PowerPoint プレゼンテーション

09応用行動分析(5)
行動分析学基礎から
望月昭 [email protected]
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前回の復習
創造的な
「これ」があれば「できる行動」の表現
先行事象
反応(行動)
結果事象
この3つで表現
基本枠組みは「行動分析学」(S-R-S)採用
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これがあれば「できる」行動
• 先行条件(刺激)と行動(反応)とそれに
“随伴する”後続条件(刺激)による表現
=
オペラント行動
という行動の表現方法がある。
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1. 行動を分類すると・・・・
2.新しい行動の作り方
レスポンデント条件づけ
オペラント条件づけ
3.行動分析学の思想:
他者に行動を形成したり、維持する際の注意
「罰なき社会」を作るには?
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1. 行動を分類(表現)する
• 分類する、ということも、一種の行動である。
• 血液型の性格分類といった行動はなぜ維持さ
れるのか?
• 従来の行動の分類:
生得的行動、本能的行動、後天的行動、
意識的行動、無意識的行動、Etc
挙げていけば、際限なし
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行動の分類:
レスポンデントとオペラントという分類
レスポンデント
目に光りが入ると瞳孔が
縮む。
オペラント
背伸びをする
歩く
膝を叩くと伸びる(膝蓋腱
反射)
本を読む
新生児の原始反射
投票行動をする
温度や緊迫状況などでの
発汗、心拍昂進、
相づちをうつ
考える
げんをかつぐ
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レスポンデントとオペラント:分類の基準
レスポンデント
無意識的?
生得的?
先行する刺激に
専ら統制される
オペラント
意識的?
後天的(学習的)?
後続する刺激によっ
て次の機会での消長
が決まる
どのように操作可能か、という分類の仕方をすることで、は
じめて実践的に使える(業務用心理学)
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分類とは(分類する行動の意味)
• 分類する「行動」も、オペラント行動です。どのようにで
もできる
• なぜ、さっきにようにオペラントとレスポンデントを分類
するか?
•
消長を「統制」する方法による分類行動である。
出現の原因を明確に同定する、という目的あり。
このことは、対人援助といった実践的方法とし
ても重要・・・・という「機能」があるから。
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問題です。
• 泣くという行動は、レスポンデントかオペラ
ントか?
• その「泣き」の消長の決め手は?
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分類することの意味は何か?
「だきぐせ」を例に
赤ん坊が泣いている(why?)
空腹
腹痛
泣く
先行刺激が専ら原因なら
レスポンド泣き?
先行刺激操作で変化したら
後続刺激操作で変化したら
抱く、ミ
ルク、お
しめ
後続刺激が維持するなら
オペラント泣き?
レスポンデント
オペラント
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先行する「刺激」に統制されているのか、後続する
「刺激」に統制されているのか?
自傷(Self Injurious)行動の原因
Story 1: 先行する刺激や「心の傷」が原因
Story 2: 後続する刺激(注目など)
が原因
対処の仕方がかわってくる
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2. 新しい行動の作り方
レスポンデント行動とオペラント
行動では、「作り方」が
全く異なる。
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レスポンデント行動の作り方
新しいレスポンデント反応の形成
・レスポンデント条件づけ
特徴:反応の形態自体は(基本的に)同じ
パブロフの犬
新しい先行刺激の統制を受けるようになる
口に食べ物
唾液反射
無条件刺激
条件反応
音刺激
対提示操作
条件反応(反射)
無
定位反射
無条件反応
新しい刺激-反応の組み合わせは、先行刺激の対提示
のみで成立(レスポンデント条件づけ)
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学習されたレスポンデント行動の
消去と忘却
・消去:条件刺激のみ提示される
条件刺激に新しい刺激が対提示される
・忘却:条件刺激自体が提示されない。
問題:「匂い刺激で、昔の思い出が、よく蘇る
理由は?」(視覚や聴覚に比べて)
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オペラント行動の作り方
「明日までに、デンショバトが、キーをつついて
えさを食べられるように訓練してきなさい」
反応キー(オペ
ラントの対象)
えさ呈示装
置
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行動形成(shaping)
1) 言語教示
2)手取り、足取り
3)モデリング
4)漸近的接近(行動形成)
