変動費のビヘイビア
固定費総額は、コストドライ
バーの増減によらず一定
単位あたり固定費は、コストドラ
イバーの増減により変化する
コストドライバー


総変動費は、コストドライバー
の増減に伴って変化する
単位当たり変動費は、コストドラ
イバーの増減によらず一定
12
注意~正常操業圏の存在


固定費はコストドライバーの増減によらず一定である、と述べてきたが、
このことは妥当な範囲内でしかあてはまらない
 例えば賃借料は、通常は固定費であるが、生産量が増加してより
大きな建物が必要になった場合には、上昇する
 逆に、生産量が減少して小さな建物に移る場合には、減少する
正常操業圏
 コストとコストドライバーとの特定の関係が有効である、コストドラ
イバー活動の範囲


ただし、正常操業圏内であっても、固定費が一定なのは、ある所
定の期間(通常は予算期間)だけである
 固定費は、保険料や固定資産税率、役員報酬、賃借料等の
改定により、予算年度ごとには変化することがあるから
しかしこれらは、年度内には変化しないと考えられる
13
固定費と正常操業圏

(図表2-3上)
General Electricの電球生産工場
 正常操業圏は、月産40,000~85,000ケース
 正常操業圏内での固定費総額は、100,000㌦で一定
 月産40,000ケースを下回ると、固定費が60,000㌦に減少
 月産85,000ケースを上回れば、固定費が115,000㌦に増加
($)
115,000
月間
100,000
固定費総額
60,000
20
40
60
80
コストドライバー
100
(千個)
正常操業圏
14
補足

(図表2-3下)
しかし、月間操業度が正常操業圏外となることは、きわめて稀である
 そこで通常は、前頁の図のように正確に3段階に分けて描くことは
なく、以下のように作図する範囲にわたって1本の水平線を引く
 その際、正常操業圏外では、点線を用いることが多い
($)
115,000
月間
100,000
固定費総額
60,000
20
40
60
80
コストドライバー
100
(千個)
正常操業圏
15
変動費と正常操業圏


正常操業圏に関する基本的な考え方は、変動費にもあてはまる
Del Monte社の缶詰機械にかかる変動費
 稼働時間が週30~50時間であれば、1時間あたり5㌦
 稼動時間が週50時間を超えると、1時間あたり6㌦に増加
($)
300
250
週間
総変動費
200
150
100
50
10
20
30
40
コストドライバー
正常
操業圏
50
60
(時間)
16
CVP分析(Cost-Volume-Profit Analysis)


コストを固定費と変動費に分類することは、CVP分析を可能にする
 CVP分析
 生産・販売量(コストドライバー)が、収益(売上高)や費用(コ
スト)、そして純利益に与える影響の分析
もちろん生産・販売量の他にも、様々な要因がコストに影響を与える
 しかしながら、生産・販売量とコスト、収益との関連を明らかにする
ことは、意思決定における有用な第1段階である
17
CVP分析の前提





すべての費用(コスト)は固定費と変動費に分類できる
 固定費は、生産・販売量の増減によらず一定
 変動費は、生産・販売量の増減に比例して変化
収益と費用のビヘイビアは正確に描かれ、ともに正常操業圏内では
線形的である
 生産・販売量が変化しても、価格は一定
 生産・販売量が変化しても、単位当たり変動費は一定
 単一のコストドライバーを前提
効率性と生産性は一定とする(←経験曲線は考慮せず)
セールズミックスは一定とする
 セールズミックスとは、売上高に占める各製品の相対的な割合
期首と期末の在庫量は一定とする
 生産量=販売量(←CVP分析は損益計算書上のみの概念)
18
CVP分析の内容





損益分岐点分析
 損益分岐点販売数量、損益分岐点売上高
目標純利益の達成条件
 目標販売数量、目標売上高
リスクの評価
 安全余裕率
損益分岐点の変化とその影響
 固定費の変化
 単位当たり貢献利益の変化
最適コスト構造の模索
 経営レバレッジ
19
損益分岐点分析

最も基本的なCVP分析は、損益分岐点分析である
 損益分岐点
 収益と費用が等しくなり、純損益がゼロなる売上高水準
 収益(売上高)
 販売単価×販売数量
 費用
 固定費+変動費

