22 . 糖尿病患者における血中分岐鎖アミノ酸異常と血糖 降下薬による変化 四日市消化器病センター 消化器・肝臓内科 石原 知明 【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患( NAFLD) 、糖尿病( DM)患者で は血中分岐鎖アミノ酸( BCAA)が高値を示すことが知られているが、そ の機序や意義は明確になっていない。 我々は肥満、NAFLD、DM 患者 ではBCAAが高値を示し、この上昇にはメタボリック症候群の構成因子 (中性脂肪、HDL)の増悪、ウエスト・ヒップ比などの体組成異常、炎症 (高感度 CRP) 、鉄過剰(フェリチン)が関連することを報告した。今回、 DM 症例に対し6 か月間血糖降下薬を投与し、BCAAに及ぼす影響を検討 した。 【方法】対象は 2 型 DM 19 例(男性 8例、女性 11 例、平均年齢 64 歳) 。ピ オグリタゾン 30 mg/day( n= 8)またはアログリプチン 25 mg/day( n= 11 ) を投与し、3 、6 か月後の検査値の推移を観察した。 【成績】HbA1 c( NGSP)は、糖尿病薬投与にて8. 6% →7. 2% →7. 0% と 著明に改善し、HOMA-IR は 3 か月後有意に低下した。GGT、ALT は低 下傾向を示した。経過中体重の変動は認めず、TG、HDL、高感度CRP、 フェリチン値にも変化はなかった。BCAA は 551 → 500 → 526 μmol/l と 低下し、高血糖、インスリン抵抗性がBCAA 高値に寄与していることが 示唆された。なお、糖尿病薬の種類による変化の差異は明らかでなかっ た。 【考案】大規模疫学研究で、血中BCAA 高値者はその後の 2 型 DM 発症 が高率であるとの報告がある。今回の血糖降下薬投与による検討におい て、改善した臨床指標は BCAAと糖代謝指標のみであり、糖代謝異常も BCAAが高値を示す一因と考えられた。 【結語】メタボリック症候群においては、高血糖、インスリン抵抗性が 血中BCAA 高値に寄与している。
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