モジュール1のまとめ

数理統計学
第21回
西 山
今日の目標
統計的な仮説検定の方法
検定とは二択問題です.つまり二つの命
題のどちらかをデータをみて選びます.
正しいと仮定する命題を帰無仮説と呼び、
もう一方の命題を対立仮説と呼びます.
結論は、標準値(Z値)かT値が限界値を
超えるかどうかで、下します.
例題【1】
下に7個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0とは異なる平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、元の母集団の分散σ2は1であるとしな
さい.
-1.11, 2.09, 0.11, 1.21, 1.91, 0.02, -0.24
ヒント:
標本平均=0.57
不偏分散=1.418
教科書167ページの数値例
区間推定でも結論は出ます
0.95
 P  1.96  Z  1.96 


X


 P  1.96 
 1.96 


2
 /n



 P 0.57  1.96 
 P X  1.96  1 / 7    X  1.96  1 / 7

1 / 7    0.57  1.96  1 / 7
 P  0.17    1.31
平均ゼロの集団から出てきた可能性があります

T値から推定してもOKです
0.95
 P 2.447  T  2.447
自由度=7-1


X


 P  2.447 
 2.447
2


ˆ

n


2
2 

ˆ
ˆ



 P X  2.447
   X  2.447


n
n



1.42
1.42 

 P 0.57  2.447
   0.57  2.447

7
7


 P 0.53    1.67
平均ゼロの集団から出てきた可能性があります
例題【1】の定式化と図解
元の平均がゼロ
検定問題は二択問題です
だとするとデータ
の平均もゼロ近
H 0 : 元の平均(
)
辺
結論:
0 vs H 1 : 元の平均() 0 標準値1.5は確率的によく出る
一方を真と仮定します
データが合っていないと
X 
0.57  0
データはおかしくない
帰無仮説
0
Z 0  対立仮説

2
 /n
本当の平均μは0としてもよい
このデータはおかし
いか・・・
標準値かT値で判
定する
1/ 7
 1.5
練習問題【1】
サイコロを100回振って出た目の平均を計算すると、4.0
だった。「このサイコロはおかしいね」と判定していいか?
検定の手順に沿って結論を下しなさい。
練習問題【1】の手順
検定問題を
帰無仮説・対立仮説として
明示してください
サンプルの平均値の分布
標準値・T値の分布の中に
棄却域(5%分)を
明示してください
いま得られたサンプルの結果を
標準値・T値になおし
棄却域に入るか結論を出す
練習問題【1】の解答
H0 :   3.5 vs H1 :   3.5
4  3 .5
Z0 
 2 .9
0.17
異常
正常
-1.96
1.96
例題【2】
正常なブレーキなら時速40KMから急ブレーキをかけたとき40
メートルで止まれるはずとする。甘くなっていたブレーキを修理し
て試したところ
41.8, 41.6, 41.1, 39.1, 39.2, 39.8, 40.7, 41.0, 40.6, 43.1
という結果になった(単位:メートル)。
ブレーキは甘くないと判断してよいか。判断の信頼性とあわせて
答えなさい。
ヒント:
標本平均=40.8
不偏分散=1.483
普通の区間推定では
うまく行きません
甘いかどうかだけをチェック!
正常と仮定します
40.8  40
T0 
 2.1
1.483
10
ひくいT値を
異常としますか?
測定された
平均値=38メートル
ブレーキは甘い?
授業ここ
まで!
こうするべきです
40.8  40
T0 
 2.1
1.483
10
結果正常
結果異常
棄却域
このT値は大きすぎる
ブレーキはまだ甘い
練習問題【2】
下に5個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0より大きい平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、母集団の分散σ2は1である.
1.11, 0.27, 0.81, 0.08, 0.63
ヒント:
標本平均=0.58
分散推定=0.171
普通の区間推定では
うまく行きません
練習問題【2】の手順
検定問題を
帰無仮説・対立仮説として
明示してください
標準値・T値の分布の中に
棄却域(5%分)を
明示してください
いま得られたサンプルの結果を
標準値・T値になおし
棄却域に入るか結論を出す
サンプルの平均が大きすぎるかどうかが鍵!
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 標準値を出すところまでは同じ
Z0 
X  0
2 /n

0.58  0
 1.30
1 / 5 検定のポイントは
棄却域をどこに作るかです
棄却域の大きさを
有意水準といいます
5%、1%、10%が定石
教科書171頁の例題44