大東文化大学 経営学部 2008年度 経営科学 第10 回 6

梅沢人間力アカデミー
『ゼミナール 経営学の基礎』
第5章
「固定費・変動費と損益分岐点 」
1.固定費、変動費
・固定費: 研究・開発償却費、機械設備償却
費、工場建屋償却費、事務社屋償却費、
一般管理費など、短期的な産出高の変動に
ともなって変化しない費用
・変動費: 原材料費、労務費など、短期的な
産出高の変動に伴って変化する費用
2.費用、平均費用
費用 C (x) = F + v x
平均費用 c (x) = 費用/産出量 = F/x + v
利益 E (x) = 売上高 - 費用 = p x - ( F + v x )
= p x - ( F/x + v ) x
= ( p - ( F/x + v ) ) x
= ( 価格 - 平均費用 ) × 産出量
C (x): 費用, c (x): 平均費用, F : 固定費,
p : 価格, v : 単位あたりの変動費, x : 産出量
売上高曲線、費用曲線、利益曲線
S ,C ,E
売上高 S(x) = p x
費用 C(x) = F + v x
利益
F
o
x
損益分岐点
-F
E(x) = p x - ( F + v x )
= ( p -v ) x - F
平均費用曲線
c
c(x) = F/x + v
p
v
o
損益分岐点
x
3.損益分岐点:
利益がゼロとなる産出高
損益分岐点を b とすれば、
E(b) = p b - ( F + v b ) = 0
したがって、
( p - v )b = F
b = F /( p - v )
4.1 売上高の減少が利益の減少に
及ぼす影響
売上 x が一割減少して 0.9 x になった場合の、利益は
E(0.9 x) = p * 0.9 x - ( F + v * 0.9 x )
となり、利益の減少幅は
E(x) - E(0.9 x)
= [p x - ( F + v x )] - [p * 0.9 x - ( F + v * 0.9 x )]
= p * 0.1 x - v * 0.1 x
= ( p - v ) * 0.1 x
したがって、利益の減少率は
[E(x) - E(0.9 x)] / E(x)
= ( p-v ) * 0.1 x / [( p-v ) x - F]
= 0.1 x / [x-F/( p-v )]
= 0.1 * 売上 / [ 売上 - 損益分岐点 ]
となり、分母の第2項は正数だから、利益の減少率
は 0.1より大きい、 つまり1割より大きいことが示さ
れた。
4.2 売上高の増加が利益の増加に
及ぼす影響
売上 x が一割増加して 1.1 x になった場合の、利益は
E(1.1 x) = p * 1.1 x - ( F + v * 1.1 x )
となり、利益の増加幅は
E( 1.1 x ) - E(x)
= [p * 1.1 x - ( F + v * 1.1 x )] - [p x - ( F+vx )]
= p * 0.1 x - v * 0.1 x
= ( p-v ) * 0.1 x
したがって、利益の増加率は
[ E( 1.1 x ) - E(x) ] / E(x)
= ( p-v ) * 0.1 x / [ ( p-v ) x - F ]
= 0.1 x / [ x-F/( p-v ) ]
= 0.1 * 売上 / [ 売上 - 損益分岐点 ]
となり、分母の第2項は正数だから、利益の増加
率は 0.1より大きい、 つまり1割より大きいことが
示された。