認知症・肝疾患を対象とした血液バ イオマーカーによる新たな検査 筑波大学 医学部 医療医学系 准教授 内田和彦 1 疾患の早期発見のための画期的な検査 Innovative Diagnostics バイオマーカー探索とアッセイ開発・臨床研究 -治療主体から早期診断・予防へのパラダイムシフト- -治療主体から早期診断・予防へのパラダイムシフト- ご飯は? マーカー定量試薬 気付かない間に肝硬変 になってませんか? いま 食べたでしょ ? 身近な方の症状に悩んで いませんか? Ⅰ. 脂肪性肝疾患の新規バイオマーカーのアッセイ法の開発 Ⅱ.認知症早期発見のためのアッセイ法の開発 2 Ⅰ. 脂肪性肝疾患の新規バイオマーカー のアッセイ法の開発 3 Ⅰ-1 肝硬変・肝がんに進行する脂肪肝(NAFLD) 肝硬変・肝がんに進行する脂肪肝(NAFLD) が増えています 酸化ストレス サイトカイン 過食・運動不足 インスリン抵抗性 脂肪肝 慢性肝炎 肝硬変 肝細胞がん NAFLD: Non-alcoholic fatty liver disease NASH: Non-alcoholic steatohepatitis 出典 http://gastro.nts.jhu.edu/about.cfm 4 Ⅰ-2 従来技術とその問題点 一般的な血液生化学検査、画像診 断ではNAFLD、NASHの診断は難 しく、NASHの確定診断は肝生検 肝生検で 肝生検 行っている。 肝生検は直接肝臓組織を観察でき るので検査法としては最も確実であ るが、侵襲を伴うため患者への負 担が大きい。 出典 http://gastro.nts.jhu.edu/about.cfm NAFLD, NASHの診断に有用な特異的な血液 の診断に有用な特異的な血液 バイオマーカーの開発が急務 5 Ⅰ-3 新規バイオマーカーの特徴と 既存マーカーとの比較 • 新たに血液バイオマーカーp35タンパク質 タンパク質を見出した。 • イムノアッセイ(サンドイッチELISA法)を開発し、健常、 NAFLD合計250例を用いた臨床有効性試験で、AUC ROC 0.97, 感度94%, 特異度98%の診断精度が得られた。 • 既存マーカーであるAST/ALTが正常値を示すNAFLDと診断 された患者についても、バイオマーカーp35は疾患と識別す る。 • p35はNAFLDの早期発見に非常に有用であると考えられる。 6 Ⅰ-4 バイオマーカーp35 バイオマーカーp35による疾患の識別 p35による疾患の識別 正常(Normal)と 疾患でp35は有 意に血中濃度 が異なる。 AST基準値 基準値 p35基準値 基準値 ALT基準値 基準値 p35基準値 基準値 Early NAFLD vs. normal NAFLD_vs_Normal 100 正常(Normal)と初期 のNAFLDで、 ROC 0.97, 感度94%, 特異度98%, の診断精度 Sensitivity 80 60 NAFLDサンプルにおける サンプルにおけるALT/ASTと とp35の比較 の比較 サンプルにおける 40 Cut off ROC Sensitivity Specificity 20 4.7 fmol/mL 0.97 94% 98% 0 0 20 40 60 100-Specificity 80 AST/ALTが正常範囲でもp35は疾患 と識別する(薄赤の範囲) 100 7 Ⅰ-5 想定される用途 • スクリーニング検査に用いることによる NAFLDの早期発見 • NAFLDの治療効果を可視化するマーカー • 未病状態からの健康・予防支援のための検 査・フォローアップを含めたサービス 8 Ⅰ-6 実用化に向けた課題 • サンドイッチELISAのためのモノクローナル抗 体とハイブリドーマは開発済。 • p35標準タンパク質のリコンビナントタンパク 質の安定供給化 • NAFLD治療サンプルを用いた治療効果の臨 床試験を行う。 • 薬事承認のための臨床試験を行う。 