第6学年 体育科学習指導案 1 単元名 力強く!しなやかに!棒下振り出し下りに挑戦!(器械運動・鉄棒運動) 長縄リベンジ!めざせ150回!(体つくり運動・体力を高める運動) 2 運動の特性 鉄棒運動は、大きく分けると、 「上がる技」、「回る技」、「下りる技」の3つに分けることが できる。また、棒下や棒上の姿勢、回転する方向によってさらに多種多様な技に分かれていく。 これらの技に挑戦し、できるようになったり、できる技の回数を増やしたり、できる技を自分 で組み合わせたりすることが楽しい運動である。これが鉄棒運動の特性だと考える。 本単元では、下り技である棒下振り出し下りでできるようになることを学習課題とする。す でにできている児童には今できている棒下振り出し下りを美しく見せることやダイナミックに 見せること、また、棒下振り出し下りを含めた組み合わせ技に取り組み、自分ができる「上が る技」と「回る技」とを組み合わせることを促していく。棒下振り出し下りは、①回転の前半 で肘を伸ばし、脇をしめる。②肩を後方に勢い良く回転させる。③回転の後半で肩角度を一気 に開く。④手首のスナップを効かせ、腰が落ちないように体を反らしながらとび出る。などが 技のポイントである。これらの動きをタイミング良く行い、ピタリと着地することで、ダイナ ミックな下り技となる。 これらの運動を通して、回転感覚や逆さ感覚、腕支持力、調整力が高まることが期待される。 子どもから見た「棒下振り出し下り」は、鉄棒から体を投げ出した瞬間、フワッと空中に浮 く感覚が快感である。そのできばえの距離を長くしたり、高さを高くしたりしてより美しくす ることやダイナミックにすることが楽しい運動である。 しかし、高学年になると、肩を後方に倒したり、体を鉄棒から投げ出したりすることに恐怖 心を持っている児童も多く、意欲を失いがちである。 そこで、教師や友達の補助、細かい段階指導などを通して恐怖心を克服できるようにし、少 しずつできそうだということを実感させ、どの児童も達成感を味わえるようにしたい。 3 子どもの実態(男子18名 女子19名 計37名) (1)学び方・学ぶ心の面から <体育学習に関する意識調査> 体育については約80%の子どもが、「好き」 「どちらかというと好き」と答えている。その 体育は 好き 1 0 人 理由として体を動かすことが楽しい、できなか どちらかというと好き 1 9 人 ったことができるようになるなどのことがあげ どちらかというと嫌い 3 人 られた。鉄棒運動では、体育は好意的に感じて 嫌 い 4 人 いても、鉄棒運動には「嫌い」、「どちらかとい うと嫌い」と答える児童が多かった。その理由 鉄棒運動は 好き 4 人 として落ちることが怖い、練習をすると手が痛 どちらかというと好き 1 6 人 くなる、練習してもなかなか成果がでないなど どちらかというと嫌い 9 人 の恐怖心や痛み、達成感の少なさが挙げれられ 嫌 い 6 人 ていた。本単元で教師や友達の補助で安心感を 感じられるようにし、一人ひとりに合った場を 考え、練習していくことで、やればできという 成功体験を積み重ねていきたい。 1 <体育授業についての診断的授業評価結果(高橋健夫より)> 15点満点中 男子平均 女子平均 学級平均 た の し む 13.50 13.83 13.67 ( 学ぶ心・関心、 関心、意欲、 意欲、態度 ) で き る 11.06 11.78 11.42 ( 運動、 運動、技能、 技能、体力) 体力) ま な ぶ 12.94 13.11 13.03 ( 学び方・思考、 思考、判断 ) ま も る 14.17 15.00 14.58 (学ぶ心、学び方・態度、 態度、思考、 思考、判断) 判断) 体育授業についての診断的評価結果を見ると、男女共に「たのしむ」や「まもる」の数値 が5年生時に比べて高くなっている。体を動かすことに意欲的であるが、「まなぶ」の数値が 低いことから、技ができるようになるために、もっとうまくなるためにどのようにしたらよい かを考えることやどのような練習方法で取り組むことがよいかをあまり考えることなく学習し ていると思われる。そのため、できた実感やうまくなった実感が感じられず、「できる」の数 値が低くなっていると考えられる。