21. 内臓脂肪蓄積 (脂肪肝) 、骨格筋減少が血管イベント に及ぼす影響 三重大学消化器内科学 岩佐 元雄、吉川 恭子、宮地 洋英、 諸岡 留美、杉本 龍亮、田中 秀明、 小林 由直、長谷川浩司、竹井 謙之 三重大学栄養指導管理室 原 なぎさ 【目的】活動量の低下、過栄養といった生活習慣は内臓脂肪蓄積、骨格 筋量減少(サルコペニア)を惹起し肝疾患の病態を修飾する。例えば、非 アルコール性脂肪性肝疾患( NAFLD)ではNAFLD 自体(異所性脂肪蓄 積)が心血管イベントの促進因子となるが、インスリン抵抗性がサルコ ペニアの成因であることから、サルコペニアもイベント発症に関与する 可能性がある。また、内臓肥満、サルコペニアは相互に関連し、サルコ ペニア肥満はメタボリックシンドロームの重症型として知られている。 そこで、2 型糖尿病( DM)を対象に、体組成と累積脳・心血管イベント発 症率との関係を解析した。 【方法】対象は 2 型 DM 753 例(男性 382例、女性 371 例、平均 54 歳)で、 インピーダンス法( InBody 720)にて内臓脂肪レベル( VFA, cm 2 ) 、四肢 骨格筋量( kg)を測定、VFA≧100 、四肢骨格筋量男性< 7 . 0 、女性< 5.8kg/m 2 を cut-offとして内臓肥満、サルコペニアを判定した。次に、 HBV・HCV 陰 性、飲 酒 習 慣 な し、ALT> 35 IU/L、US/CT 所 見 か ら NAFLD を 抽 出 し、こ れ ら の 脳・心 血 管 イ ベ ン ト と の 関 連 をKaplanMeier法にて解析した。次に、内臓肥満を伴う NAFLDが相加的に血管イ ベント発症を促進するか、サルコペニアやサルコペニア肥満がイベント に関与するか検討した。 【結果】平均観察期間49 か月の間に、50例の脳・心血管イベントの発症 がみられ、NAFLD の存在( 24 例・17 % vs. 26 例・4 %、P< 0 .001 ) 、特 に内臓肥満を伴う NAFLD( 21例・20% vs. 2 例・5 %、P< 0 . 05 )が有意 なイベント発症促進因子であった。また、内臓肥満も有意なイベント発 症因子と判定されたが、BMI と血管イベントとの関連はなく、体組成の 評価の重要性が示唆された。さらに、サルコペニア肥満と血管イベント が関連する可能性が示唆された。 【結論】DMにおいては内臓脂肪量、骨格筋量が病態、血管イベントと 密接に関連しており、肝、脂肪組織、骨格筋連関がみられた。体組成は イベント規定因子であり、体組成の制御(生活習慣への介入)が病態改善 に繋がる。
© Copyright 2024 ExpyDoc