08 応用行動分析学(2) 一番大切なこと 望月昭 [email protected] http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/ http://d.hatena.ne.jp/marumo55/ 1 例題 いきなり A特別支援学校(総合支援学校)の、B先生は、担任し ている小学部4年生のC君のために、放課後時間をとっ て、「漢字の読み」のトレイニングをしました。ペーパー テストを中心の訓練ではなかなか興味を示さなかったC 君でしたが、コンピュータを使ったマッチングを用いたト レイニングをした結果、約1ヶ月で、4年生配当の漢字が 読めるようになりました。 B先生は、C君の個別包括支援プランに「4年生の漢字 は読める」という記述を書き加えました。 2 そこで問題です。 • 先のA学校での事例の中で、応用行動分 析的部分はどこでしょう? • あるいは応用行動分析として不足している 部分があるとしたらどこでしょう? 3 応用行動分析が心がける点 1)given ではなく、getを成立させる 2)罰的なものではなく、「正の強化」 を 3) 4 1) 物を与える事ではなく、彼らが物 を得るということに「生活の質」の目標 をおくこと” 「人を援助する際の倫理」 (The ethics of helping people)Skinner, 1978) Given Get 自発的に「行動できる」ということが基本 5 Not Given but GET!! Mary Elinor Boyle and R. Douglas Greer Operant procedure and the comatose patient Journal of Applied Behavior Analysis, 1983, 16, 3-12 どんな重度の障害があっても、自らが環境を 変化できる「行動」を成立させる! 6 7 2)正の強化によって行動が維持される事 [正の強化]:本人にとって、好ましい結果事 象を随伴させることによって、行動が成立・ 維持させる操作 [負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなると いう随伴性によって行動を成立・維持させる 操作(いやいや行わせる) 「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、 その機会が拡大していくように援助すること 8 負の強化:嫌悪的な事態からの逃 避・回避によって維持された行動 の結果 9 正の強化で行動を維持する そのためには? • 「今できる」課題から次第に目標へ。 行動形成(shaping ) • 複雑な課題は、最初は「援助つき」で行い、 次第にその援助を抜いていく いずれも、周囲の「援助」が必要である。 絶えず、「達成感あり」の状況をつくる 10 援助を前提とした行動の成立: 「今」を認めるということ ×→○ ○→× 11 3) 記述するということ • 「記述する」:行動分析学的には、一種の 言語行動である。 出口光(1987)行動修正のコンテクスト 行動分析学研究, 2, 48-60. 12
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