そこで、本単元では、一人ひとりにめあてを持たせ、自分 や友達の技がよくなるためにどのような練習をしたよいかを考えることや練習方法を振り返る 時間を設け、次時への課題を考えたり、どの練習が効果的だっかたのかを話し合ったりするこ とで数値が上がっていくのではないかと考える。 (2)技能・体力の面から 逆上がりでできる 連続逆上がりができる 一の字逆上がりができる 後方支持回転ができる 連続後方支持回転ができる 男 18人 15人 13人 14人 7人 女 19人 19人 15人 17人 15人 子どもの技能の実態は逆上がりや連続逆上がりは ほとんどの子ができるが、しかし、棒下振り出し下 りに必要な鉄棒を引くような運動になってくるとで きない子が多くなる。本単元では、体ならし運動を ていねいに行い、友達同士で見合わせることで、鉄 棒を引くということを意識させ、その力を身につけ させていきたい。 4 1. 学習のねらいと評価 学習のねらい ●学び方・学ぶ心 ・自分のめざす姿に向い、その姿に近づくために、自分の課題やそれに対してどんな練習をす れば良いかを考えながら学習することができる。 ・みんなができるようになることをめざし、励まし合ったり、助言をしたり、補助をし合った りすることができる。 ○技能・体力 ・自分のめざす棒下振り出し下りができるようになり、自分に合った組み合わせ技ができる。 (2)評価 関心・意欲・態度 思考・判断 技能 学 ・鉄棒運動の楽しさやできた喜 ・自分の力に合った課題の解決 ・鉄棒運動について安定した基 年 び に 触 れ る こ と が で き る よ を目指して、練習の仕方や技 本的な技やその発展技を身に の う、進んで取り組むと共に、 の組み合わせ方を工夫してい つけている。 評 約束を守り助け合って運動し る。 価 ようとしたり、運動する場や 規 器械・器具の安全に十分に気 2 準 単 元 の 評 価 規 準 を配ろうとしたりしている。 ・自分に合った課題に進んで取 ・ 自 分 の め ざ す 姿 に 近 づ く た ・逆上がりから棒下振り出し下 り組み、鉄棒運動を楽しもう め、自分の課題を考えたり、 り、着地まで安定して行うこ としている。 練習方法を工夫したりしてい とができる。 ・互いに協力し合いながら、安 る。 ・棒下振り出し下りと「上がる 全に運動しようとしている。 ・みんなができるようになるた 技」、「回る技」をスムーズに めに技のポイントを助言した 組み合わせることができる。 り、補助をしたりしている。 5 部会仮説に対する具体的な手立て (1)身につけさせたい技に結びつく動きで構成した体ならしの運動 ①体ならしの運動は、基礎となる逆上がり(連続、一の字)、後方支持回転など後方への回転系 の動きを中心に構成する。 ②体ならしの運動から、脇の締めやつま先の伸びを意識させる。それを互いに見合わせ、運動 のポイントを確認できるようにする。 (2)子どものつまずきに応じた練習内容の資料 ①鉄棒から体を投げ出せないとき ・少し高めの鉄棒で体を振り、鉄棒に足を近づけながら振りとべるようにする。 ・跳び箱を使って振り出す練習をする。 ②鉄棒から手を離すタイミングがつかめないとき ・始めは、ゴムひもを低くはり、それをとび超えるようにする。徐々に距離や高さを伸ばして いき、バンザイの姿勢で手を離していく。 ・手を離すタイミングを友達に知らせてもらい、補助してもらう。 ③肩角度が早く開いてしまい、棒下に落ちてしまうとき 跳び箱 ・鉄棒を握った状態から両足で跳び上がり、鉄棒を引きつけて振りとべるようにする。 ④足が高く上がらなかったり、体をうまく反らすことができないとき ・鉄棒の前にゴム紐をはり、その高さを超えて着地できるようにする。 (3)練習内容についての振り返りと共有化 ○練習内容の工夫や友達との関わりが、自分や友達の技能の伸びとどう関係があるのかを明らか にする。そこで明らかになったことをグループ内や全体の場で伝え合えるようにする。 (4)学習形態の工夫 本単元では、体ならしの運動から棒下振り出し下りの学習、振り返りまでを異質グループで 行う。同じグループの上位の子どもから下位の子どもが自分の技能の高さに関係なく助言や見 合 い、補助を行えるような雰囲気づくりをしていき、リーダーを中心に関わり合いを深め、学習 を 進めていく。