製品消費時における知覚品質を上げるための時間マーケ

多摩大学 豊田ゼミナール
非耐久消費財班
飯島琴乃 栗崎彩也夏
下山雄大
千原芳乃
山崎洸平
1
目次
•
•
•
•
•
•
•
•
•
はじめに
先行研究
着眼点
研究目的
仮説
検証
インプリケーション
今後の課題
参考文献
2
はじめに
『時間』マーケティング
3
はじめに
『時間』という概念は消費行動に
大きな影響を与えている。
underhill[1999]
I. 選定してから購買するまでの時間
II. 購買してから消費するまでの時間
III. 選定してから消費するまでの時間
Ⅰ
選定
Ⅱ
購買
Ⅲ
消費
4
はじめに
現在100年に一度の不景気と言われ、それに対して多くの
マーケターが、マーケティング活動や戦略によって製品や
サービスの購買を促進している。
製品やサービスの購買を促進しても、顧客満足度の
充足が図られなければ、結果的にその製品は売れなくなっ
てしまうのである。
不景気下における市場では、製品にあまり差がない場合、
価格競争に陥る。
小野[2007]“花王の製品戦略から分析する同社の高成長性の源泉”
5
はじめに
企業は、顧客満足度の向上に向け4Pなどの戦略を打つ。
① Product (製品)
顧客満足
Customer
satisfaction
② Price
(価格)
③ Place
(流通)
④ Promotion(プロモーション)
選定
購買
消費
6
先行研究
期待不一致理論(OLIVER 1997)
顧客満足という概念
期待不一致理論の鍵概念=『不一致』
事前期待
-
顧客満足
不一致
品質
+
 品質評価を購買前評価が上回った場合、顧客満足度にマイナス
の影響を与える。
 購買前評価を品質評価が上回った場合、顧客満足度にプラス
7
の影響を与える。
7
着眼点
多くの人が、事前期待が高い製品に対し
て満足した経験があるのではないか
例)
ipod touch
期待
購買
満足
消費
8
着眼点
EP
選定
購買
期待値
高い
消費
時
間
満足
購買行動における時間をコントロールすることにより、
消費者の知覚品質を上げ、満足度の上昇につなげる。
口コミやリピート購買によるビジネスの活性化を図る。
9
研究目的
購買行動における時間をコントロールすることにより、
消費者の知覚品質を上げ、満足度の上昇につなげる。
口コミやリピート購買によるビジネスの活性化を図る。
《従来の知覚品質》
《この研究での知覚品質》
消費者が商品を消費した際に感じ取る主観的
消費者は自分にとって、
な品質。
重要と考える品質要因(それは商品や個人に
よって異なる)を選別し、その要因において優
時間の長短によって影響を与えることが
れていると知覚するブランドを選択する。
出来る。
人それぞれ知覚品質は
異なる。
+
個人の知覚品質も
時間の経過によって変えられる!!
10
仮説
EP
選定
購買
期待値
高い
消費
時
間
満足
[H.仮説]
消費者の事前期待(EP)が高い商品に、購
買してから消費するまでの時間をかけさせる
と、知覚品質へ正の影響を与える
11
検証
期待値の高い商品
花畑牧場の
生キャラメル
花畑牧場の生キャラメルは、発売当
初から、TV等で頻繁に紹介されてお
り、手に入れたくても生産が追い付
かず、なかなか手に入らないほどの
人気があった。
12
検証~仮説の確認~
[H.仮説]
消費者の事前期待(EP)が高い商品に、購買
してから消費するまでの時間をかけさせると、
知覚品質へ正の影響を与える
[H.仮説]
生キャラメルに対する事前期待値が高い場
合に、購買してから消費するまでの時間をか
けさせると、知覚品質へ正の影響を与える。
本研究では、リピーター ・ トライアルユーザー
によって知覚品質の影響の度合いに変化がある
と考え、調査を行った。
13
検証~概要~
実施日:
2009年11月10日、2009年11月11日
調査対象:
多摩大学の学生92名
(有効回答91名)
対象製品:
花畑牧場生キャラメル
分析方法:
対応のないt検定
14
検証~方法~
グループ1:52人
グループ2:39人
生キャラメルに対する説明を行
い、品質について「甘さ-口どけ舌触り-後味-大きさ-香り」に五
段階尺度で取る。
生キャラメルに対する説明を行
い、品質について「甘さ-口どけ舌触り-後味-大きさ-香り」に五
段階尺度で取る。
説明後すぐに試食してもらう
説明後一時間後に食べてもらう
試食後のアンケートで事前アン
ケートで答えた点数を基準として
±5点尺度で記入してもらう。
試食後のアンケートで事前アン
ケートで答えた点数を基準として
±5点尺度で記入してもらう。
期待している商品を試食すると知ってから食べるまでの
『時間』が知覚品質に影響しているかを検証する。
15
検証~アンケート項目~
事前評価
事後評価
あなたはこの項目にどのくらい期待しますか
甘さ
期待していたよりも品質はどうでしたか
0
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5
甘さ
口どけ 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・ 5
口どけ
香り
香り
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・
舌ざわり 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4