9 Ⅰ-7 企業への期待 • ELISAキット製造技術を持つ企業への委託製 造 • 体外診断薬メーカとの薬事申請の協業とライ センスアウト • 検査試薬の販売と受託検査の協業 10 Ⅰ-8 本技術に関する知的財産権 特許の名称 特許番号 新規肝がんバイオマーカーおよび該バイオマー カーを用いた肝がん検出方法 特許第4801930号 出願人 ㈱MCBI、㈱島津製作所 発明者 内田和彦、片桐卓也、佐藤優美、藤本宏隆 特許の名称 特許番号 新規非アルコール性脂肪性肝疾患バイオマーカー および該バイオマーカーを用いた非アルコール性 脂肪性肝疾患の検出方法 特許第5322556号 出願人 ㈱MCBI 発明者 目野浩二、鈴木秀昭 11 Ⅱ.認知症早期発見のためのアッセイ法 の開発 12 Ⅱ-1 認知症の人って何人くらいいるの? 認知症高齢者は 全国で462万人 万人 全国で 認知症予備軍は 全国で400 全国で400万人 400万人 ※ 認知症有病率は15% 認知症有病率は ※有症率:65歳以上の高齢者人口に占める認知症高齢者の割合 朝田隆ら 「 都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」平成25年厚生労働省報告書 13 Ⅱ-2 認知症になると日常生活に大きな影響がでてきます “認知症の前段階”で発⾒することが⼤切です! 認知症を前段階で発⾒できると何がいいの? 早期発⾒の メリット1 早く⾒つければ進⾏を抑える ことができる 早期発⾒の メリット2 早期の認知症だとしても症状 の種類によっては治すことが できる 14 Ⅱ-3 認知症検査のその問題点 問診は手間と時間がかかる 画像診断検査(MRI,PET)は、検査料が高い (自己負担で数万~十数万) 専門医が不足している 認知症を前段階で発見できる血液スクリーニン グマーカーが必要 15 Ⅱ-4 16 Ⅱ-5 3つの血清タンパク質の組み合わせ 3つの血清タンパク質の組み合わせで 合わせで MCIと健 と健常 と健常を識別 冷え取り健康ジャーナル56号より転載 17 Ⅱ-6 新規マルチマーカーによるアルツ 新規マルチマーカーによるアルツハイマー病(AD)と ハイマー病( )と MCIの検査バイオマーカーの特徴 の検査バイオマーカーの特徴 【AD vs. 認知機能健常者】 認知機能健常者】 【MCI vs. 認知機能健常者】 認知機能健常者】 ADを を92%の感度で検出 の感度で検出 MCIを を90%の感度で検出 の感度で検出 NDCの被験者を正しくNDCと判定した 確率は約70%と若干低いが、総合的な 判定率は83% NDCの被験者を正しくNDCと判定した確 率は約50%と低いが、総合的な判定率は 75% MMSEを追加する事でNDCの被験者を 正しくNDCと判定する確率は96%に上 がり、総合的な判定率は98% MMSEを追加する事でNDCの被験者を正 しくNDCと判定する確率は81%に上がり、 総合的な判定率は85% 18 Ⅱ-7 想定される用途 • スクリーニング検査に用いることによる軽度認 知障害(MCI)の早期発見 • 認知症前臨床段階からの予防支援のための 検査・フォローアップを含めたサービス 19 Ⅱ-7 企業への期待 認知症は、前段階で発見することが重 前段階で発見することが重要! しかし! 早期発見のための検査を受けただけでは不十分! 認知症を予防するための予防プログラ 予防プログラム 予防プログラム・ 予防サービス等 予防サービス等の予防支援が必要 の予防支援 20 Ⅱ-8 本技術に関する知的財産権 特許の名称 認知機能障害疾患のバイオマーカー及び当該 バイオマーカーを用いる認知機能障害疾患の検 出方法 国際出願番号 PCT/JP2013/067785 出願人 ㈱MCBI、国立大学法人 筑波大学 発明者 内田和彦、目野浩二、鈴木秀昭、西村吉典 21 お問い合わせ先 問い合わせ先 筑波大学 国際産学連携本部教授(産学連携) 産学連携部産学連携企画課技術移転マネージャー 山本信行 TEL FAX e-mail 029-859 - 1493 029-859 - 1693 yamamoto.nobuyuki.ge@tsukuba.ac.jp 22
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