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反応キー(オペラント
の対象)
行動形成
4)キーをペック(反応)
したら強化
3)さらに上で強化
2)少し上で強化
1)餌呈示装置の近くで類似の反
応を強化(えさ呈示)
えさ呈示機から食べる
えさ呈示装置
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新しいオペラント反応の形成
・オペラント条件づけ
特徴:反応の形態自体、また先行刺激 の
統制も、いずれも新たに学習される。
新しい反応形態の獲得の具体的方法
・シェイピング(漸近的接近)
・モデリング
・物理的(身体的)介助
・言語的指示 など
反応に後続する刺激によって消長決定
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オペラント行動の消長の操作
• 強化と罰
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対人援助全般の作業における
行動分析的表現による一般的な目標設定
「正の強化」で維持される行動の機会を持ち、
その機会が拡大していくように援助すること
[正の強化]:本人にとって、好ましい結果事
象を随伴させることによって、行動が成立・
維持させる操作
[負の強化]:嫌悪的な刺激事象がなくなると
いう随伴性によって行動を成立・維持させる
操作(いやいや行わせる)
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行動の増大(維持)/減少をひきおこす二つの随伴性の
手続き(強化/罰)
行動への効果で区別:「好ましい」はずなのに・・
反応増大(維持)
刺激の出現
正の強化
刺激の除去
負の強化*
反応減少
正の罰*
負の罰
*罰の効果:「天罰」しか効かない(?)
**負の強化:逃避(escape)/回避(avoidance)
それまで行動を維持していた強化を中止することで行動
が減少していくこと・・・
消去
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一見、ややこしい分類をする意味
「意図」と「事実(効果)」の違い
・「ごほうび」を与える
与える側が「正の強化」と意図していても
効果は逆のことがある
・「体罰」を与える
「正の罰」と意図していても強化になる
場合もある
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なぜヒトは「罰」を使ってしまうのか
「正の強化」でも「負の強化」であっても、
ヒトは即時的な強化に弱い
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★ 即時的行動随伴性と社会的相互作用
「抱き癖」行動随伴性
赤ん坊の「泣く」行動
先行状況
行動
抱かれていな
い
泣く
後続状況
抱かれる
母親は、子どもの「泣く」行動を維持している
随伴性に気づいているかも知れない。
しかし維持している自分の行動を止めることができ
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ない
母親の「抱く」行動
先行状況
行動
後続状況
泣声あり
抱く
泣き声なし
一時的だが即時的環境変化
行動は、遅延する環境変化よりも、即時的な環境変化に
影響を受けやすい
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★社会的悪循環
「やめさせたい」と思っているのに、かえってやまらなく
なってしまう相互的行動随伴性の状況
抱く
即時性が絡む
泣きやむ
泣く
ベッドに寝かせる
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「問題行動」
いやしくも「慢性的」になっているので問題視されてい
る。
慢性的とは、当該行動が周囲との行動随伴性関係に
おいて「社会的悪循環」になっている場合が多い。
→つまり、「やめさせたい」という思いが強いがゆえに
「やめさせられない」場合がある。
→あるいは、(実際には効果のない)「やめさせる行
動」自体が他から強化されて、維持している場合もあ
るかも知れない。
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Question:
●赤ん坊の「抱き癖」を停止するには?
1)赤ん坊の行動への操作(母親の対応):
2)母親の行動への操作(母親への対応):
●問題行動への対処はどうしたらよいか?
1)ボーダラインのヒトへの対処の失敗
2)自傷行動に対応するにはどうしたら?
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正の強化で行動を維持する
そのためには?
• 「今できる」課題から次第に目標へ。
行動形成(shaping )
• 複雑な課題は、最初は「援助つき」で行い、
次第にその援助を抜いていく
いずれも、周囲の「援助」が必要である。
絶えず、「達成感あり」の状況をつくる
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この図をまず思い出して下さい
反応キー(オペラント
の対象)
4)キーをペック(反応)
したら強化
3)さらに上で強化
2)少し上で強化
1)餌呈示装置の近くで類似の反
応を強化(えさ呈示)
えさ呈示機から食べる
えさ呈示装置
今,できる行動を認める(○)
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「今」を認めるということ
×→○
○→×
○→○
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