後味
大きさ
5
・ 5 舌ざわり
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・
1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 ・
5 後味
5 大きさ
-5
5
0
-5
5
0
-5
5
0
-5
5
0
-5
5
0
-5
5
16
検証~グループ統計量~
試食後のアンケート結果(事前期待値と試食後の得点のズレの平均値)を、
グループ統計量として記載。
2.21
1.36
質問項目で聞いている
6項目すべてに対して
食後の評価の、待たせて
食べたグループの方が、
平均1~2点の上昇
が見られた。
17
検証~独立サンプルのt検定~
分析(独立サンプルのt検定)
2つの母平均の差の検定
t値
食べた後の甘さ
自由度
有意確率(両側)平均値の差 差の標準誤差
等分散を仮定しない。
1.390
83.473
0.168
0.853
0.613
食べた後の口どけ等分散を仮定しない。
2.579
84.433
0.012
1.250
0.485
食べた後の香り
等分散を仮定しない。
0.270
87.228
0.788
0.141
0.522
食べた後の舌触り等分散を仮定しない。
2.409
83.848
0.018
1.224
0.508
食べた後の後味 等分散を仮定しない。
1.215
86.047
0.228
0.699
0.575
食べた後の大きさ 等分散を仮定しない。
2.032
88.114
0.045
0.917
0.451
棄却
採択
有意確率5%で 「口どけ―舌触り―大きさ」 は採択
「甘さ―香り―後味」 は棄却
18
検証~グループ統計量の視覚化~
分析(グループ統計量の視覚)
つまり、時間を経過させる
事により、知覚品質に正
の影響を与えた。
待たせて食べる
すぐ食べる
19
検証結果
消費者の事前期待(EP)が高い商品に、購買
してから消費するまでの時間を長くすると、
知覚品質へ正の影響を与える!!!!!
EP
選定
購買
期待値
高い
消費
時
間
満足
知覚品質
20
インプリケーション~パラサイト消費~
2種類の消費者
業界選定
シャンプー業界
①使い切ってから次のブランドを購買し、消費
②早めに次のブランドを購買し、両方使う
・期待値が高い業界
・元々リピーターが少ない
・3、4社が全体の7,8割のシェアを
占めている
シャンプーの品質をより良く感じてもらうため
パラサイト消費
21
インプリケーション~パラサイト消費~
パラサイト消費とは?
『詰め替え用専門販売』
新規ブランドがいきなり詰め替え用で販売する。
通常の販売方法
今回
①ボトルシャンプー
②詰め替え用シャンプー
×
①ボトルシャンプー
②詰め替え用シャンプー
詰め替え用=既存で使っている商品
使い切ってからでないと使えない!!!
22
インプリケーション~パラサイト消費~
【パラサイト消費の流れ】
新規ブランドの
詰め替え用商品
購買
消費中の
シャンプーボ
トルを使い切
るのを待つ
やっとここ
で使え
る!
使い切る
空のボトルに
新規ブランド
に詰め替え★
消費
おあずけ期間
『新しい商品を使いたい!』という
消費者の気持ちを
おあずけさせる!!!
知覚品質向上に貢献させる!!!
23
今後の課題
分析によって…
『時間』を活用したマーケティング活動の有効性が確認された。
2つの問題点
し
か
し
① 商品によって顧客の知覚品質に与える『時間』の影響が変化する可能性
② 時間の経過と顧客の知覚品質の向上が比例の関係にないため、
ある時間を境に負の影響に変化する可能性
今後の課題として…
① 商品の種類 や カテゴリー によって、時間がどのように影響するのか。
② 時間の経過 が顧客に対してどこまで正の影響を及ぼすのか。
24
参考文献
• スコットM.デイビス、マイケル・ダン[2005]『ブランド価値を高めるコンタクト・ポイン
ト戦略』
• 小野麻美-経済学部開設100周年記念奨学金応募論文『花王の製品戦略から分
析する同社の高成長性の源泉』
• 山本祐子[1999]『顧客満足度とロイヤリティの構造に関する研究』
• 高橋郁夫―三田商学研究第41巻第1号[1988]4月『買い物混同における消費者満
足プロセス』KEIO/KYOTO GLOBALE COEDISCUSSSION PAPER SERIES
• 小野晃典、千葉貴宏『接客サービスに対する負債巻を考慮に入れた満足規定要
因モデル―期待不一致モデルの新しい拡張―』
• Underhill[1999],”WHY WE BUY The Science of shopping” obat, Inc, 1999 邦
訳:鈴木主税訳:『なぜこの店で買ってしまうのかショッピングの科学』早川書房
[2001]
• 温湯拓也[2004] 『ブランドが顧客満足に与える影響―豆腐に対する京都ブランド
付与の事例から』『日経広告研究所報』第221号
• 奥瀬喜之[2009]『顧客満足概念とその測定に関わる研究の系譜』
• 今西鉄之助[2005]『ブランドと広告の接点・再考』Research Bulletin of Seijoh
University Faculty of Business 1 pp.5-20 20050301
• 山本祐子[1999]『顧客満足度とロイヤリティの構造に関する研究』
25
ご清聴ありがとうございました
26