13 . p 62 遺伝子欠損マウスへの女性ホルモン投与による メタボリック症 候 群とNAFLD 発 症および 進 展に 対する抑制効果の検討 筑波大学 医学医療系 池内 美穂、蕨 栄治、柳川 徹、 石井 哲郎、正田 純一 【目的】女性における NAFLD/NASHの有病率は、閉経後に増加するこ とが知られている。これには閉経に伴う女性ホルモンの作用低下が関係 していると考えられているが、その詳細な機序は明らかにされていない。 我々の作製した p 62 遺伝子欠損マウス( p 62 KO: 特許公開 2005 - 304393 ) は、過食に起因する肥満症、耐糖能異常、高血圧、インスリン抵抗性、 脂肪肝などのヒトメタボリック症候群( MS)に類似した表現型を呈する。 p62KOの 表 現 型 に は 性 差 が あ り、雄 性(オ ス)で は 若 齢 時 よ りMS と NAFLD が出現するのに対し、雌性(メス)では高齢時に出現する。そこ で今回は、p 62 KOにおける女性ホルモンの働きに着目し、女性ホルモン 補充による MSと NAFLD発症、及びその進展過程への抑制効果につい て検討した。 【方法】8 週齢のメス野生型マウス( WT) 、メス p62KO に卵巣摘出手術 と、対照として偽手術を実施し、体重変動及び摂餌量を測定した。また、 オスp62KOにエストラジオール( E2)徐放ペレットを留置し、体重変動 および摂餌量を比較した。 【結果】体重変動に関して、WTでは、卵巣摘出による有意な変化は認 めなかったが、メスp62KOでは、卵巣摘出群で有意な体重増加を認め、 22週齢時において、非摘出群に比べ 10. 3 g の有意な体重増加を認めた。 また摂餌量に関して、WTでは、卵巣摘出による有意な変化を認めなかっ たが、メス p 62 KO では、非摘出群に比べ、卵巣摘出群で 0 . 66 g/mouse/ dayの有意な増加を認めた。さらにオスp62KO にE 2を投与したところ、 非投与群では著しい体重増加を認めるのに対し、投与群では体重増加が 抑制された。また摂餌量に関して、E 2 投与群では非投与群に比べ、0. 63 g/mouse/day の有意な減少が認められた。 【結論】p 62 の欠損により引き起こされる過食と肥満は、女性ホルモン E2の補充により抑制されることが明らかとなった。現在 p62とE 2の NAFLDに対する影響について解析中である。
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