自分のつまずきを把握し、友達に見ていてほしいポイントを伝えて見てもらう。 自 分の体がどうなっているのかを知らせてもらうことで、技能の習得につながると考える。そし て、 必要があれば、学習の中で大事なポイントは一斉指導を行い、共通理解を図り、浸透させてい く。 振り返りの場面では、自分の姿がこの一時間でどうなったのかを伝え、その要因について考え 3 る。 どの練習がよかったのか、友達の声かけで何がよかったのか、どこを意識するとよいのかを振 り 返らせたい。体ならしから棒下振り出し下りの練習を同じグループで行う ことで友達の技能の 変容、変容した具体的な姿がわかり、振り返りの話し合いが充実すると考え られる。 6 単元計画(150分 25分×6回) ※○数字は展開時間 段階 学習活動・内容 指導上の留意点 は ○学習のねらいを知り、学習の見通しを持つ。1. 自分がめざす棒下振り出し下りのイメ (①) ージがつかめるよう資料を活用する。 じ 学習の流れを確認し、体ならしの運動を決 ①体ならしの運動は資料や示範を通して正 しい動きを伝える。 めよう!(①) め ①体ならしの運動から肘の伸ばしや脇の締め ○体ならしの運動を理解する。 (①) を意識させ、友達同士で見合いながら大切 (2) ・そりくぐり なことがその場で伝えながら行う。 ・一の字逆上がり ・連続逆上がり ・後方支持回転 ・前方支持回転 棒下振り出し下りができるポイントを知 り、自分のめざす姿を決めよう!(②) ②棒下振り出し下りの技能ポイントを示範や 資料を通して伝える。 ① ② ③ ④ ○自分のめざす棒下振り出し下りを決める。 (②) A 地面から足を振り上げて降り出すことが できる。 1. B 胸くらいの高さの鉄棒から棒下振り出し 1. 下りができる。 C 鉄棒と同じ高さぐらいに体を振り出す 2. ことができる。 D 鉄棒よりも高く振り出すことができる。 3. E 上がり技、回る技と組み合わせて、鉄棒 より高く棒下振り出し下りができる。 4. な か (3) 自分がめざす棒下振り出し下りを決 回転の前半で肘を伸ばし、脇をしめ る。 肩を後方に勢い良く回転させる。 回転の後半で足を方向にななめ前方 方向に振り上げ、肩角度を一気に開 く。 手首のスナップを効かせ、腰が落ち ないように体を反らしながらとび出 る。 め、グループの友達に伝える。 ①~⑤体ならしの運動から振り返りまでの学 ○体ならしの運動をする。 (③~⑤) ・一の字逆上がりは懸垂から挑戦させ、鉄 習形態を異質グループで行う。体ならしの 運動から見合いを行い、自分の姿を知った 棒に体を引きつける力を高める。 ・後方支持回転は、肘の伸ばしや脇の締め り、友達を協力して課題を解決していける の見合いをさせ、アドバイスできるよう ようにする。 体ならしの運動をグループで見合わせ、正 にする。 確にていねいに行う意識を深めさせる。 ○めあてを確認する。 ②~⑤子どものつまずきに応じた資料を用意 し、それぞれが課題やめあてを持って取り 自分のめざす棒下振り出し下りに挑戦しよ 組めるようにする。 う。(④~⑤) ③~⑤自分や友達の技能の伸びと練習内容 グループのかかわりを関連づけて振り 返 ○どのようにしたら、自分のめざす姿に近づ 4 くのか、自分には何が課題なのかを考えた り、友達に聞いたりしながら運動する。 ま と らせる。一人ひとりに自分の体で感じたこ とを言語化させる。 (感想、考えたこと) ①~⑤振り返りの仕方がよいグループを紹介 ・資料からポイントをつかむ。(③~⑤) し、自分のグルー プに生かせるように す ・友達や教師に聞く。 (③~⑤) る。 ・練習の場を工夫したり、練習方法を考え ③後方支持回転は棒下振り出し下りに結びつ たりする。 (③~⑤) く技なので、肩を勢いよく回転させること や膝を伸ばした状態で抱え込む動きに着目 ○学習を振り返る。 させ、見合うようにする。 ・それぞれの学習の成果や技能の伸びを発 表し合う。 ・できるようになった要因や友達との関わ り合いについて振り返る。 ③友達のめあてをグループで共有し、何が課 題なのかを話し合い、体のどこをどうすれ ばよいかを声をかけたり、補助をしたりし て学習させる。 ③動きのリズムや技のポイントを声に出して 伝え合いながら学習させる。 ⑥一人ひとりの技能の伸びを評価する。 ○体ならしの運動をする。 ⑥これまでの学習を振り返り、どのようなこ 上がり技、回る技を組み合わせて、棒下振 とをがんばってきたか、友達とのかかわり り出し下りに挑戦しよう!(⑥) で良かったところは何かを振り返らせる。 め ○学習の成果や技能の伸びを発表する。 (1) ○学習を振り返り、友達の伸びを認め合う。 ・みんなができるようになるために、自分 が何をしたか。どんなことができるか。 7 本字の学習(4/6) (1)学習のねらい ●学び方・学ぶ心 ・自分のめざす姿に近づくために、どのようにしたらよいかを考え、練習方法を工夫して取り 組むことができる ・みんなができるようになるために、技のポイントを助言したり、補助をしたりすることがで きる。 ○技能・体力 ・自分のめざす棒下振り出し下りができる。 (2)展開 時配 学習活動 8 1 体ならしの運動をする。 ・そりくぐり ・一の字逆上がり ・連続逆上がり ・後方支持回転 ・前方支持回転 教師の支援(●・○)と評価◎ ○前時までの体ならしの運動を正しく、てい ねいに行うことができている児童を認め、 全体へ広める。 ○体ならしの運動から、肘の伸ばしや脇を締 めることを意識させて行わせる。 ●体ならしの運動で動きのポイントや注意す べき点を確認し合っているグループを認 5 め、全体へ広める。 ◎体ならしの運動を正しく行っているか。 【技能】(子どもの動き) 2 2 鉄棒運動のめあてを確認する。 自分のめざす棒下振り出し下りに挑戦しよう!! 10 5 5 3 棒下振り出し下りの練習をする。 (予想される練習の場) ●つまずきに応じた練習内容がわかるよう資 ・後方支持回転から鉄棒を引く感覚をつか 料を準備し、活用できるようにする。 む。 ●グループ内で互いのめあてを確認し、技の ・地面から足を振り上げて、ふりとぶ。 ポイントを助言したり、補助をしたりする ・両足立ちからジャンプして、ふりとぶ。 よう促す。 ・棒上で腕支持をした状態からふりとぶ。 ○下位の児童への助言や補助を多くし、細か ・跳び箱の高さを利用して、ふりとぶ。 い段階指導を行いながら、できたという体 ・ゴム紐を使って、体を反らせる。 験をさせる。 ◎友達との関わりや練習を通して自分のめざ す姿に近づくことができたか。 【技能・表現】 (子どもの姿) ●各グループを回り、友達に対して的確な助 言や練習方法の提示をしている児童を認め る。かかわり合いがうまくいないグループ には教師がかかわり助言や練習方法を考え る。 ◎グループ内で声を掛け合ったり、助言し合 ったりすることができたか。 4 鉄棒運動の学習を振り返る。 【関心・意欲・態度】 (子どもの動き) ・グループごとに、練習方法や友達のか ●今日の学習の成果を伝え合い、練習方法や かわり方について 次時の課題を話し合う。 ・自分の取り組みについて ◎みんなができるようになるために、助言を したり、練習方法を考えたりすることがで きたか。 (子どもの動き、学習カード) 5 長縄の準備をして、体ならしの運動を行 【思考・判断】 う。 ●体ならしの運動を行うとき、回数を数えた ・8の字とび り、リズムを言い合ったりしているグルー ・長縄の外と中でボールパス プを認め、広める。 ・長縄の中で2人組パス リズムよく縄をとんで、みんなでとべる回数を増やそう! 2 6 長縄の学習のめあてを確認する。 7 グループで長縄の練習をする。 ・縄に入るタイミングをつかむ練習 ・縄の回し方の練習 ・縄を回す速さを段々速くしていく。 5 ●回数が増えたり、協力して練習に取り組む ことができているグループを認め、広め る。 5 8 グループで2分間の回数を数える。 9 長縄の学習の振り返りをする。 3 ◎グループで協力して、回数を数えたり、練 習に取り組むことができたか。 6 【関心・意欲・態度】(子どもの動き) ●どうしたら回数が増えるのかを練習方法や 友達のかかわりと関係づけて振り返らせ る。 7
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