26 . 複数回の肝生検にて診断したNAFLD患者における 肝組織所見悪化に寄与する因子の検討 京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 瀬古 裕也、角田 圭雄、伊藤 義人 佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科 江口有一郎、安西 慶三 広島大学病院消化器・代謝内科 兵庫 秀幸、茶山 一彰 市立奈良病院消化器肝臓病センター 田中 斉祐、森 康二郎 Japan Study Group of NAFLD( JSG-NAFLD) 瀬古 裕也、角田 圭雄、江口有一郎、 兵庫 秀幸、田中 斉祐、森 康二郎、 安西 慶三、茶山 一彰、伊藤 義人 【目的】NAFLD/NASHは耐糖能異常やメタボリックシンドロームとの関連 が示唆されているが、NAFLD/NASHの病期進行にそれらが及ぼす影響は明ら かにされていない。今回複数回肝生検を施行したNAFLD患者における生化学 的所見と肝組織所見の継時的変化との関連性につき多施設共同にて検討した。 【対象と方法】対象は 2001 年 1 月から2013年7月までにJSG-NAFLD参加施 設において 2 回以上肝生検を施行されたNAFLD 139例。肝細胞の風船様腫大、 Mallory-Denk 体、線維化のいずれか一つの所見を認めるものを NASH、それ 以外を NAFL とし、線維化の程度は Brunt 分類に従い stage 0 - 4 に分類した。 NASH 133例、NAFL 6 例、年齢 57 歳(中央値)、男性/女性:70/69、肝生検 の間隔901 日(中央値)。ALT値の 30 % 以上の低下もしくは 40IU/L 以下への 低下を認めたものを ALT responder とした。 【結果】 1. 初回生検時、線維化stage 0/1/2/3/4: 4/42/51/41/1、NAS5未満 / 5 / 6 以上 : 72/ 30 / 37 であった。また、54 例に耐糖能異常を、92 例に脂質異 常症を認めた。 2. 線維化悪化 / 不変 / 改善例はそれぞれ 31 / 75 / 33 例。NAS 悪化 / 不変 / 改 善例はそれぞれ 28 / 40/ 71 例であった。 3. 線維化悪化に寄与する因子として単変量解析では、ALT responder、脂 質異常症、初回肝生検時のフェリチン200ng/ml 以上が抽出された。多変量解 析 で は ALT responder(ハ ザ ード 比 [HR] 0.39, p=0.034)、脂 質 異 常 症( HR 3 . 11, p= 0 .029 )が抽出された。NAS 悪化に寄与する因子として単変量解析で は女性、65 歳以上、AST 50 IU/L 以上、BMI悪化、ALT responder、HbA1c 悪化が抽出された。多変量解析では ALT responder( HR 0.18, p=0.012)、女 性( HR 4 .36 , p= 0 .017 )が抽出された。 【結語】NAFLD においては、ALT 値が肝組織所見の推移に最も強く寄与し ていた。NAFLD の継時的な観察においてはメタボリックシンドロームや耐糖 能に加え、ALT を指標とした治療介入を行う必要がある。
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