損益分岐点における販売数量と売上高を求める
20
例題

Middletown Community Collegeの食堂
 販売単価と1食あたりの変動費のデータ
 平均販売単価5㌦

1食あたり平均変動費4㌦
 販売単価と1食あたりの変動費は、個々のメニューごとに
異なるが、マネージャーは以上の数値で分析すれば十分
であると考えている
 月間固定費のデータ
 賃借料1,000㌦、人件費4,500㌦、その他500㌦
 総額6,000㌦

損益分岐点における販売数量と売上高を求めよ
21
貢献利益の考え方
(
単位:
㌦)
売上高に対する比率
単位当たり
平均販売単価
単位あたり平均変動費
貢献利益
月間固定費

5
4
1
100%
80%
20%
6,000
貢献利益
 売上高から変動費を引いた額
 これによって固定費を回収し、純利益を上げていく
 売上高-費用=純損益
 売上高-(変動費+固定費)=純損益
 貢献利益-固定費=純損益
 貢献利益が固定費を上回った時、純利益が発生する
 この例示において、単位当たりの貢献利益は1㌦である
22
解答



では、損益分岐点はどこか?
 貢献利益-固定費=純損益
 貢献利益-固定費=0
 貢献利益総額=固定費総額、となる点である
 単位当たり貢献利益×販売数量=固定費総額、となる点
損益分岐点販売数量
 固定費総額÷単位当たり貢献利益
 6,000㌦÷1㌦=6,000食
損益分岐点売上高
 損益分岐点販売量×販売単価
 6,000食×5㌦=30,000㌦
23
損益分岐点における損益計算書
総額
販売量
売上高
変動費
貢献利益
固定費
純利益
(単位:㌦)
比率
単位当たり
6,000
30,000
24,000
6,000
6,000
0
5
4
1
100%
80%
20%
24
貢献利益率の考え方


販売単価と単位当たり変動費が分からない場合がある
 複数の製品(販売単価も単位あたり変動費も異なる)を販売する
企業で見られるが、その場合、損益分岐点販売量は意味がない
 では、どうするのか?
ある生産・販売量水準での売上高と変動費が与えられたら、そこから
貢献利益率を求め、それを基に損益分岐点売上高を計算する
 貢献利益率
 売上高に占める貢献利益の割合
 売上高の何%が、固定費を回収し、利益を生み出す貢献
利益か?
25
例示

損益分岐点売上高を求めよ
 前述のMiddletown Community Collegeの食堂
 売上高30,000㌦、変動費24,000㌦、固定費6,000㌦
 貢献利益率=貢献利益÷売上高
=(売上高-変動費)÷売上高=0.2
 売上高の20%によって固定費が回収されていく


損益分岐点売上高
 固定費÷貢献利益率
 6,000㌦÷0.2=30,000㌦
貢献利益率を用いることで、損益分岐点販売数量を求めなくても、損
益分岐点売上高を算定できる
26
CVPグラフ


以降のスライドに示すグラフは、前述の食堂における損益分岐点分析
を、別の角度から表現したものである
 活動量と収益、費用の関係に注目
グラフからは、様々な活動量における純損益が読み取れる
 ある活動量について、総収益線と総費用線の縦軸方向に測った
距離が純利益、または純損失を示す
27
損益分岐点
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
純利益
40,000
30,000
変動費
損益分岐点
20,000
純損失
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
28
収益
収益・費用
($)
総収益線
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
29
費用
収益・費用
($)
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
30
収益と費用の関係
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
31
損益分岐点(→販売量、売上高を確認)
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
損益分岐点
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
32
目標純利益の達成条件

目標純利益を達成するために必要な販売量と売上高を求めるために、
CVP分析を用いることができる
 前述の食堂において、最低目標利益を1,500㌦とする
 目標売上高と販売量はそれぞれいくらになるか?
 損益分岐点の式をどのように変形すれば良いのか考える
 貢献利益で回収するもの
 固定費→(固定費+目標純利益)


必要売上高
 (固定費+目標純利益)÷貢献利益率
 (6,000+1,500)÷0.2=37,500㌦ (←30,000㌦)
必要販売数量
 (固定費+目標純利益)÷単位当たり貢献利益
 (6,000+1,500)÷1=7,500食
(←6,000食)
33
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
34
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
35
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
36
リスクの評価


