07ABA4 応用行動分析(4) • 罰なき社会 対人援助の文脈からみた行動分析の思想2 1 対人援助全般の作業における 行動分析的表現による一般的な目標設定 「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、 その機会が拡大していくように援助すること [正の強化]:本人にとって、好ましい結果事 象を随伴させることによって、行動が成立・ 維持させる操作 [負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなると いう随伴性によって行動を成立・維持させる 操作(いやいや行わせる) 2 行動の増大(維持)/減少をひきおこす二つの随伴性の 手続き(強化/罰) 行動への効果で区別:「好ましい」はずなのに・・ 反応増大(維持) 刺激の出現 正の強化 刺激の除去 負の強化* 反応減少 正の罰* 負の罰 *罰の効果:「天罰」しか効かない(?) **負の強化:逃避(escape)/回避(avoidance) それまで行動を維持していた強化を中止することで行動 が減少していくこと・・・ 消去 3 一見、ややこしい分類をする意味 「意図」と「事実(効果)」の違い ・「ごほうび」を与える 与える側が「正の強化」と意図していても 効果は逆のことがある ・「体罰」を与える 「正の罰」と意図していても強化になる 場合もある 4 ところで、どんな後続事象が正の強化になる? ・プリマックの原理 より自発頻度が高い反応はより自発頻度の 低い反応を強化する (「えさを食 べる」vs.「レバーを押す) ・反応制限説 より制限された反応はより制限されない反応 を強化する 結局、それぞれの個体で何が強化になるかは、その個体の 現状の状況をみるしかない。その個体(個人)から離れて、一 5 律に強化(刺激)を同定することは難しい。 罰や負の強化で行動が 維持されると? • 多くの社会的課題や問題行動の原因の 殆どはこのネガティブな行動の統制によ るものと考えられる 6 負の強化:嫌悪的な事態からの逃 避・回避によって維持された行動 の結果 7 日本の生徒の勉強は? 『世界各国の 中学2年生を対象に 数学と理科の国 際テストが 行われました。世界38の国や地域の中 学2年生、およそ18万人を 対象に行ったテストの結 果から、日本の生徒は「数学」では、 シンガポール、 韓国 台湾、香港に次いで5番目、「理科」も台湾、シ ンガポール、 ハンガリーに次いで 4番目に高い成績 でした。一方で、「数学」を「好き」と 回答した日本の 生徒の割合は 48%で、回答した37の国と地域の中 で 36番目、「理科」についても回答した23の国と地 域の中で 22番目と、 世界最低レベルであることが わかりました』 (毎日新聞、2000、11月) 8 なぜヒトは「罰」を使ってしまうのか 「正の強化」でも「負の強化」であっても、 ヒトは即時的な強化に弱い 9 ★ 即時的行動随伴性と社会的相互作用 「抱き癖」行動随伴性 赤ん坊の「泣く」行動 先行状況 行動 抱かれていな い 泣く 後続状況 抱かれる 母親は、子どもの「泣く」行動を維持している 随伴性に気づいているかも知れない。 しかし維持している自分の行動を止めることができ 10 ない 母親の「抱く」行動 先行状況 行動 後続状況 泣声あり 抱く 泣き声なし 一時的だが即時的環境変化 行動は、遅延する環境変化よりも、即時的な環境変化に 影響を受けやすい 11 ★社会的悪循環 「やめさせたい」と思っているのに、かえってやまらなく なってしまう相互的行動随伴性の状況 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く ベッドに寝かせる 12 「問題行動」 いやしくも「慢性的」になっているので問題視されてい る。 慢性的とは、当該行動が周囲との行動随伴性関係に おいて「社会的悪循環」になっている場合が多い。 →つまり、「やめさせたい」という思いが強いがゆえに 「やめさせられない」場合がある。 →あるいは、(実際には効果のない)「やめさせる行 動」自体が他から強化されて、維持している場合もあ るかも知れない。 13 Question: ●赤ん坊の「抱き癖」を停止するには? 1)赤ん坊の行動への操作(母親の対応): 2)母親の行動への操作(母親への対応): ●問題行動への対処はどうしたらよいか? 1)ボーダラインのヒトへの対処の失敗 2)自傷行動に対応するにはどうしたら? 14 正の強化で行動を維持する そのためには? • 「今できる」課題から次第に目標へ。 行動形成(shaping ) • 複雑な課題は、最初は「援助つき」で行い、 次第にその援助を抜いていく いずれも、周囲の「援助」が必要である。 絶えず、「達成感あり」の状況をつくる 15 この図をまず思い出して下さい 反応キー(オペラント の対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反 応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる えさ呈示装置 今,できる行動を認める(○) 16 「今」を認めるということ ×→○ ○→× ○→○ 17
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