第51回かんぞう教室(永松医師)<PDF形式

第2回かんぞう教室
平成27年1月22日
これから問題となる肝障害、脂肪肝にきをつけて
~あなたの肝臓は大丈夫?~
今回は、脂肪肝関連の話です。
脂肪肝とは、肝細胞に脂質が異常に
蓄積した状態です。
脂肪肝の内訳ではアルコール関連以外が多く
なっている。
脂肪肝は増加傾向にあります。
NAFLD:非アルコール性脂肪性肝疾患
NASH:非アルコール性脂肪性肝炎(病態進行する)
NAFL:非アルコール性脂肪肝(病態進行なし)
B型、C型肝炎以外の肝硬変の原因として、
NASHの割合が増加している
脂肪肝、NAFLDともに増加傾向にあります。
NAFLDは40代に多く、BMIが25以上になると
増加します。
糖尿病、NAFLDはともに増加傾向にあります。
肝癌の原因として
B型、C型肝炎以外が増加してきている
非アルコール性脂肪肝炎
(NASH; non alcoholic steatohepatitis)
飲酒が無いのに 組織学的にアルコール性肝障害のような炎症,
繊維化を認めるもの。生活習慣病の肝病変とされ、非アルコール
性脂肪性肝疾患(NAFLD; non alcoholic fatty liver disease)のな
かで肝硬変、肝がんと進展する病態をNASHといい、食生活の変
化により増加傾向にある。病理組織学的に診断される。
食事, 運動などの生活習慣改善が必要
NASHからの発がんが増加し、問
題になっている。
高齢者で、線維化の進行した症例
ではとくに注意が必要。
NASHは生活習慣病との関連も指摘されている。
NASHは代謝異常と酸化ストレスにより炎症
が進行すると考えられている。
脂質による刺激が慢性的に肝臓に加わることに
より、NASHが形成されると考えられている。
NASHはさまざまな因子が関わって肝硬変と進展する
腹部エコー
組織
白いところが脂肪
腹部CT
腹部MRI
T1- high
脂肪はCTでは
黒っぽくみえます。
NASHの診断、予後の予測には組織検査が必要
肝癌の早期発見のための定期検査も必要
NASHにおける組織診断
NASHにおいて線維化が進行していると
予後は不良となる。
糖代謝異常も関連するとされます。
NASHの予後に関連する因子
NASHに対する治療の基本は食事、運動療法
NASHに対する薬物療法
インスリン抵抗性改善薬の効果
次に飲酒に関連する問題です。
アルコールは肝臓に悪いです。
重症アルコール性肝炎は命にかかわります。
断酒を継続すると寿命は延びてきます。
C型、B型も含め肝硬変全体において
肥満
が問題となっています。
次に肥満についてです。
肝硬変患者の栄養の取りすぎが問題になってきている。
肝硬変があり、太っていることは、肝細胞癌ができる
危険因子になってる。
肝硬変の患者でリーバクト、アミノレバンをきちんと内服す
ることは内服しない人より長生きすることが証明されている。
肝硬変患者で太っている人は、特にリーバクトをきち
んと内服したほうがいい。
肝がんの原因となる可能性のある肝疾患
PBC:原発性胆汁性肝硬変
PBCの死因
自己免疫性肝炎
の肝癌合併
鉄代謝異常
鉄過剰はよくない
本日のまとめ
1. C型、B型以外の肝硬変の原因としてアルコール
次にNASHが増加しており、肝癌の原因としても注
目されている。
2. NASHの治療の基本は、食事、運動療法である。
3. NASHは肝癌の原因になる可能性があり、定期的
な外来受診が必要である。
4. 飲酒は肝硬変の原因であり、飲み続けると肝硬変
で死に至る。断酒により改善する可能性もある。
5. 肝硬変の患者さんの肥満が問題になっている。肝
癌の発生も助長するため注意が必要。
次回の予定
平成27年3月12日
なかなかなくならないB型肝炎
~B型肝炎のこわいところ~