2章 後半

目標純利益

CVP分析を用いると目標利益を達成するために必要な販売量と売上
高を算定できる
 損益分岐点の式を「変形する」
 貢献利益で回収するもの
 固定費→(固定費+目標純利益)

目標売上高=(固定費+目標純利益)÷貢献利益率

目標販売量=(固定費+目標純利益)÷単位当たり貢献利益
1
例題

Winston(固定費$6,000、変動費@$0.4、価格@$0.5)において、目
標純利益を$480とすると目標売上高と販売量はそれぞれいくらになる
か?
 目標売上高=(固定費+目標純利益)÷貢献利益率
 (6,000+480)÷0.2=$32,400
 目標販売量=(固定費+目標純利益)÷単位当たり貢献利益
 (6,000+480)÷0.1=64,800個

増分アプローチ
 損益分岐点(60,000単位、$30,000)を越えると純利益(増分)
は貢献利益と等しくなる
 480÷0.1=4,800個←増分販売量
 4,800×0.5=$2,400←増分売上高
2
主要な要因の複合的変化

マネジャーは複数の要因の起こり得る変化にについて意思決定を行
わなければならない
 Winstonにおいて、賃金(固定費)が$820節約できるが販売量が
10,000個減少する場合、賃金を減らすべきか考えてみる
 62,000個と90,000個の販売水準を仮定する
62,000個から52,000個の場合
販売量
売上高
変動費
貢献利益
固定費
純利益
純利益の変化
62,000
$31,000
24,800
6,200
6,000
200
52,000
$26,000
20,800
5,200
5,180
20
($180)
90,000個から80,000個の場合
90,000
$45,000
36,000
9,000
6,000
3,000
80,000
$40,000
32,000
8,000
5,180
2,820
($180)
3
CVP分析の応用


CVP分析により最も利益の多くなるコスト構造を求めることができる
 固定費と変動費の変化
 経営レバレッジ
貢献利益と売上総利益
 貢献利益=価格-総変動費
 総変動費との関係で売上を見る
 売上総利益=価格-売上原価
 売上原価との関係で売上を見る
4
経営レバレッジ

経営レバレッジ
 変動費に対する固定費の比率
 レバレッジが高い‥固定費が大きく、変動費が少ない
 レバレッジが低い‥固定費が少なく、変動費が大きい


経営レバレッジが高い企業の特質
 販売量の変化に対する純損益の変化が大きい
 リスク高
経営レバレッジが低い企業の特質
 販売量の変化に対する純損益の変化は小さい
 リスク低
5
例題

レバレッジの高い企業と低い企業を考えてみる、予想売上高、純利益、
価格は両社とも80,000単位、$2,000、@$0.30である
 レバレッジの高い企業
 固定費$14,000
 変動費@$0.10

レバレッジの低い企業
 固定費$2000
 変動費@$0.25
6
図解
総収益線
低レバレッジ
収益・費用
($)
高レバレッジ
24,000
22,000
$0.25
14,000
$0.10
$0.30
2,000
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
販売量
(千)
7
売上水準の変化による影響(1)

販売量が80,000単位から70,000個に減少
 レバレッジの高い企業
 利益は急激に落ち込む
 純利益$2,000→$0

レバレッジの低い企業
 利益はそれほど落ち込まない
 純利益$2,000→$1,500
8
図解-1
総収益線
低レバレッジ
収益・費用
($)
高レバレッジ
24,000
22,000
21,000
19,500
14,000
2,000
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
販売量
(千)
9
図解-2

拡大図
24,000
2,000
22,000
21,000
1,500
高レバレッジ
19,500
$2,000→$0
低レバレッジ
$2,000→$1,500
70
80
10
売上水準の変化による影響(2)

販売量が80,000単位から90,000個に増加
 レバレッジの高い企業
 利益は利益は急激に増加する
 純利益$2,000→$4,000

レバレッジの低い企業
 利益はそれほど増加しない
 純利益$2,000→$2,500
11
図解-1
総収益線
低レバレッジ
27,000
収益・費用
($)
高レバレッジ
24,500
24,000
23,000
22,000
14,000
2,000
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
販売量
(千)
12
図解-2

拡大図
27,000
2,500
4,000
24,500
24,000
2,000
高レバレッジ
22,000
$2,000→$4,000
低レバレッジ
$2,000→$2,500
80
90
13
セールズミックス分析(補論A)

ほとんど全ての企業は複数の製品を販売しているため、セールズミッ
クスの変化によるCVP関係の変化を考える必要がある
 セールズミックス
 総売上を構成する各製品の量の相対的な割合

経営者は最も収益性の高いセールズミックスを実現しようとする
14
法人税の影響(補論B)

これまでの説明においては、法人税を無視してきたが、多くの国にお
いて、私企業には法人税が課されるため、法人税の影響について考
える必要がある
 税引後純利益=税引前純利益-法人税
 税引後純利益=税引前純利益×(1-法人税率)

目標利益設定時
 目標売上高-変動費-固定費=目標税引前純利益

目標税引前純利益×(1-法人税率)=目標税引後純利益
15
Review

コストのコントロール
 コストビヘイビアの理解
 「コスト」が組織の「活動」とどう関連付けられどのように影響を
受けるのか
 コストドライバー
 固定費、変動費

CVP分析
 生産・販売量が収益、費用、純利益に与える影響の分析
 損益分岐点
 目標純利益
 最適コスト構造
 経営レバレッジ
16
参考・引用文献

Horngren,C.T., G.L.Sundem, and W.O.Stratton, Introduction To
Management Accounting, Eleven Edition, Prentice Hall, 1999(渡
邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』TAC出版、2000年)
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