予算売上高を損益分岐点とを比較することで、安全余裕率を把握する
ことができる
 安全余裕率
 (予算売上高-損益分岐点売上高)÷予算売上高
 売上高水準が予算を、どの程度下回ると損失が発生するの
か?
 現状の売上高との比較でも良い
 現状の売上高水準を、どの程度下回ると損失が発生する
か?
前述の食堂において、予算販売量を8,000個と見積もった
 安全余裕率はいくらか?
 {(8,000×5)-30,000}÷40,000=0.25 (→25%)
37
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
38
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
予算売上高
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
39
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
予算売上高
30,000
変動費
損益分岐点
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
40
損益分岐点の変化(1)

固定費が変化すると、損益分岐点も変化する
 例えば前述の食堂において、月間賃借料1,000㌦が2.5倍になっ
たら、損益分岐点(売上高・販売量)はどうなるか?


固定費が6,000㌦から7,500㌦になるので
 損益分岐点売上高(=固定費÷貢献利益率)
 7,500÷0.2=37,500㌦
(←7,500㌦分上昇)
 損益分岐点販売量(=固定費÷単位当たり貢献利益)
 7,500÷1=7,500食
(←1,500食分上昇)
企業は、例えば工場を売却し、固定資産税や保険料、減価償却費、マ
ネージャーの給料などを削減することによって、固定費を削減し、損益
分岐点を引き下げることできる
41
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
42
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
43
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
44
損益分岐点の変化(2)

単位当たりの貢献利益が変化しても、損益分岐点は変化する
 例えば前述の食堂において、他の条件は一定のまま、平均販売
単価を6㌦に値上げすると、損益分岐点(売上高、販売量)はどう
なるか?


単位当たり貢献利益が2㌦、貢献利益率は約33.3%になるので
 損益分岐点売上高(=固定費÷貢献利益率)
 6,000÷0.33‥=18,000㌦
(←12,000㌦低下)
 損益分岐点販売量(=固定費÷単位当たり貢献利益)
 6,000÷2=3,000食
(←3,000食分減少)
企業は、価格の引上げや変動費の削減により、単位当たり貢献利益
を上昇させることによって、損益分岐点を引き下げることができる
45
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
46
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
47
図解
収益・費用
($)
総収益線
50,000
46,000
総費用線
40,000
30,000
変動費
20,000
10,000
6,000
固定費
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千食)
48
最適コスト構造の模索

マネージャーは通常、利益が最も大きくなるコスト構造を求める
 コスト構造
 固定費要素と変動費要素の組み合わせ


例えば、自動化のために機械を導入すると、固定費は上昇するか
もしれないが、単位当たりの労務費は減少するであろう
逆に固定費を削減するために、固定給の販売員(固定費)を、歩
合給の販売員(変動費)に代えることがあるかもしれない
49
経営レバレッジ

マネージャーは、経営レバレッジを考える必要がある
 経営レバレッジ
 固定費の、変動費に対する比率のこと
 レバレッジが高い‥固定費が大きく、変動費が少ない
 レバレッジが低い‥固定費が少なく、変動費が大きい


経営レバレッジが高い企業の特質
 販売量の変化に対する純損益の変化が大きい
経営レバレッジが低い企業の特質
 販売量の変化に対する純損益の変化は小さい
50
考察


A・B両社のコストビヘイビアを比較する
 A社の固定費は14,000㌦で、単位当たり変動費は1.0㌦
 高い経営レバレッジ
 B社の固定費は2,000㌦で、単位当たり変動費は2.5㌦
 低い経営レバレッジ
予想売上高は、両社とも24,000㌦(@3.0㌦で8,000単位)である
 この売上高水準では、両社とも2,000㌦の純利益が得られる
51
図解
(図表2-7改)
総収益線
B社:低レバレッジ
収益・費用
($)
25,000
24,000
A社:高レバレッジ
22,000
20,000
15,000
14,000
10,000
5,000
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千)
52
売上高減少の影響

