10応用行動分析(4) 行動分析学の基礎 望月昭 [email protected] 資料アナウンス用のブログ: 「対人援助学のすすめ」 1 前回の復習 創造的な 「これ」があれば「できる行動」の表現 先行事象 反応(行動) 結果事象 この3つで表現 基本枠組みは「行動分析学」(S-R-S)採用 2 これがあれば「できる」行動 • 先行条件(刺激)と行動(反応)とそれに “随伴する”後続条件(刺激)による表現 = オペラント行動 という行動の表現方法がある。 3 行動主義の流れと 行動分析学の特徴 1) S ー R 2) S ー O ー R 3) S・・・・R・・・・ S 4 1. 行動を分類すると・・・・ 2.新しい行動の作り方 レスポンデント条件づけ オペラント条件づけ 3.行動分析学の思想: 他者に行動を形成したり、維持する際の注意 「罰なき社会」を作るには? 5 1. 行動を分類(表現)する • 分類する、ということも、一種の行動である。 • 血液型の性格分類といった行動はなぜ維持さ れるのか? • 従来の行動の分類: 生得的行動、本能的行動、後天的行動、 意識的行動、無意識的行動、Etc 挙げていけば、際限なし 6 基礎としての内容 • 1)レスポンデントとオペラントという行動の 分類 • 2)新しい「行動」の生成の仕方 • 3)強化と罰 7 行動の分類: レスポンデントとオペラントという分類 レスポンデント 目に光りが入ると瞳孔が 縮む。 オペラント 背伸びをする 歩く 膝を叩くと伸びる(膝蓋腱 反射) 本を読む 新生児の原始反射 投票行動をする 温度や緊迫状況などでの 発汗、心拍昂進、 相づちをうつ 考える げんをかつぐ 8 レスポンデントとオペラント:分類の基準 レスポンデント 無意識的? 生得的? 先行する刺激に 専ら統制される オペラント 意識的? 後天的(学習的)? 後続する刺激によっ て次の機会での消長 が決まる どのように操作可能か、という分類の仕方をすることで、は じめて実践的に使える(業務用心理学) 9 分類とは(分類する行動の意味) • 分類する「行動」も、オペラント行動です。どのようにで もできる • なぜ、さっきにようにオペラントとレスポンデントを分類 するか? • 消長を「統制」する方法による分類行動である。 出現の原因を明確に同定する、という目的あり。 このことは、対人援助といった実践的方法とし ても重要・・・・という「機能」があるから。 10 問題です。 • 泣くという行動は、レスポンデントかオペラ ントか? • その「泣き」の消長の決め手は? 11 分類することの意味は何か? 「だきぐせ」を例に 赤ん坊が泣いている(why?) 空腹 腹痛 泣く 先行刺激が専ら原因なら レスポンド泣き? 先行刺激操作で変化したら 後続刺激操作で変化したら 抱く、ミ ルク、お しめ 後続刺激が維持するなら オペラント泣き? レスポンデント オペラント 12 先行する「刺激」に統制されているのか、後続する 「刺激」に統制されているのか? 自傷(Self Injurious)行動の原因 Story 1: 先行する刺激や「心の傷」が原因 Story 2: 後続する刺激(注目など) が原因 対処の仕方がかわってくる 13 2. 新しい行動の作り方 レスポンデント行動とオペラント 行動では、「作り方」が 全く異なる。 14 レスポンデント行動の作り方 新しいレスポンデント反応の形成 ・レスポンデント条件づけ 特徴:反応の形態自体は(基本的に)同じ パブロフの犬 新しい先行刺激の統制を受けるようになる 口に食べ物 唾液反射 無条件刺激 条件反応 音刺激 対提示操作 条件反応(反射) 無 定位反射 無条件反応 新しい刺激-反応の組み合わせは、先行刺激の対提示 のみで成立(レスポンデント条件づけ) 15 学習されたレスポンデント行動の 消去と忘却 ・消去:条件刺激のみ提示される 条件刺激に新しい刺激が対提示される ・忘却:条件刺激自体が提示されない。 問題:「匂い刺激で、昔の思い出が、よく蘇る 理由は?」