第10回 - 国立大学法人 小樽商科大学

統計学
第11回
西山
検定のまとめ
検定とは二択問題です.つまり二つの命題のど
ちらかをデータをみて選びます.
正しいと仮定する命題を帰無仮説(H0)と呼び、
もう一方の命題を対立仮説(H1)と呼びます.
要するに、標準値(Z値)やT値の使い方です.
ありえないと思うT値(あるいはZ値)を棄却域に
します.棄却域の大きさを有意水準といいます.
検定の手順
1. 帰無仮説を前提します。
2. データの平均値が異常なら帰無仮説を棄却し
ます。対立仮説をとります。⇒結果異常
3. データの平均値が正常なら帰無仮説は否定で
きません。⇒結果正常
4. 異常・正常の判定は標準値かT値で下します。
5. 異常値の範囲は確率5%とするのが習慣です。
これを有意水準と呼びます。
例題【1】(第9回の例題2)
下に5個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0より大きい平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、元の分散σ2は1である.
1.11, 0.27, 0.81, 0.08, 0.63
ヒント:
標本平均=0.58
分散推定=0.171
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 正常
異常
解答のポイント
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 標準値を出すところまでは同じ
Z0 
X  0
2 /n

0.58  0
 1.30
1 / 5 検定のポイントは
棄却域をどこに作るかです
棄却域の大きさ、つまり
5%ですが、これを有意
水準といいます
例題【1‘】
下に5個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0より大きい平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、元の分散σ2は1である.
1.11, 0.27, 0.81, 0.08, 0.63
ヒント:
標本平均=0.58
分散推定=0.171
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 正常
異常
解答【1‘】
T値を使え!
T0 
X  0
ˆ / n
2

0.58  0
0.171/ 5
 3.14
T値>2.132になるので帰無
仮説は棄却!
練習問題【1】
下に7個のデータが与えられている。このデータは平均
が0である集団(=母集団)から得られたものだろうか.
それとも0とは異なる平均をもつ集団から得られたデー
タだろうか.但し、元の分散σ2は1である.
-1.11, 2.09, 0.11, 1.21, 1.91, 0.02, -0.24
ヒント:
標本平均=0.57
分散推定=1.418
H 0 : 元の平均() 0 vs H 1 : 元の平均() 0 練習問題【1】の解答
T0 
X  0
2
ˆ
 /n

0.57  0
1.418 / 7
棄却できず
1限目、解答まで
終わり。なぜ棄却
域を両側に?
 1.27
例題【2】
無作為に5台の自動車を抜き取りブレーキ性能検査をする.
60Km/hからの停止距離の基準は60メートルになっている.
ところが、いま工場内に異常があり、停止距離が平均で2
メートルも基準値を超えている。有意水準5%の普通の品
質検査をして、この異常に気がつくだろうか?但し、ブレー
キを踏むタイミングなどから、停止距離の測定値は2メート
ルの標準偏差でばらつく.
H 0 : 元の平均() 60 vs H 1 : 元の平均() 62
正常
異常
教科書176ページ以降を参照
例題【2】の考え方
この限界値は
61.47です.なぜ?
判断ミスに二通りあり
必要のない検査をした
意味では生産者危険
欠陥車に気が
つかないので
消費者危険
検査結果
正常
真
相
異常
第1種の
正常(H0) あいまい 過誤(α)
異常(H1)
第2種の
過誤(β)
検出
例題【2】の解答
第2種の過誤(β)
 PX  61.47 | H 1 
61.47  62 

 P Z 

0.894 

 PZ   0.56
 0.29
10回に3回は異常に
気がつかない!
検出力=1-0.29=0.71
練習問題【2】
X  61.32
ˆ 2  2.85
無作為に5台の自動車を抜き取りブレーキ性能検査をす
る.60Km/hからの停止距離の基準は60メートルになって
いる.5回の測定値の結果は
59.3、 59.6、 62.7、 62.7、 62.3
となった。以下の検定を行いなさい。但し、ブレーキを踏
むタイミングなどから、停止距離の測定値は2メートルの
標準偏差でばらつく.
H 0 : 元の平均() 60 vs H 1 : 元の平均() 62
正常
異常
練習問題【2】の解答
異常なしと仮定して
Z0 
61.32  60.0
2
2
5
1.32

 1.48
0.894
限界値1.645を超えていないので、結果正常
検出漏れの確率は30%
練習問題【3】
無作為に20台の自動車を抜き取りブレーキ性能検査をする.
60Km/hからの停止距離の基準は60メートルになっている.
停止距離が平均で2メートルも基準値を超えているなら、直
ちに工場を停めて原因を探る調べる必要がある.限界値を
いくらに設定して検査をすればよいか.但し、ブレーキを踏
むタイミングなどから、停止距離の測定値は2メートルの標
準偏差でばらつく.
H 0 : 元の平均() 60 vs H 1 : 元の平均() 62
練習問題【3】の考え方
① 帰無仮説(μ=60)を正しいとして、データの平均値の分布図を描き
ます.中心とばらつきを書き入れます.⇒異常な範囲の定義
② 限界値を決めて、棄却域を確かめます.
③ 対立仮説(μ=62)が正しいときにデータの平均が棄却域に入ってく
れない確率が答え.⇒異常あるときに結果異常となる確率?
練習問題【3】の解答
22
限界値  60  1.645 
 60.74
20

 P X  60.74 | H 1 

60.74  62 
 P Z 

4 / 20 

 P Z  2.82
 0.0024
1から引くと
検出力は
0.998