第10回

数理統計学
第22回
西 山
検定の手順
検定とは二択問題です.二つの仮説のどちらか
を、データの結果に基づいて、選びます.
正しいと仮定する仮説を帰無仮説(H0)と呼び、
もう一方の仮説を対立仮説(H1)と呼びます.
具体的には、標準値(Z値)、T値の応用です.
<異常>と思うT値(あるいはZ値)を棄却域にし
ます.棄却域の大きさを有意水準といいます.
有意水準は普通5%にします。10%、1%もよ
く使います。
今日の目標
• 検定問題に解答できるように慣れてもらいます。
– 棄却域を両側に設ける → 両側検定
– 棄却域を右側(左側)だけに設ける → 片側検定
• 検定ミス(=判断ミス)の可能性を調べます。
– 第1種の過誤
– 第2種の過誤
– 検出力(=異常を発見できる確率)
復習―再掲
正常なブレーキなら時速40KMから急ブレーキをかけたとき40
メートルで止まれるはずとする。甘くなっていたブレーキを修理し
て試したところ
41.8, 41.6, 41.1, 39.1, 39.2, 39.8, 40.7, 41.0, 40.6, 43.1
という結果になった(単位:メートル)。
ブレーキは甘くないと判断してよいか。判断の信頼性とあわせて
答えなさい。
ヒント:
標本平均=40.8
不偏分散=1.483
普通の区間推定では
うまく行きません
甘いかどうかだけをチェック!
正常と仮定します
帰無仮説
40.8  40
T0 
 2.1
1.483
10
ひくいT値を
異常としますか?
測定された
平均値=38メートル
ブレーキは甘い?
授業ここ
まで!
「甘すぎる」結果を異常とせよ
40.8  40
T0 
 2.1
1.483
10
結果正常
甘い!
棄却域
このT値は大きすぎる
ブレーキはまだ甘い
練習問題【1】
下に5個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0より大きい平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、母集団の分散σ2は1である.
1.11, 0.27, 0.81, 0.08, 0.63
ヒント:
標本平均=0.58
分散推定=0.171
普通の区間推定では
うまく行きません
練習問題【1】の手順
検定問題を
帰無仮説・対立仮説として
明示してください
標準値・T値の分布の中に
棄却域(5%分)を
明示してください
いま得られたサンプルの結果を
標準値・T値になおし
棄却域に入るか結論を出す
サンプルの平均が大きすぎるかどうかが鍵!
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 標準値を出すところまでは同じ
Z0 
X  0
2 /n

0.58  0
 1.30
1 / 5 検定のポイントは
棄却域をどこに作るかです
棄却域の大きさを
有意水準といいます
5%、1%、10%が定石
教科書171頁の例題44
練習問題【2】
下に5個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0より大きい平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、元の分散σ2は1である.
0.05, 0.72, 0.78, -0.08, 2.60
ヒント:
標本平均=0.814
不偏分散=1.070
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 正常
異常
練習問題【2】のポイント
X  0
0.814 0検定のポイントは
Z0 

 1.82
棄却域をどこに作るかです
2
15
 n
この標準値は異常と見なせま
す。ゆえに帰無仮説は棄却。
T値でやると・・・
0.814 0
T0 
 1.76
1.070 5