(視覚や聴覚に比べて) 16 オペラント行動の作り方 「明日までに、デンショバトが、キーをつついて えさを食べられるように訓練してきなさい」 反応キー(オペ ラントの対象) えさ呈示装 置 17 行動形成(shaping) 1) 言語教示 2)手取り、足取り 3)モデリング 4)漸近的接近(行動形成) 18 反応キー(オペラント の対象) 行動形成 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反 応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる えさ呈示装置 19 新しいオペラント反応の形成 ・オペラント条件づけ 特徴:反応の形態自体、また先行刺激 の 統制も、いずれも新たに学習される。 新しい反応形態の獲得の具体的方法 ・シェイピング(漸近的接近) ・モデリング ・物理的(身体的)介助 ・言語的指示 など 反応に後続する刺激によって消長決定 20 オペラント行動の消長の操作 • 強化と罰 21 対人援助全般の作業における 行動分析的表現による一般的な目標設定 「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、 その機会が拡大していくように援助すること [正の強化]:本人にとって、好ましい結果事 象を随伴させることによって、行動が成立・ 維持させる操作 [負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなると いう随伴性によって行動を成立・維持させる 操作(いやいや行わせる) 22 行動の増大(維持)/減少をひきおこす二つの随伴性の 手続き(強化/罰) 行動への効果で区別:「好ましい」はずなのに・・ 反応増大(維持) 刺激の出現 正の強化 刺激の除去 負の強化* 反応減少 正の罰* 負の罰 *罰の効果:「天罰」しか効かない(?) **負の強化:逃避(escape)/回避(avoidance) それまで行動を維持していた強化を中止することで行動 が減少していくこと・・・ 消去 23 一見、ややこしい分類をする意味 「意図」と「事実(効果)」の違い ・「ごほうび」を与える 与える側が「正の強化」と意図していても 効果は逆のことがある ・「体罰」を与える 「正の罰」と意図していても強化になる 場合もある 24 なぜヒトは「罰」を使ってしまうのか 「正の強化」でも「負の強化」であっても、 ヒトは即時的な強化に弱い 25 ★ 即時的行動随伴性と社会的相互作用 「抱き癖」行動随伴性 赤ん坊の「泣く」行動 先行状況 行動 抱かれていな い 泣く 後続状況 抱かれる 母親は、子どもの「泣く」行動を維持している 随伴性に気づいているかも知れない。 しかし維持している自分の行動を止めることができ 26 ない 母親の「抱く」行動 先行状況 行動 後続状況 泣声あり 抱く 泣き声なし 一時的だが即時的環境変化 行動は、遅延する環境変化よりも、即時的な環境変化に 影響を受けやすい 27 ★社会的悪循環 「やめさせたい」と思っているのに、かえってやまらなく なってしまう相互的行動随伴性の状況 抱く 即時性が絡む 泣きやむ 泣く ベッドに寝かせる 28 「問題行動」 いやしくも「慢性的」になっているので問題視されてい る。 慢性的とは、当該行動が周囲との行動随伴性関係に おいて「社会的悪循環」になっている場合が多い。 →つまり、「やめさせたい」という思いが強いがゆえに 「やめさせられない」場合がある。 →あるいは、(実際には効果のない)「やめさせる行 動」自体が他から強化されて、維持している場合もあ るかも知れない。 29 Question: ●赤ん坊の「抱き癖」を停止するには? 1)赤ん坊の行動への操作(母親の対応): 2)母親の行動への操作(母親への対応): ●問題行動への対処はどうしたらよいか? 1)ボーダラインのヒトへの対処の失敗 2)自傷行動に対応するにはどうしたら? 30 正の強化で行動を維持する そのためには? • 「今できる」課題から次第に目標へ。 行動形成(shaping ) • 複雑な課題は、最初は「援助つき」で行い、 次第にその援助を抜いていく いずれも、周囲の「援助」が必要である。 絶えず、「達成感あり」の状況をつくる 31 この図をまず思い出して下さい 反応キー(オペラント の対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反 応を強化(えさ呈示) えさ呈示機から食べる えさ呈示装置 今,できる行動を認める(○) 32 「今」を認めるということ ×→○ ○→× ○→○ 33
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