数理統計学 西 山 【例題】検定入門 特定の値を仮定します ある高校の1年生からランダムに9名を選ん で100メートル走の記録をとると、 12.32、15.28、14.19、13.72、13.26 14.08、14.06、11.82、12.80 だった。学年全体の平均が12.0秒であると 思って可か? X 13.5 ˆ 1.14 2 【解答1】推定を流用する 次の小テスト 範囲はここまで 信頼区間があれば、それを見る 95%信頼区間: 12.7~14.3 母集団の平均が12.0秒とは考えられない 【解答2】検定の議論 母平均に12.0秒を仮置きして、 サンプル平均を標準化のうえ判断 13.5 12.0 4.21 1.14 標準誤差は このくらい 9 授業は ここまで 6/23 T値が2.306を超えることはありえないと判断 確率5%以下は「ありえない」と割り切ります。 推定・検定は<割り切り>です 13.5 12.0 4.21 1.14 9 ありえない! 棄却域 ありえないT値 採択域 ありえる 棄却域 ありえないT値 では、学年平均が13.0秒と考えていいですか? 今回のポイント 推定を流用して簡単な検定はできます 判断ミスの確率などは推定では分かりません 検定は<二択問題>です まず<帰無仮説>と<対立仮説>です。 教科書: 163~164頁 例題【1】 正常なブレーキなら時速40KMから急ブレーキをかけた とき40メートルで止まれるはずとする。試みに同じ車で 10回の停止実験をしたところ、 39.9, 41.4, 39.9, 41.3, 42.1, 42.0, 41.6, 42.3, 39.8, 41.8 という結果になった(単位:メートル)。 ブレーキは正常と判断してよいか。判断の信頼性とあ わせて答えなさい。 ヒント: 標本平均=41.21 不偏分散=0.952 簡便法: 推定で流用 0.95 P 2.262 T 2.262 自由度=9 X P 2.262 2.262 2 ˆ n 2 2 ˆ ˆ P X 2.262 X 2.262 n n サンプル平均 標準誤差 0.952 0.952 P 41.21 2.262 41.21 2.262 10 10 P40.5 41.9 平均40メートルでは止まれません 検定: 特定の値を仮定: 帰無仮説 41.21 40 T0 3.92 0.952 標準誤差は このくらい 10 μ≠40 μ=40 μ≠40 ブレーキは異常 <有意水準が5%>といいます ⇔ 棄却域の大きさ 帰無仮説(H0): Μ=41 41.21 41 T0 0.68 0.952 10 標本平均=41.21 不偏分散=0.952 41を否定できない μ≠41 μ=41 μ≠41 例題【2】 正常なブレーキなら時速40KMから急ブレーキをかけたと き40メートルで止まれるはずとする。甘くなっていたブレー キを修理して試したところ 41.8, 41.6, 41.1, 39.1, 39.2, 39.8, 40.7, 41.0, 40.6, 43.1 という結果になった(単位:メートル)。 「ブレーキは正常」それとも「ブレーキは甘い!」 ヒント: 標本平均=40.8 不偏分散=1.483 どんなT値を異常と判定する? 対立仮説(H1)による 40.8 40 T0 2.1 1.483 10 ひくいT値で 甘いと判定する? 異常 要注意は 高すぎるT値だけ 正常 異常 <片側検定>と呼びます 授業ここまで 6/28 40.8 40 T0 2.1 1.483 10 このT値は大きすぎる ブレーキは甘いようだ 限界値 正常 異常 検定は二択問題です 帰無仮説(仮置き) 対立仮説(異常状態) ブレーキは正常 vs ブレーキは正常でない ブレーキは正常 vs ブレーキは甘い <片側検定> ブレーキは正常 vs ブレーキがききすぎる <同じ> • 血圧は正常 vs 高血圧! • 運転技術は十分 vs まだ未熟 • 得点は合格 vs 得点は不合格 片側検定 標準値(T値)で限界値を決める点が勘どころ 検定の手順 1. 2. 3. 4. 5. 有意水準を決める(5%、10%、1%) 棄却域の設定: 両側か、片側か(右側か、左側か) 帰無仮説の母平均(μ)を前提する サンプル結果をT値に直す。標準誤差が確定であれ ば標準値(Z値)。 T値が棄却域に入るか?入れば棄却(結果異常)、入 らなければ採択(結果正常)。 ここまでが、検定の第一段階。第二段階があります。
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