ところが、売上高水準が7,000単位に減少すると‥
 A社の利益は急激に落ち込む(純利益2,000㌦→0)
 B社はそれほど落ち込まない (純利益2,000㌦→1,500㌦)
53
図解
(図表2-7改)
総収益線
B社:低レバレッジ
収益・費用
($)
25,000
24,000
A社:高レバレッジ
22,000
20,000
15,000
14,000
10,000
5,000
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千)
54
売上高増加の影響

逆に、9,000単位に増加すると‥
 A社の利益は急激に増加する(純利益2,000㌦→4,000㌦)
 B社はそれほど増加しない (純利益2,000㌦→2,500㌦)
55
図解
(図表2-7改)
総収益線
B社:低レバレッジ
収益・費用
($)
25,000
24,000
A社:高レバレッジ
22,000
20,000
15,000
14,000
10,000
5,000
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千)
56
経営レバレッジと利益構造


高いレバレッジを選択することは、相対的にリスクが高い
 大きい利益と大きい損失をもたらす可能性がある
 売上高に対する貢献利益率が高く、固定費も高いから
低いレバレッジを選択することは、相対的にリスクが低い
 売上高が変動しても、純利益の変動は僅かである
 売上高に対する貢献利益率が低く、固定費も低いから
57
高いレバレッジの選択
(図表2-7改)
総収益線
収益・費用
($)
25,000
24,000
4,000 A社:高レバレッジ
2,000
22,000
20,000
損益分岐点
15,000
14,000
10,000
5,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千)
58
低いレバレッジの選択
(図表2-7改)
総収益線
B社:低レバレッジ
収益・費用
($)
2,500
25,000
24,000
2,000
22,000
20,000
1,500
15,000
10,000
損益分岐点
5,000
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
販売量
(千)
59
参考


利益改善策の検討~トレードオフの存在を理解
 原価の低減
 変動費の削減
 固定費の削減
 収益の向上
 単価の引上げ
 販売数量の増加
 製品組み合わせの変更
 レベニュードライバーの考慮
 製品の属性、品質、サービスの質、ブランド・パワー
以上は、鈴木研一先生(2002年) http://oh-o.meiji.ac.jp、による
60
法人税の影響

これまでの説明においては、法人税を無視してきた
 しかしながら多くの国において、私企業には法人税が課される
 従って、法人税の影響について考える必要がある

ここでの法人税とは、利益を課税標準とする税の全てを含むもの
とする
61
例示

前述の食堂の例を再検討する
 目標純利益を1,500㌦として必要売上高、必要販売数量を求めた
 しかしこれは税引前純利益であり、法人税率を40%とすると、
税引後純利益は900㌦になってしまう
税引前純利益
法人税
税引後純利益
1,500㌦
600㌦
900㌦
100%
40%
60%
62
目標税引後純利益の達成条件

では、目標税引後純利益を1,500㌦とすると、必要売上高、必要販売
数量はいくらになるか?
 税引後純利益=税引前純利益-法人税
 税引後純利益=税引前純利益×(1-法人税率)
 目標税引前純利益=目標税引後純利益/(1-法人税率)
 これを固定費に加えて、回収目標額とする


必要売上高
 (固定費+目標税引後純利益/(1-法人税率))
÷貢献利益率
 (6,000+1,500÷0.6)÷0.2=42,500ドル (←37,500㌦)
必要販売数量
 (固定費+目標税引後純利益/(1-法人税率))
÷単位当たり貢献利益
 (6,000+1,500÷0.6)÷1=8,500食
(←7,500食)
63
留意事項


法人税の影響を考慮すると、目標純利益を達成するために必要は売
上高や販売量は変化する
では、損益分岐点はどのような影響を受けるのであろうか?
 損益分岐点自体は変化しない
 利益ゼロの状態では、法人税が課されないから
64
Review

コストのコントロール
 コストビヘイビアの理解
 「コスト」が組織の「活動」とどう関連付けられどのように影響を
受けるのか?
 コストドライバー
 固定費、変動費

CVP分析
 生産・販売量が収益、費用、純利益に与える影響の分析
 損益分岐点
 最適コスト構造
 経営レバレッジ
65
参考・引用文献


Horngren,C.T., G.L.Sundem, and W.O.Stratton, Introduction To
Management Accounting, Eleven Edition, Prentice Hall, 1999(渡
邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』TAC出版、2000年)
鈴木研一先生(2002年) http://oh-o.meiji.ac.jp
66