23 . 2 型 糖 尿 病 合 併 非 アルコール 性 脂 肪 性 肝 疾 患 (NAFLD) 患者に対すDPP-IV 阻害薬の効果 奈良県立医科大学 第3内科 大倉 康志、吉治 仁志、浪崎 正、 増谷 剛、野口 隆一、守屋 圭、 北出 光輝、竹田 幸祐、瓦谷 英人、 堂原 彰敏、高谷 広章、西村 典久、 相原 洋祐、福井 博 【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患( NAFLD)の発症に2型糖尿病 ( DM)が深く関わることが報告されている。NAFLD 患者の約26%にDM が合併し、そのなか中でも非アルコール性脂肪肝炎( NASH)患者のDM 合併頻度は約75%と高率になる。我々はこれまでに、DM 治療薬である DPP-IV阻害薬( DPP-IV-I)が実験的肝線維化抑制作用を示すことを報 告してきた。今回は DM 合併 NAFLD 患者における DPP-IV-I の臨床的効 果について NASH 診断に有用とされている IRI、フェリチン、IV 型コラー ゲン7S( IV 7 S)を用いる modified NAFIC score( m-NAFIC)を中心に検 討した。 【方法】当院および関連施設に通院中の DM合併NAFLD 患者65例に対 しDPP-IV-I( alogliptin 25 mg/ 日)を投与して m-NAFIC の改善に寄与す る因子を検討した。NAFLDは腹部エコーで診断した。なお、1 )インス リン治療中、2 )飲酒歴あり(男性 30 g、女性 20 g 以上) 、3 )他の肝疾患合 併例は除外した。65 例のうち DPP-IV-I 投与前および投与12か月後の データが得られた 27 例を対象に解析を行った。 【成績】患者の平均年齢は 59 . 2 歳、平均 BMI 28 . 4 で、m-NAFIC 2 点以 上は17例であった。m-NAFIC は 12ヶ月間の DPP-IV-I 投与により有意 に 低 下 し た。m-NAFIC 改 善 群( n=8 )で は、非 改 善 群( n= 19 )に 比 べ、 DPP-IV-I 投与前 IRI、フェリチンは高い傾向にあったが、両者とも有意 に 低 下 し て い た。DM コ ン ト ロ ール 別 にHbA 1c( %)を5. 5- 6. 8、6. 97.2、7.3-9. 1の3群に分け層別解析を行ったところ、HbA 1cが低い群が m-NAFIC各因子がより低下する傾向にあった。 【結論】DM合併NAFLD患者において、DPP-IV-I投与によりm-NAFIC が有意に改善した。投与前の IRI、フェリチンが高く、HbA 1 cの低い群 ほど m-NAFIC の各因子が低下する傾向にあった。m-NAFIC高値例のう ち HbA1c低値群ほど DPP-IV-I 投与による臨床的効果が期待できる可能 性が示唆された。
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